パリの地下鉄の話

パリの地下鉄は入り組んでいてすぐには理解できません。何度も乗っているうちにだんだん便利に使えるようになっていきます。パリ市がそんなに広いわけではないことと関係しているのかも知れないですが、駅と駅の間隔が短いです。エリア的に被っている路線が多いので、自分の行きたいところへ行くのに乗り換えの手間を少なくすることができます。ニューヨークの地下鉄は大阪と同じで縦横そろっていて分かりやすいですが、パリの地下鉄はロンドンや東京みたいにぐねぐねしているので、乗り換えポイントを理解するまでは少し時間がかかります。理解したら楽ちんです。

パリの地下鉄は結構、汚れています。下北沢のちょうどいい感じに年季の入った劇場みたいに、いい感じに汚れています。へんなにおいもしています。何のにおいかはっきりとはわかりませんが、多分、人間の体臭100年分みたいな感じだと思います。慣れればどうということはありませんし、ちょうどいい感じの汚れ方と合わせて雰囲気を楽しめる気がします。ちょっと銀座線に似ていなくもないように思います。

パリの地下鉄はシテ島に集まるようにできています。シテ島周辺に3つか4つくらい駅があるので、大抵の路線からシテ島にいけます。便利です。シテ駅から歩いてすぐにポンヌフ駅があるみたいな感じです。

パリの地下鉄構内にはストリートミュージシャンも結構います。レベルは高いです。バイオリンでクラシックをやっている人もいれば、レゲエをやってる人もいます。

レゲエをやっている人たちの写真です。
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この人たちもレベル高いです。楽しんでます。髭とか服装とかドラマチックです。そういう人があちこちにいます。楽しいです。

昭和天皇は皇太子時代に第一次大戦後のパリを訪問しています。亡くなった後、遺品の中にパリの地下鉄の切符があったそうです。ヨーロッパ旅行が人生で一番楽しかったと後に述懐しています。今でこそパリは「ロマンチック」な歴史ある古都ですが、1900年ごろのパリはロンドンと並ぶ世界の中心、近代の源みたいな場所です。1900年のパリ万博で市の南西側を中心に再開発が進み、エッフェル塔とかオルセーとかが作られましたので、昭和天皇が訪問した時は、そういう時代の最先端の空気があって、当時はまだまだ若いですから、きっといろいろなことを感じたのだろうと思います。

そういう意味では最近のパリはちょっとぱっとしないかも知れません。時代の最先端という感じとも言いにくいかなあという気はします。人口は第二次大戦のころに300万ありましたが、今は200万くらいです。衰えたわけではなく、パリのイメージがあまりにも「ロマンチック」なため、世界のお金持ちが住みたがり、地価が高騰して普通の人はなかなかパリ市内に住めません。ドーナツ化現象を起こしていてパリ郊外で暮らす人がとても多いそうです。結果としてパリはセレブと観光客ばっかりの街になり、普通の人の割合が少ない、ちょっと不思議な街になっているような気がします。もっとも、古いパリの景観は残しつつ、新しいビジネスセンターみたいな地区もありますので、私が古いパリばかり歩いたからそんな印象を持ったのかも知れません。

個人的には地下鉄がすごく好きです。世界中どこへ行くにしても地下鉄のある場所に行きたいです。日本で暮らす場合は私鉄沿線でもOKです。なんか話が脱線してしまいました。地下鉄だけに。



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セーヌ川左岸と呼ばれる地域、フランス文化の中心で、世界への情報発信の中心地と呼ばれている場所がカルチェラタンです。そんなことを聞いたら、そりゃ期待して訪れるものです。ヘミングウェイがカルチェラタンのカフェで小説を書いてたとか、今も若い作家を目指す人がカフェでなんか書いてるとか、そういう「伝説」の場所。「聖地」みたいな感じです。セーヌ川がパリ市を東西に突っ切っていて、河口(西に向かって流れています)方面に顔を向けて左側が左岸、右側が右岸です。「セーヌ川左岸」という言葉の響きがかっこよすぎです。ルーブル博物館はセーヌ川の向こう岸になります。

カルチェラタンはシテ島の目と鼻の先にあります。実際に行ってるみるとエリア的には狭いです。私は「カルチェラタンは多分、下北沢と神保町を足して二で割った感じのところではなかろうか」と想像していて、本屋さんの軒先に古本が並んでいるようなところとか見たいなあと思っていました。歩いていると、古本が並んでいるらしきところがあります。おー、あった。この角を曲がれば古本屋さんがざーっと並んでいたり、この道を進めば文化人が集う味なカフェ並んでいたりするに違いないと歩みを進めると普通の街角に出ます。ん?と思ってもう一回最初のところまで戻り、どこか曲がり角を間違えたのだろうかと思って、いろいろくるくる歩いて見ますが、それらしきところがありません。地図を何度も確認しましたが、確かにここはカルチェラタンエリアです。要するに狭いです。そういうエリアはちょっとしかありません。実感としては百メートル四方くらいかそれよりもうちょっと大きいくらいしかないかなあという感じです。世界の文学青年が集うには狭いです。

とはいうものの、私はフランス語が読めるわけでもなく、カフェでコーヒーを飲むのなら他にもいくらでもあるわけで、ぶっちゃけパリならではのカフェより普通のスターバックスの方が落ち着くという気もするので、私としては実際に生でカルチェラタンがどんなことろが見れたというだけで満足できます。

レストランがいろいろありましたので、田舎風フランス料理みたいな意味の看板が書いてあるところに入って食事しました。水をくれというと有料のミネラルウオーターが出てきます。水道水をくれというと無料の水道水が瓶に入って出てきます。パリは空気が乾燥していていくらでも水を飲みたくなるので、個人的には水道水をたくさん飲みたいですが「水道水をくれ」の発音ができないと有料の水が出ます。たまには有料のミネラルウオーターもきっと健康にいいかも知れません。カルチェラタンには二度行って、二度とも同じレストランに入り、二度目はがんばって水道水を出してもらうことに成功しました。料理の味はおいしいですが、日本のファミレスの方がおいしくて値段も安いなあと思います。日本っていろいろ凄いです。

近くには大学が多いようです。パリ第〇大学とか、そういう感じのがあります。パリはいったい第何大学まであるのかと思って人に聞いたら13まであるそうです。全部足してソルボンヌ大学になるそうです。ちょっと意味不明ですが、それぞれの国にはそれぞれの学制があります。留学してみたいなあとちょっと思いましたが、多分、内容についていけないと思います。自信のある人はぜひ挑戦してみてほしいです。





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