アメリカ大統領選挙2020を読む【バーニー・サンダース編】

バーニー・サンダース氏が順調に勝ち進めている。先日のニューハンプシャーでおこなわれた民主党予備選挙で一位を獲得し、おそらく今後も各地で一位を獲得しそうな勢いなのである。民主党の有力候補たちとしてはバイデン氏、女性のウオーレン氏が注目されていて、最近になってブルームバーグ氏が注目を集めている。historiajaponicaは公共放送ではないので、独断と偏見に基づき、この事情をやや深読みして仮説を立ててみたい。

気になるのは、ブルームバーグ氏が今頃になって名乗りを上げてきたということだ。どうして今ごろ名乗りを上げたのだろうか?ブルームバーグ氏はニューヨーク市長もつとめたのだから、ド素人の政治家というわけでもないし、巨大な経済ニュースメディアのBloombergのオーナーなのだから、選挙資金も潤沢に違いない。しかし、既に予備選挙が始まってしまってから名乗りを上げるというのは、どういうことなのだろうか。このまま放置するわけにはいかないので慌てて出馬せざるを得なくなったとみるのが普通だろう。

では、どのような事情なのだろうか。今さら念押しすることもないのだが、このままいけばサンダース氏が勝つ可能性はかなり高い。サンダース氏には金はないかも知れないが、金のない選挙が似合うのがサンダース氏であるため、それは致命的な問題にはなり得ない。社会的に圧迫されている層からの厚い支持と地名度があるうえに、妥協なき鋭い眼光と演説で、俺はやってみせると闘志に燃える老人の姿は実に絵になる。そのガッツはアメリカ人の大いに好むものでもあるはずだ。

ウオーレンさんは女性として初のアメリカ大統領に就任する可能性を持っているという点で注目されるべきなのだが、サンダースおじいちゃんが元気なうちに大統領になってもらわないと残念だと思う層は、今回はサンダースで、と流れていきそうに思える。サンダース氏とウオーレン氏という個性あふれる二人が戦おうかという段階で、バイデン氏には勝ち目がない。バイデン氏はまるで民主党のマケインとでもいいたくなるほどの普通な人感が溢れており、ちょっと前なら古典的アメリカのおじさん風で絵になったかも知れないが、21世紀にはもはや似合わない。アメリカでは堂々たるおじさんがリーダーになるという時代は終わり、トランプ、サンダース、ヒラリー、ウオーレンのようなキャラクターの明確なタイプに人気が集まるように傾向が変わってきている。

で、このままいけば、ウオーレンさんを抑えてサンダース氏が勝ちそうな勢いなのだ。だが、サンダース氏は社会主義者を堂々と表明している。ウオーレンさんはリベラル感が強いし、アメリカの民主党は社会主義ではなく、「リベラル」を好む政党であったはずなのだが、サンダース氏のキャラが強烈なので、票がそちらへと流れていく様相を示しているわけなのだが、このような事態は古典的リベラルの人々にとっては、あまり望ましいことであるとも言い難い。アメリカは国是、国体、国家の運命のようなものとして独立自尊を重んじるため、社会主義は本来受け入れることができないのだ。リベラルな人々もアメリカの自主独立憲法を尊重する前提でのリベラルなので、社会主義とは違うのである。

ウオーレンさんがサンダース氏をとめることができないということが分かってきたので、おそらく民主党の奥の院の人たちが慌てて意思統一を図り、ブルームバーグ氏に出馬を請い、彼もそれに乗ることにしたというのが真相ではないだろうか。

だが、民主党予備選ではサンダース氏が勝ちそうな気がどうしてもしてしまう。キャラクターの立ち方が普通ではない。前回のアメリカ大統領選挙では、誰もがトランプ氏を注目した。トランプ氏が嫌いな人でも、なぜ私はトランプ氏が嫌いなのかと一生懸命主張する人がいたが、要するに話題の中心はトランプ氏であった。今回はそのような話題の中心になっているのがサンダースというわけなので、ブルームバーグ氏は大金を注いで短い夢を見るだけで終わるのではないかと思えてならない。

