「機動戦士ガンダム (主に1st) 」で現実世界の歴史や、戦争、政治がモデルになっている事やモノはありますか?

Quoraにて「「機動戦士ガンダム (主に1st) 」で現実世界の歴史や、戦争、政治がモデルになっている事やモノはありますか?」との質問を受けました。以下が私の回答になります。

第二次世界大戦と冷戦が下敷きになっていると私は考えています。以下に理由を述べます。

ジオンがナチスをモデルにしていることは間違いないとおもいますし、戦争の前半で圧倒的勝利を収めながら最後には国力の差を露呈して敗けるのも枢軸をイメージして描いたものだと思います。地球連邦はアメリカ合衆国連邦政府をイメージしているであろうことも見ていて分かります。たとえばジオンの軍服は色が濃いのでナチスの軍服を連想しますが、連邦の軍服は色が薄いのでマッカーサーなんかが来ていたライトなカーキ色を連想します。

で、その上で、なのですが、実はあの作品は地球連邦を批判する政治色を秘めた作品であると私は考えています。要するに反米アニメなのです。特にテレビシリーズを見ていると、地球連邦組織上層部のエゴイズムの凄さ、平然と弱者を見捨てる冷徹さ、などのようなものが要所要所に差し込まれて描かれていることに気づきます。

で、日本人向けのアニメですから、日本も当然描かれていて、それはサイド7なわけですね。サイド7は宇宙植民地なわけですけれど、地球連邦の都合で戦場にされてしまい、ホワイトベースのみんなは命からがら生き延びるのですが、ジャブローの地球連邦軍の上層部は左うちわでいつでも見捨てる気まんまんであるというような描き方になっています。

もうここまで言えばわかっていただけると思いますけれど、冷戦構造を皮肉っているわけですね。地球連邦の事情でサイド7が戦争に巻き込まれるというのは、アメリカに基地を提供し半分植民地みたいになっている日本にソ連が攻めてくるかも知れず、その時アメリカは海の向こうで涼しい顔をしているんじゃないかと言いたいわけです。地球連邦の官僚の腐敗を糾弾するのはアメリカが腐敗していると指摘したいからです。

赤い彗星のシャアは言うまでもなく共産主義を背負っていて、ルウム戦役などでは地球連邦軍を完膚なきまでに叩き潰す英雄であり、最後はザビ家もぶっ潰して新時代を切り開くというようなイメージを作者は抱いていたはずです。

とはいえ、シャアは本物のニュータイプであるアムロに敗北していくキャラでもありますから、共産主義も超えた新時代も見据えていたのかも知れないとも思います。



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