『ブレードランナー』を推します。知力体力で人間以上にデザインされたアンドロイド(レプリカントと呼びます)たちが開発され、過酷な環境での労働を強制されます。彼らには自我があり、自由を求めて脱走します。彼らの最大の弱点は非常に短い寿命に設定されていることで、脱走した彼らは寿命を延ばす方法を探ります。一方でデッカート刑事(ハリソンフォード)が脱走したレプリカントたちの逮捕する任務に当たるのですが、追撃する中で、1人1人のレプリカントが、それぞれに「生きたい、生きたい」と願い、生きるための徹底的な努力をし、虚しく死んでいく様が丁寧に描かれます。最後にラスボス最強レプリカントがデッカートに戦いを挑みます。これは仲間を失ったレプリカントからの復讐戦で、1対1だと絶対に人間が敗けるのですが、もはやこれまでのところでラスボスは寿命が尽きます。最初の劇場公開版ではラスボスは「電池切れ」で突然動きを止めます。後にリリースされたディレクターズカットでは、ラスボスは細胞のアポトーシスが起きて死ぬのですけれど、もはやこれまでと悟ったラスボスはデッカート殺害を諦め、ひざまづき、自らの死を受け入れ、自分のためのお葬式でもやるかのような厳かさで静かに息を引き取ります。デッカートはラスボスの死を見届ける役、証人になります。この映画は私の知る限り2つバージョンがありますが、他にもあったかも知れなくて、記憶が曖昧なのですけど、何度も撮影しなければならないのでハリソンフォードが切れまくったそうです。