私は民主党を支持するわけでも共和党を支持するわけでもないが、仮に民主党が勝利を狙う場合、トランプ氏と互角で叩ける民主党の候補はやはりサンダース氏以外にはあり得ないだろう。トランプの金持ちキャラとブルームバーグの金持ちキャラは被っており、どっちが票を集めるかといえば、よりおもしろいトランプである。トランプ氏とサンダース氏であればキャラが被らないため、より鮮明な資本主義トランプvs社会主義サンダースの構図で選挙が戦われることになるし、多分、選挙としては一番おもしろい。トランプとサンダースが討論大会をやるとか、想像しただけでめちゃめちゃおもしろいし、絶対に見てみたいではないか。

ややうがったところを述べるとすれば、トランプ氏の支持層とサンダース氏の支持層には被っている部分がある。白人労働者階級のグループで、彼らは社会的に見捨てられているとの憤りを持っていて、前回はトランプに期待をかけたが、今回はトランプとサンダースのどちらへ流れるか、今の段階で票読みできない。しばらくは見守るしかないのだが、白人労働者階級がアメリカ大統領選挙の結果を左右するというのも珍しい事態のように思えるので、その意味でも興味深い。




アメリカ大統領選挙2020を読む‐バイデンさん編

来年のアメリカ大統領選挙に、オバマさんの時代に副大統領をしていたジョー・バイデンさんが出馬する意向を示したことが話題になりました。一時期はバイデンさんに関する話題で英語メディアはもちきりでしたが、最近はやや沈静化した感じなので、話題になりました、と過去形にしたいと思います。

現状、トランプさんの再選があり得るかどうかを考えると、経済の状態、ロシアゲートの弾劾があるかないか、民主党から予想を超えたスーパースターが選挙に出馬するかの3つの要因で決まって来るように思えます。経済の状態は良く、少なくともトランプさんとしても2020年まではややバブっているらしいアメリカの景気を支える覚悟で臨んでいるようですが、ロシアゲートの弾劾についてはまだなんとも言えない部分がつきまとっています。まずジュリアン・アサンジ氏が何を話すかが注目されるわけですが、既に逮捕されてひと月ほど経つのに何も出てこないということは、アサンジさんは喋らないことで腹をくくっているのかも知れません。イギリスも死刑制度のあるアメリカにアサンジさんを引き渡すことはできないという姿勢を示していて、このままだと、アサンジさんはまたしても半永久的に隔離されたような生活を送ることになるだけなのかも知れません。ロジャー・ストーンさんがしゃべるかどうかに注目ですが、この人も一筋縄ではいかないでしょうから、全く見通しが立ちません。民主党サイドはなんとかロシアゲートで弾劾に持ち込みたいところのようですが、弾劾が成立させる決定打に欠いて困っているといったところかと思います。で、民主党からスーパースターが対抗して出馬するかどうかが鍵になるように思いますが、果たしてバイデンさんでトランプさんに対抗できるかと言えば、やや微妙なように思えます。トランプさんのおもしろくて分かりやすいキャラを支持する有権者が3割ぐらい確実にいて、トランプさんはその人たちの支持を確実に保つ方針で就任以来、できることをやってきた面があります。バイデンさんはトランプさんほどキャラが鮮明ではなく、お上品なお顔でいい人そうなのですが、選挙は目立ったもん勝ちみたいなところがありますから、やはりちょっとバイデンさんでトランプさんの首を獲るのはあまりなさそうに思えます。

