このところ、安倍晋三首相に揺れを感じます。焦っているように見えるのです。安部さんの究極の目標は憲法改正で、憲政史上稀な長期政権を打ち立てて尚憲法改正ができていないわけですから、もし安倍さんが憲法改正できなければ、私が生きている間に憲法改正が行われることはないと思います。私は今の憲法が自主憲法ではないとは思っていますが、内容はなかなかいいことを書いてあると思っているので、正直に言うと憲法改正がされるかどうかには関心がありません。自衛隊は憲法に明記されていませんが、自衛隊が生まれたのはアメリカの要請があったからで、自衛隊にいろいろな制約がかかっているのも、そういう国際政治上の要請によるものですから、ぶっちゃけ憲法とは関係ないと思っています。仮に憲法に自衛隊が明記されることがあっても、国際政治上の要請から制約がかかるでしょうから、同じと言えば同じなのです。また、今の憲法はそれくらい解釈に幅を持たせることができる憲法だと考えることもできますから、解釈に幅を持たせることができるくらいでちょうどいいのではないかとも思うのです。例えば大正時代から太平洋戦争にかけての時代、「内閣が軍に口出しするのは憲法違反だ」という論法がまかり通るようになり、小さなことでも憲法違反だ、統帥権干犯だと騒ぎ立てて問題にされてしまうようになったことが、結果としては誰もが口をつぐんでアメリカとの戦争まで突入してしまったわけです。ですから、あまり些細なことで騒ぎ立てるのは少なくとも政治とか憲法とかについて考える際にはなるべく避けた方がいい、コップの中で嵐を起こしてコップが壊れたら元も子もないと思っています。
とはいえ、政局はおもしろいので気になります。選挙では苦労する人がたくさんいますから、外野でおもしろがるのはまことに申し訳ないとは思うのですが、やっぱり政局に対しては純粋に興味津々になってしまいます。私は野球を観ないのですが、野球を観るのが好きな人が今年はどこが優勝するかについて喧々諤々するのと同じような感覚です。
で、安倍さんは自分の政治目標を達成するためには、残りの任期中に与党3分の2以上を維持した状態で、与党全体を説得し、国民投票に持ち込みたいに決まっています。できるかどうかは分かりません。私個人に賛成も反対もないです。いずれにせよ、そういうわけで3分の2以上を維持するためには今年の参議院選挙で勝たなくてはいけないわけです。あと半年ですから、すぐに夏の選挙の到来です。小沢一郎さんが人生最後の勝負をかけて野党の糾合を進めています(これを野合と呼ぶかどうかは、それぞれの価値観の問題でしょうね)。安倍さんとしては今回だけは小沢さんに敗けるわけにはいきません。そうなると、中曽根さんの時のように、死んだふり衆参W選挙で圧勝パターンを狙うことは充分に考えられます。もし私だったら、人生をかけた大目標を達成するような場面が来た時、できることは全てやりますから、安倍さんもできることは全てやるはずです。衆参同日選挙になると、政権選択プレッシャーが有権者にかかってくるのでついつい自民党に票が集まりやすくなると言われています。もし安倍さんの立場なら今年やらなければいつやるのかという感じではないでしょうか。
しかし、衆参同日選挙の時に支持率ががたっと落ちてしまうようなことがあると、両方敗けて政権を失うという大きな賭けにもなるわけですから、なんとかして支持率を上げたいという焦りがあの手この手を打っている安倍さんの姿から見えて来るような気がします。ロシアのプーチン大統領と平和条約を結んで二島返還みたいなことが起きればぐぐっと支持率が上がるかも知れないという心境にもなるでしょうし、昨年末から急に不景気になってきましたから、景気対策を打ちたい、できれば消費税の引き上げを更に引き延ばしにしたら支持率上がるだろうか。というような心情も見えてくるように思えるのです。
個人的には消費税は上げないでほしい、できることなら下げてほしい、はっきり言うと廃止してほしいと思っているタイプなので、憲法改正には関心はないですが、安倍首相が消費税引き下げを公約に衆参同日選挙をやってほしいなあと思います。
いずれにせよ、以上のような理由で今年は衆参同日選挙の可能性は充分にあると踏んでウオッチしたいと思います。