なぜ天皇は敗戦後も、民衆の支持を維持することができたのですか。またそれは戦前の国家神道や戦後のGHQと何か関係はありますか。ドイツ皇帝やロシア皇帝、清皇帝は天皇と違ってなぜ民衆の支持を失ったのですか?

皇帝の存続と民衆の支持は関係ありません。軍が支持するかどうかです。ドイツ革命は絶対に死ぬ命令を拒否した海軍の将兵たちの反乱から始まったとされますが、要するに軍の支持を失ったことによりウイリヘルム二世は亡命せざるを得なくなりました。ロシア革命の場合、やはり第一次世界大戦であまりに無謀な動員をニコライ二世が命じ続けた結果、軍が彼を見放し、民衆が宮殿に乱入するのを傍観した結果起きたことですので、やはり軍の支持を失ったからだと言えます。清の皇帝の場合、幼少だった溥儀個人に落ち度があったとは言えませんが、清の軍部を握っていた袁世凱が臨時大統領になれることを条件に清王朝を裏切って孫文と結んだことで辛亥革命が成功するわけですのね。ですので、やはり軍を握る袁世凱の私利私欲の結果ですから、清王朝は軍の支持を失った結果、滅亡したと言えるわけです。日本の天皇の場合は軍の支持を失ったことがなく、戦後は軍が解散したものの、アメリカ軍がその代わりをしましたから安泰だったのです。確かに昭和天皇は国民的に人気があったと思いますが、もしアメリカ軍が昭和天皇を支持しなければ、天皇制は消滅していたに違いありません。