ただ、バイデンさんがどんな人なのか調べてみると、最初の奥様と娘さんを交通事故で亡くしていて、2015年に息子さんを脳腫瘍で亡くしています。奥さんと娘さんと息子さんを亡くすというのは生涯にわたって苛まれる苦しいことではないかと思いますから、同情を禁じることができません。同情してしまいます。バイデン氏は人間的には相当に魅力がある人らしく、民主党、共和党を問わず友人が多くいるそうです。共和党の政治家のマケインさんが亡くなった時にスピーチしたというエピソードに、人間的な幅のようなものを感じさせます。一方で、女性に対して、ちょっと不謹慎な面もあることが話題になりました。トランプさんならいくらでもやってそうなことですが、普通の政治家にとっては致命傷です。息子と娘を亡くすという不幸に出会えば、頭の中の何かがおかしくなってしまっても不思議ではないとは思いますから、やっぱり同情しますけれど、バイデンさんではトランプさんにはやはり勝てないという気がします。

スピーチの天才とも言えるオバマさんがもう一回出馬という話もあるようですが、さすがにプーチンかよ、と突っ込まれるでしょうから、それはないと思います。ヒラリーさんがもう一度出馬しても全くおかしくはないのですが、今のところそういった話は聞こえてきません。あまり早い段階で名乗りを上げると不利なこともありますから、当面は様子見ということなのかも知れません。これから、いろいろな人が名乗りを上げていくでしょうが、私はアメリカ人の有権者ではないですから、少しずつちらちらと横眼で流れを読んでいきたいと思います。




トランプ大統領の交渉手法はこれだ

ドナルドトランプが大統領に選ばれて一年半、一方で「何をするかわからない」と不気味がられる反面、「めちゃくちゃな公約を公約通りに進めている」とやはり不気味がられている。要するに不気味がられているのだが、彼の全てを知ることはできないものの、彼のアジア関連の外交を見る限り、一定の手法があることが分かる。

中国の習近平国家主席が訪米した際、チョコレートケーキかなんかを食べている時にシリアにトマホークを撃ち込んだという知らせが入ると言う、人の食欲を敢えて萎えさせるような手法で脅しをかけたが、この時の米中間で話し合われた主たる話題は貿易と北朝鮮の核問題だった。トランプは貿易不均衡の是正を要求したわけだが北朝鮮が交渉材料になり、北朝鮮の核放棄を中国主導でできるなら貿易不均衡については目をつぶるというわりと分かりやすい取引が行われた。

で、しばらくそれで様子見に入ったわけで、その間に北朝鮮の金正恩委員長が訪中し、或いは中国主導で北朝鮮の核廃棄もあり得るかという観測も生まれたが、結局のところ北朝鮮サイドが自分たちのバックには中国様がいるということを世界に知らしめるだけの効果があっただけで、中国主導による北朝鮮の核放棄は実現されなかった。その結果を受けてトランプは北朝鮮と直接協議することにしたし、躊躇なく中国製品に大規模な関税をかけることを決心したのである。要するに一旦、チャンスを与えて相手のお手並みを拝見し、話しが違うということになればアメリカファーストの原則で押していくのだ。

この手法は北朝鮮に対しても行われていると私には思える。シンガポールで史上初の米朝首脳会談が行われたが、一方で具体的な中身が何もないという批判があった反面、事実上アメリカの勝利、または事実上北朝鮮の勝利など様々な評価があちこちで行われた。だが、上に述べたようにトランプは一旦相手にチャンスを与えて約束が実行されるかどうかをお手並みを拝見するという手法になるので、現状は北朝鮮が約束を守るかどうかの見極め期間と言うことができる(2018年7月12日)。見極め期間が終わりトランプが相手が約束を守らないと判断した場合、これまでに公言した通りの強硬な手段がとられる可能性は充分にあるわけだが、北朝鮮が核を放棄することは私はあり得ないと思っているので、一切は私の想像だが北朝鮮サイドは如何にしてあたかも約束を守ろうとしているかと信じさせる期間を引き延ばそうと努力するだろう。従っていつまで見極めるかのせめぎ合いということになる。

