芥川龍之介‐教訓談

芥川龍之介がかちかち山という童話を手掛かりに、人の心の恐ろしさについて述べています。
短いですが、迫力があり、芥川が次第にペシミスティックへと心境が変化していく一片を感じ取ることができるように思います。青空文庫に収録されているものを朗読しました。

芥川龍之介は亡くなる直前には多くの厭世的な文章を残していますが、生きている現実感を失い、自分の存在に自信を持てなくなっていくようになった様も感じ取ることができます。この教訓談は、大正11年に書かれたものですから、芥川が亡くなる時期よりはだいぶ早いのですが、既に人の世に対する嫌悪、自己嫌悪を見出すことができます。芥川は自ら命を絶つという悲劇性ゆえに、名前に憂いを帯びているとすら思えますが、漱石の弟子たちの中では、特別大きくその名が知られた人ですし、彼の短文の迫力は今後100年かもっと先まで、日本語が今の形態から変化しても愛され続けることでしょう。