やっぱりマモーの出てくる複製人間のやつだと思います。まず第一に、永遠の生命は可能かという人類永遠普遍の課題をテーマにしています。生に執着するマモーの醜さと悲しさががっつり描かれ、永遠の生命は幸福なのか?との問題意識を見る側に問いかけています。マモーの粗悪コピーが「全ては不死のためだ」と言って死にゆく場面が大変に印象的です。
警視総監が直々に南米まで行きルパンを探し続ける銭形を見つけ出しますが、この時、警視総監は銭形に「辛かっただろうねえ、長く日本を離れて」と言ってねぎらうのですが、当時はまだ戦争に行っていた兵隊さんの記憶が日本社会に強く残っていたため、この「日本を離れて」の一言には非常に重みがあるわけですけど、そういう点で当時の日本人の心情をぐっと掴むことができているというか、銭形がそういう古典的な仕事に真面目な日本人というイメージを背負っているということが非常に良く分かります。銭形は日本軍将兵のメタファーなのですね。ゴジラと同じです。
で、米大統領首席補佐官も出てきますけど、当時の方が今よりも米大統領の重みがあったはずですから、米大統領首席補佐官もなかなか渋くていい味を出しているのですね。その部下のフリンチはアメリカの世界支配の闇の部分を背負っていると言えます。次元がフリンチに対して「それがお宅の民主主義か。長い間ハンフリーボガードとマリリンモンローのファンだったが、今日限りだ」と言い放ちますが、ハリウッド映画を利用したイメージ戦略を世界に展開しつつ、実は力による支配をするアメリカを端的に風刺していると思います。