アメリカ、中国、ロシアは間違いなく大国ですが、インド、日本、ブラジルなどとなると、なんて微妙です。そこで、大国の定義を教えてもらえますか?

ハードパワーとソフトパワーという概念である程度説明できるかなと思います。

ハードパワーの代表的な例は軍事力です。たとえばアメリカ様に逆らったらトマホークとか撃ち込まれるので怖いので従おうと。ですから、巨大な軍事力を持つことは大国の条件の1つと言えると思います。ロシアの場合、軍事力は熊の如くに怖いと思われていたら、実はそうでもなかったというのがバレているところですね。

他に経済力もハードパワーに入ると思います。誰しも背に腹はかえられないわけですから、たとえば80年代の日本の企業がアメリカの企業を買収した場合、資本の論理は絶対ですから、買収された側の企業は親会社の日本企業の言う通りに動かざるを得ない。さもなければ首になるというわけですよね。ですから、80年代・90年代の日本は大国の条件の1つである経済力をがっちり持っていたと言う事ができると思います。今は偉大なる中国様がそうであるというわけですよね。

じゃ、ソフトパワーとは何かというと、価値観です。たとえば自由と民主主義の価値観を共有する国々で連携するという場合、それらの国々はアメリカ様に軍事力で脅かされたから連携するのではなく、自分たちの価値観を守るために自発的にがんばるというわけですよね。アメリカ様の自由と民主主義の価値観はそういう意味ではある程度イメージ戦略ではあるし、実際には軍事力にも助けられてもいるんだけれども、それなりに成功していると言えるのではないでしょうか。共産主義もソフトパワーとしては非常に優れていて、多くの人が共産主義の理念のために自らの命を省みずに使命を果たそうとしたと言えると思います。

かつての日本帝国はハードパワーでは世界をびびらせることができましたけれど、ソフトパワーはなかったと言えます。神道の価値観を広めようとして皇民化とかやったわけですけど、神道は価値観というよりも感性に近く、天皇との結びつきを感じられる人でなければ受け入れることのできないものですから、これを植民地の人々に崇拝せよ迫ったところで限界があったわけですね。

あと、エンタメもソフトパワーに入れていいと思います。日本のエンタメが好きだから日本語を勉強し、親日家になり、日本に留学して帰国後も日本と祖国の親善のために尽くすという人が実際にいるわけですけれど、そういう人が大勢いれば究極には日本の安全保障にも影響すると私は思います。最近は韓国がそこに着目して何十年もかけてエンタメ大国になったわけですね。これはもう素直に韓国の戦略勝ちを認めなくてはいけないと私は思います。アメリカのハリウッドにもそういうパワーはもちろんあるわけです。

ついでなのでもう少し踏み込むとですね、技術力・工業力はハードパワーかなと。たとえば台湾は半導体で世界をリードしているわけですが、これは台湾の安全保障と密接につながっています。かつて日本が半導体で世界を支配するんじゃないかくらいの勢いがあったことがあって、その時はアメリカが日本を小突きまくって半導体を手放させたわけですが、これもアメリカとしては日本にハードパワーを持たせたくなかったということであったと言えるだろうと思います。

でご質問への回答ですけれども、大国の条件にはハードパワーとソフトパワーがあり、ハードパワーには軍事力・経済力・技術力・工業力があって、ソフトパワーには価値観の伝播力、エンタメ力、インフルエンサー的なパワーというものがあると。「大国」と呼ばれるにはそれらの複合度合いによって決まってくる、掛け算の問題だと思いますが、たとえばアメリカの場合、軍事・経済・エンタメ・価値観の分野で大国ですからさすが超大国と言われるだけのことがあるということが分かります。日本の場合はまだぎり経済大国かも知れませんが、もはや可もなく不可もない国になってきた感じもします。韓国が新しくエンタメ大国として列強に加わりつつあり、やがて経済大国になるポテンシャルもあると。台湾も半導体大国として頭角を現しているわけですが、やがて経済大国にもなり得る。のような感じではないでしょうか。



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