とはいえ、仮に強硬手段を選ぶ場合、周辺関係諸国との合意や協力は必要になる。日本は敗戦国でアメリカ様の言いなりになるのが宿命ではあるが、安倍晋三首相は押せ押せでトランプ大統領に迫っているはずだが、もう一つの主要なアクターである韓国の文在寅大統領は下げ下げで行くはずである。韓国から在韓米軍を撤退させて台湾にある程度の規模の海兵隊を置くというプランがあるとまことしやかに語られることもあり、にわかに信じることはできないが、絵空事とも思えない。韓国、台湾に関することもトランプ大統領は取引条件を示し、取引が成立するかどうかを見極め、決断するというやり方を繰り返すだろう。ヨーロッパは完全にトランプのアメリカに愛想をつかしているので、欧米連合で国際社会が動くということは当面は考えにくい。日米同盟が世界の一方の軸になり、巨大な中国が一帯一路で場合によってはヨーロッパで仲良くするというカウンターパートという新しい世界の構図が見えてこなくもない。しばらくすればインドも主要なアクターとして浮上してくる。

要するにはっきりしていることは日本がアメリカ様とどこまでも行く以外の選択肢を持っていないということだけで、あとはそれ以外がアメリカにつくか中国につくか現状では何とも言えない。ヨーロッパ、韓国、インド、台湾が果たしてどっちにつくかを見守りたいところではある。繰り返しになるがヨーロッパはトランプを見放しているので中国よりに傾く可能性はある程度あると言える。台湾は政権交代が起きれば大きく政策が変わるので、時期総統選挙の結果を見ないことには何とも言えない。韓国はなんとなく中国につきそうな気がするが、意外と親米勢力も健在なので見通せない。インドは日米同盟につくのではないだろうか。

全て私の想像です。いいですか。私の想像ですからね。念押ししますが、想像ですよ。


共和党の黒幕?ロジャーストーン

netflixのオリジナル制作ドキュメンタリーに『困った時のロジャーストーン』というのがあったので、ちょっと見ました。なるほど、アメリカの政治の世界はこうなっているのかというのがよく分かるいいドキュメンタリーフィルムです。

ロジャーストーンという人物はなんとリチャードニクソンの時代から選挙参謀として活躍し、その後はロナルドレーガンを大統領に押し上げ、最近ではドナルドトランプを大統領に仕立て上げた人物と言われており、要するに過去50年くらいの共和党大統領の誕生の背後で常に暗躍し、フィクサーとして成果を挙げてきた男ということらしいです。

で、このドキュメンタリーでは、政敵を倒すためには手段を選ばずネガティブキャンペーンを行い、政治の世界は金で動かせると信じ、勝つためにはできることは全てやるというタフさを持つ男としてロジャーストーンを描いており、視聴者に対して「これが、いわゆるワシントンの腐敗した政治家たちの黒幕ですよ」という印象を与える効果を持つものと言えます。私が感心したのはこの作品を見ることで、アメリカのロビー活動がどれくらいの影響力を発揮するかがよく分かったという点で、一般的な報道などで大統領が〇〇と発言したなどのことでは推し量りがたい良くも悪くも奥の深い世界があるのだなあとしみじみと思えたことです。裏で活躍していろいろと仕掛けをし、意中の人物を勝利させるという意味では、日本でいえば小泉純一郎さんにとっての飯島勲さん、田中角栄さんにとっての早坂茂三さんのような感じの存在と言えるのではないかなあと思います。私はロジャーストーンのような人がいることが良いとか悪いとかを論じたいわけではなくて、なるほど、そうなっているのかということをまずは受け止めたいといったところです。

ですが、ロジャーストーンという人物は裏で仕掛けをするわりにはなかなかに派手好きです。スーツも派手、舌鋒も鋭く、ボディビルディングでムキムキであり、背中にはリチャードニクソンの顔をタトゥーにして入れていて、求められれば服を脱いでそのタトゥーを見せてくれるという、かなり変わった男です。裏の人間なのに目立ちたがりみたいな感じでしょうか。飯島勲さんや早坂茂三さんもインパクトの強い人物ですから、いわゆるフィクサーと呼ばれる人たちも、それだけの仕事をするわけですから常人とは違ったオーラを放つものなのかも知れません。彼の自宅にはニクソングッズが山のように展示されていましたから、おそらくリチャードニクソンが彼の原点なのだと自覚しているのでしょう。

