ジュリアン・アサンジ氏が逮捕された件

昨日、ジュリアン・アサンジ氏がロンドンの警察に逮捕されたというニュースを知り、私は椅子から落ちそうなくらいに驚いた。アサンジ氏は死亡説が流れるほどに一切の活動を停止しており、エクアドル大使館内でまるで軟禁されているかのような生活を送っていた。昨日、BBCのbreaking newsをチェックしたところ、エクアドル大使館がロンドン警察の警官たちを大使館内に招き入れ、アサンジ氏を逮捕という流れになったということだった。それから数時間してCNNをチェックしたところ「招き入れた」というのはあまり正しくないとの意見が出されていた。アサンジ氏は難民としてエクアドル大使館の保護を求めていたが、氏が大使館内で国際法違反に当たる行為を繰り返したために難民としての条件を満たさなくなったためだと説明していた。

真相は分からないままだが、エクアドルとイギリスの間で手打ちがなされ、アサンジ氏の身柄が引き渡されたということは間違いない。気になるのは、なぜアサンジ氏が引き渡されたかということよりも、ロシアゲートについてアサンジ氏が何をしゃべるかということではなかろうか。

ロシアゲートはアメリカのモラー特別検察官による最終報告書が提出され、バー司法長官が新たに起訴される人物はいないと発言し、終止符が打たれたかのように見えた。モラー特別検察官はロジャー・ストーン氏など、トランプ大統領の周辺の人物をパクりまくり、反トランプの人々からは喝采されていた。しかし、最終報告書が出された今でも、トランプ大統領はその座に座っており、再選の可能性を模索中である。反トランプの人々が期待した、トランプ弾劾・失脚のシナリオは実現しなかったというわけだ。

しかしながら、ジュリアン・アサンジ氏の身柄が英米の司法の手に渡ったことで今後、ロシアゲートに関する事情で新たな展開が見られる可能性は高まってきたと言える。アサンジ氏はロシアゲートのキーパーソンの一人であり、たとえば何らかの取引が行われ、今後の人生で自由を得られるのと引き換えに、なんでもしゃべるというシナリオはあり得るだろう。反トランプの人々は、ヒラリー氏が敗けたのはジュリアン・アサンジ氏のハッキングの結果だと考えている人が多い。そのため、アサンジ氏はヒラリー氏支持者からは極めて激しく嫌われているが、今はアサンジ氏の口述次第でトランプ氏を危機に陥れるカードになったのだから、そういう意味で沸き返っているに違いあるまい。

やや話はずれるが、イギリスは今、一方でBrexit話で世界注視の的になっており、もう一方でジュリアン・アサンジ氏逮捕でやはり世界注視の的になっている。19世紀の勢いは失われているとはいえ、さすがは七つの海を一度は征服した国だと、イギリスという国の厚みのようなものに感心してしまった。




ジュリアン・アサンジ氏は今、どうしているのか

共和党の黒幕的人物であるロジャー・ストーン氏が逮捕されたことで、ロシアゲートがあるいは大きく動く可能性が出てきており、俄然、注目したくなるのがジュリアン・アサンジ氏だ。ロジャー・ストーン氏とは面識があるのではないかとの憶測は以前からあり、実際、ロジャー・ストーン氏は「アサンジ氏と食事したことがある」と発言した後、「あれはジョークだ」と訂正している。

アサンジ氏は近年、全く姿を見せておらず、現在もロンドンのエクアドル大使館に引きこもって生活しているはずだが、極端に言うと果たして生きているのかどうかということにすら疑問を抱かざるを得ないほど、全く何かをしている形跡を見せていない。今でもいるかどうかは分からないが、エクアドル大使館の周囲には支持者やファンがアサンジ氏が顔を出すのではないかと見守り続けて来たはずだし、英国の警察は24時間の監視を続けている。エクアドル大使館からもし一歩でも外へ出れば逮捕する構えを崩してはいない。

アサンジ氏は以前はインターネットを利用してエクアドル大使館の一室から動画の配信をしたり、ツイッターでつぶやいたりしており、ネット時代には引きこもっていても情報発信できるという彼らしい対抗策を続けていたが、そういう活動も行われなくなって久しい。エクアドル大使館の窓から顔を出すこともない。そのため、既に生きていないのではないかとの憶測も流れており、簡単に判断することはできないが、確かに生きていないとしても不思議ではないような気がしてこないわけではない。

