「台湾は人口2400万人位、GDP70兆円位の中でTSMCの投資額が3.3兆円とのこと。凄まじいですね。鴻海もあるし、この30年で、もはや日本とは師弟関係逆転ですね?」とのquoraでの質問に対する私の回答です。
台湾の経済発展が凄まじいのは事実と思います。特に最近の5年から10年での発展ぶりには目を見張るものがあり、生活水準も飛躍的に伸びています。おそらく台北の中心部の有名企業で働く人や起業して成功しているタイプの人であれば、一般の日本人よりも豊かな生活を享受しているのではないかと感じます。特に日本の生活水準が下がっていて、銀座や祇園のような旦那さんが集う贅沢なエリアは全盛期と比較すれば壊滅状態に近く、要するにお金に余裕のある人がいなくて、若い就職したばかりの人に話を聞くとその薄給ぶりには涙を誘うものがあります。私が新聞社に入った時は額面の初任給20万に対して諸手当がたくさんついて手取りは倍近くあるというようなも感覚だったのですが、今は初任給20万から保険や年金などが引かれて手取り3分の2くらいになるそうです。斜陽の国と日の出の国くらいの勢いの違いがあって、もはや日本がアジアで抜きんでて豊かという時代ははっきりと終わったと思います。「師弟関係逆転」と表現するためには、師弟関係が存在していることが前提になりますが、少なくとも日本人の実感としては師匠であったという感覚はないのではないでしょうか。師匠は弟子の幸福や生活に気を配ってやらなくてはいけませんが、日本人はそういうことはしてきませんでした。下請けとしてあごで使ってきただけです。台湾の方としてはいよいよ日本越えが見えてきたというところだと思います。シャープが買収された時、私は台湾にいましたけれど、国を挙げての祝祭ムードは非常に印象的でした。今日本の様々な資産はお買い得ですから、台湾人の不動産購入は拍車がかかると思います。台北の不動産は上がりすぎていて利回りが悪く、日本の不動産の方が儲かるという話がよく出ているようです。日本人は今さら不動産なんか…と手を出しませんから、これからは本格的に買われていくのではないでしょうか。たとえばパリやロンドンの不動産はムスリムの人々に買われまくっているそうですが、同じことが東京でも起きるでしょう。帝国ホテルの最大株主が台湾企業というような時代もすぐそこに来るような気がします。私は以前はもうちょっと日本にがんばってほしいと思っていましたが、最近は諦めました。買われるがままに買われるしかなさそうに思います。