永井荷風‐鴎外先生

永井荷風がいかに森鴎外を仰ぎ見、尊敬しているか、手放しの賛辞が書かれています。鴎外なんて大したことないぜと言っているやつがいたら、そいつ本当に何にもわかってねえという趣旨のことが述べられています。青空文庫に収録されているものを朗読しました。

永井荷風は生家の非常識なくらいのお金持ちぶり、生まれながらのエリート、華やかな留学時代と慶應教授時代というイメージが先行し、更に書くものは女のことばかり、晩年もやっぱり女のことばかりというわけで、毀誉褒貶あるようにも思いますが、その恵まれた前半生をひたすら芸術にささげたわけですから、芸術を見る目は普通ではないわけです。その荷風が全力で敬意を示す芸術家鴎外の凄さを改めて思い知らされます。




佐藤春夫‐永井荷風

佐藤春夫が永井荷風の人となり、その人生を非常に短い文章で端的に表現した名文です。その一言一句からは、佐藤春夫がどれほど荷風に対して複雑な感情を抱いていたかを感じ取ることもできます。青空文庫に収録されているものを朗読しました。

文面では、一応は永井荷風を立てているように見えるものも、実はボロカスです。いいとこのボンボンが異様な女好き。以上。のような感じです。佐藤春夫が谷崎潤一郎とも解決の難しい感情的な矛盾した対立のような共依存のようなわけのわからない関係を築いたりしたのと、まるで別人格であるかのように食客三千人と言われたのとを考えれば、佐藤春夫は随分と自分の消化しきれない感情をもてあましながら生きたのだろうということが見えてきます。今回のものは、永井荷風の人生も、佐藤春夫の人生も理解が深まるお得な内容だと言えそうです。