この作品によるとロジャーストーンはかなり早い段階からトランプ氏に目をつけていて、この男を共和党の大統領にしようと狙っていたらしいのですが、確かにこの作品で見る限り、テッドクルーズよりもトランプの方が遥かにインパクトがあり、ヒラリークリントンという大物と勝負するにはトランプ並みの破壊力がなければならなかったのかも知れません。ヒラリーさんよりトランプの方が見ていておもしろいというのは確かにありますから、おもしろいだけのおじさんを大統領にしてしまったことが吉と出るか凶と出るかはもう少し先にならなければ分からないものの、ロジャーストーンの選挙で勝てる人物を選ぶ目は相当鋭いと言ってもいいのかも知れません。

そうは言ってもクリントン大統領が登場したり、オバマ大統領が登場したりと民主党が勝っている場合もあるわけですから、ロジャーストーンが連戦連勝というわけでもなく、勝ったり負けたりを繰り返しているという意味では案外普通なのかも知れません。









小沢一郎とドナルドトランプ

今さら感は多少ありますが、ドナルドトランプさんが大統領になると予想できた人はかなり少なかったはずです。私もCNNをウオッチする限り、とてもトランプさんが勝とは思えませんでした。しかし、インターネット上では確かにトランプさん支持の声は高かったことも感じました。しかし私はまさか…と思い、インターネット上での声を無視していました。今思えば自分の不明を恥じるしかありません。

なぜ私がインターネットでのトランプさん支持の声を無視していたかと言うと、過去に小沢一郎さんがインターネットでは極めて多くの支持の声を得ていながら、実際的には菅直人さんに対して敗北したという事象があったからです。

そのころ私はインターネットでかくも高い支持を得ている小沢一郎さんが菅直人さんを圧倒すると考えていました。しかし実際には小沢さんは政治的に菅直人さんに敗北しています。その経験からネット上の支持不支持は現実に反映されているとは考えにくいと判断するようになりました。

さて、トランプさんですが、ネットで検索する限り、基本的にはトランプ支持の声が圧倒的に高く、ネットだけを見ている人にとってはトランプ勝利に見え、CNNを見ている人にはヒラリーさん勝利に見えたはずです。今、FOXは明らかにトランプさんを後押ししていますが、選挙期間中はややヒラリーさん寄りだったように記憶しています。

上記のことから言えることは、小沢一郎さんと菅直人さんが敵対していた時にはネットの声と実際が乖離していたのに対して、トランプさんとヒラリーさんが戦っていた時にはネットの声が実際に近くなっていたということです。

なぜ小沢一郎さんのケースとドナルドトランプさんのケースで違いが出たのでしょうか。アメリカの方が日本よりもインターネットが発達していたからと理解するのは必ずしも正しいとは思えません。日本のネット依存率のようなものはアメリカとさほど変わらないのではないかと個人的な実感としては思います。しかしながら、時間軸が数年ではありますけれど、差異があります。小沢一郎さんと菅直人さんが内ゲバで争っていたのは2011年から2012年あたりのことです。それに対してドナルドトランプさんとヒラリークリントンさんが競い合ったのは2016年。僅か4年の違いですが、この4年の間に世の中が大きく転換し、いわゆるテレビマスメディアからネットメディアへと人々の関心が移動したために、小沢一郎さんがネットで支持を得ていた時とトランプさんがネットで支持を得た時とでは読解すべき方向性に変化が生じたという理解ができるのではないかという気がします。

