イギリスがやっぱりBrexitしなさそうな件【英語メディアウォッチ】

さっきBBCのyoutubeのチャンネルで見たんですが、イギリスの下院で一票差でno deal brexitは認めないとの意思決定がされたそうです。ブルームバーグの解説を見て、上院でBrexit延期に関する議論を少し見たのですが、これ以上イギリス人の考えていることに付き合う義理もないなあと思って、今、一応、ブログに書いています。

一連のプロセスを見て思うのは、イギリスってやっぱりすごいなあ、深謀遠慮みたいなのが働く国なんだなあということです。国民投票で僅差でBrexitが決まった時は、やっちまった感が半端なかったわけですが、時間をかけてよく練って、今のイギリスは国民投票の結果を盾にいつでもBrexitできるし、議会の意思決定を根拠にいつまでも議論して場合によってはBrexitの無期延期もできるという、かなりのフリーハンドを手にしていることになります。どっちに転んでも大丈夫なようにしてあるんですね。

日本が太平洋戦争を始める前は統帥権干犯問題とか、内閣一致の原則とか、御前会議の決定とか、そういった建前にがんじがらめになって、アメリカと戦争したら敗けると全員が思いながら、泣く泣く戦争に踏み切ったことを思うと、イギリスにはあの手この手でなんとか切り抜ける、徹底したリアリズムがあると言うか、さすが功利主義の国と言っていいのか、凄い人たちだと感心してしまいました。




Brexit話がなかなかまとまらない理由について、やや深読み【英語メディアウォッチ】

3月29日、イギリス下院でのメイ首相のEUブレグジット案が否決されました。関連の議決で三度目の否決であり、議会は明らかに拒否反応を示しています。では、なぜ、メイ首相は引き下がらないのでしょうか?

メイ首相はEUとの間に合意があるソフトブレグジットが実現できなければ、合意なき離脱であるハードブレグジットになってしまうが、それでもいいのか?と議会に脅しをかけています。ですが、実に巧妙な言葉の罠が仕組まれており、メイさんはハードブレグジットとソフトブレグジットのどちらがいいか?と議会に問うているのに対し、議会はハードブレグジット派、ソフトブレグジット派、そしてブレグジットしない派に分かれているために、票が割れてしまい、メイさんの案が通らないという事態になっているように見えます。

メイさんは民主主義の精神を尊重するためには、いかなることがあってもEU離脱賛成派が若干上回った国民投票の結果を実現することをこれからも追求すると議会で明言しています。メイさんはもともとEU残留派だったはずですが、民主主義という大義名分のもとに、Brexitだけは必ず実現するという立場を貫いています。しかし、国民投票が民主主義なら、議会の投票も民主主義です。国民投票が一回こっきりなのに対して、議会投票は既に三度目。メイさんの行動には矛盾があります。議会の投票を三回もやるのなら、国民投票をもう一回やってもいいわけですし、伝家の宝刀解散総選挙という手法もあります。しかし、メイさんはそういった手段を選ぼうとはしません。たった一度の、僅差の国民投票の結果だけを金科玉条にBrexitを推し進めています。ここでメイさんの真意をもう少し深く読んでみたいと思います。

ブレグジットが決まり、イギリス人の多くが怖気づいてしまったことは明らかなように思えます。もし、もう一度、国民投票が行われるようなことがあれば、EU残留派が勝利するのではないかと私には思えます。また、解散総選挙した場合も、EU残留を訴えての戦いということになれば、野党は与党を攻撃する好材料を失うことになり、与党有利とも思えます。

しかし、メイさんはそうはしないわけです。私は思うのですが、メイ首相はいずれかの段階で、Brexitした方がイギリスのためになると考えを変えたのではないかという気がします。Brexitすることになってしまったのはボリス・ジョンソンが悪いんだということにしてしまい、本心では、この千載一遇の好機をしっかりと掴まえて、沈みつつあるヨーロッパとさよならし、主権を半端に制限してくるEUから抜けて、完全な主権国家としてイギリスは振舞うことができるようにしよう。と思ったのではないかという気がします。だとすれば、メイさんが国民投票をもう一回やろうとしないのも、解散総選挙をしようとしないのも頷けます。実はかなり腹をくくっていて、議会の賛成が得られないとしても、このままハードブレグジットに持ち込んでもやむなしくらいまで思っているかも知れません。