さて、ロジャー・ストーン氏に対する逮捕事実は、大統領選挙の時にアサンジ氏がロシアが民主党にハッキングをかけて入手した情報を受け取っていることを知っていたのに議会で偽証したというものなのだが、FBIもそれなりに裏を取って満を持して逮捕に臨んだのだろうからアサンジ氏をどうするかも視野に入れていると考えていいはずだ。取引してアサンジ氏に証言させようと考える可能性もある。だとすれば、アサンジ氏が生きている可能性はやや上がったのではないかという気がする。生きているか死んでいるかくらいのことは、シークレットサービスは知っているだろう。トルコのサウジアラビアの領事館の中で何が起きたかもCIAは知っているのだから、アサンジがどうしているかも分かっているはずだ。




ロジャー・ストーンが逮捕された件

共和党の選挙参謀として知られるロジャー・ストーン氏がFBIにされた。私は日本人なので、いちいちアメリカの政局に付き合うつもりは特にないのだが、以前、historiajaponicaでロジャー・ストーン氏について書いたことがあって、突然そのページにアクセスが増えたので、一応、何が起きてるのか検索をかけてみたら、ロジャー・ストーンが偽証の罪で逮捕されていたのである。議会でロシアゲートについて追及された際、実際には多くの情報を得ていたのに、私は何も知らないとしらを切りとおしたことが今回の逮捕につながったらしい。アメリカの法務省のHPの声明文にもざっくりと目を通したが、他の証人に偽証するように説得した罪もあると書かれてあるので、日本風に言えば口裏合わせをしていたことになるし、本当だったら共謀の罪みたいなことにもなりかねない話になっている。

さて、ロジャー・ストーンは入り口に過ぎない。もちろん、かなり大きな入り口で、FBIの本丸はロシアゲートで現職の大統領をどこまで追求できるかということになっているはずだ。

ざっくりとFBIが現在描いている絵を私になりに推測してみたい。以下、念を押すが推測である。2016年の大統領選挙の年、ロシアの公的な機関が複数回、アメリカの民主党及びその関係者にハッキングをかけ、情報をwikileaksのジュリアン・アサンジに渡した。ロジャー・ストーンはそのことを知っていて、ドナルド・トランプにも話していた。また場合によってはロジャー・ストーンをハブにしてトランプとアサンジ、更にプーチンがつながっていた可能性もある。大統領には不逮捕特権があったはずだが、議会の弾劾には充分になる話である。ロジャー・ストーンが政治の世界に関わりを持ったのはリチャード・ニクソンが最初だったように思うが、二人の大統領を失脚させたロジャー・ストーンもただ者ではないよねえ…などとやや斜めな感想も持ってしまった。FBIの描いている絵の通りに物事が進んだら、トランプ氏は弾劾されて大統領の座を追われるか、ニクソンの時のように弾劾される前に自分から辞めるかのどちらかだ。まあ、多分、自分から辞めることになるのだろうけれど、史上二人目らしい。繰り返しになるが、その両方に関わっていたロジャー・ストーンは半端ない。

FBIも相当な自信を持って逮捕に踏み切ったのだろうし、CNNの動画を見たが、早朝の寝込みに彼の自宅を包囲していて、実にものものしかった。その映像をCNNに流すというのもなかなかの悪意があるが、FBIとしてはコミー長官の首を獲られた恨みもあって、相当な覚悟で臨んでいることだろう。トランプ大統領が登場したことで世界は変わるのではないかとも見られたが、結局は予算も通せずにメキシコとの壁ができる前に去る公算が高くなってきたとフェルミ推定したくなる雰囲気だ。米中貿易摩擦にも微妙な変化を与えるだろうし、大統領が変わればTPPの復帰の話も湧いて出るかも知れない。或いはペンスさんが大統領になるので、ハドソン研究所での演説通りにことを進めるのなら、米中関係はますます白熱するかも知れない。分からない。

以下は推測ではなく、私が想像力を逞しくして考えたことなのだが、シリアから手を引いたことでイスラエルに不安を与え、マティスにも見放されたりしたことで、トランプを守る人たちがいなくなったのかもしれない。クシュナーはかえって辛かったろうにとやや同情すらしたくなる。日本の首相はころころ変わるが大統領は最低でも四年やるし、多くの場合は八年やる。だがトランプ氏はあっという間にその時代が終わろうとしているようだ。ネットでいろいろ見た限りでは、トランプ大統領が嫌いなメディアの人々のややはしゃいでいる感じが印象深い。時代は更に次へと変わっていくことになりそうだ。やはりおもしろいだけのおじさんを大統領に選んだことのつけは大きかった(のかも)。

補足になるが、スノーデンがロシアで多分悠々自適に生きてるのと、アサンジがロンドンのエクアドル大使館で引きこもって生きていることの運命の違いも感じてしまう。ただ、話がここまで煮詰まってきた以上、アサンジ氏をやはり議会に呼ばなくてはいけないので、エクアドル大使館への包囲網は更に強まることになるかも知れない。