ということは即ち、今後は日本の大手メディアがCNNを通じて得た情報よりも自分でネットで英語のサイトをいろいろ閲覧して得ることができる情報の方がより信頼できるということが言えるのではないか、ここ数年で一挙にそういう方に変化したのではないかという気がします。飽くまでも私がそういう気がするというだけですが、ネットでなんでも検索できる時代ですから、それだけ自分で英語のサイトも読めるようになるよう訓練しないと先を読めないということなのかも知れません。或いは今後はやたらめったら英語に強い日本人が英語のサイト情報を日本人にネットで伝えるというのが通常になるかも知れません。もちろんAIが充分に発達すれば英語を理解しない人でもAIが自動的に翻訳してくれますから、英語の能力すら必要ではなくなるかも知れません。

以上、ざっとした感想ですが、何かご参考になることがあれば幸いです。

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トランプ氏がスコットランドへ行った件

イギリスの国民投票の結果が出たその日、トランプ氏はスコットランドのご自身のゴルフリゾートへ行っておられました。ビジネスという建前ですが、もちろん、史上稀にみる大投票について微妙な場所で発言すればメディアが食いつくに違いないと考えてのことと思います。ただし、私個人としては選挙対策上、あまり好ましくないのではないかという気がします。私はトランプ氏に大統領になってほしいともなってほしくないとも思っていませんし、それについての意見はありませんが、この件について試みに考えてみたいと思います。

イギリスでEU離脱が盛り上がった背景には移民問題があります。変な言い方ですが、今は先進国で暮らせる人になれるかどうかの椅子取りゲームみたいになっていて、生活をかけた深刻な問題になっています。トランプ氏としては「イギリスはイギリスファースト、アメリカはアメリカファーストでOKだ」ということなのだいうメッセージを出したいのだと推量しますが、世界の市場が大混乱を迎えるこんな時期に外国に行っている人が「アメリカファースト」と呼びかけてアメリカ人の心に果たして響くだろうかという疑問が湧いてきます。国内で新しいゴルフリゾートを作ったならセーフです。フロリダでもカリフォルニアでもルイジアナでも好きなところに作ればいいです。「私はこのようにビジネスを通じて雇用を生み出している」と胸を張ればいいのです。トランプ現象とサンダース現象の背景には、アメリカ人の多くが将来に不安を感じているということがあります。今、先進国の人はみんな将来に不安を感じています。だから、たとえば今回のような大投票があるときはアメリカにいて、アメリカ人の利益をちゃんと考えているというフリだけでも見せなくてはいけません。

今回のスコットランド入りを見た人は、いざとなったら自分だけどっか安全なところへ行きそうな人だなぁと漠然と感じると思います。その逆はないです。イギリスに行ったとしてもキャメロンさんに会うとかならまだいいです。政治家としての存在感を示したくらいの評価はできます。しかし、大統領選がこれから大詰めに入ろうと言うときにビジネスをしている印象はよくありません。大統領になってからも片手間でビジネスしそうです。もともとそういう風に見えているので、決定的な印象を与えるようなことは避けなくてはいけません。

しかし、もうやってしまいました。今思えば、選挙スタッフの幹部が辞めるという経緯も「スコットランドに行く、行かない」でもめたのではないかという気さえしてきます。想像です。トランプ氏はテレビをよく知っている人だということで有名ですが、今回はちょっと狙いすぎて外したのではないかという気がします。

ヒラリークリントンさんは最近は少し調子がよさそうです。スピーチをする表情に余裕が見られます。サンダース氏とデッドヒートをしていた時は大声で景気よく、という感じのスピーチで、明らかに焦っていましたが、その山場をいったん抜けたからか、ゆっくりと落ち着いた声で話しています。前は「厚かましいおばさま」イメージが強かったですが、落ち着いて話す姿はさすがです。堂々としています。「インテリジェンスとウイットのあるおばさま」に見えます。ヒラリークリントンさんに勝ってほしいとかほしくないとかはありません。

ただ、情勢的にはトランプ氏はお金もないしメディア戦略も外してるし大事なスタッフは辞めてしまうしで、ゆっくりと黄信号が灯っているように見えなくもありません。6月の段階で勝負が決まってしまっては面白くありません。今後もおもしろい感じになってくれるように期待しています。

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