「歴史上最も利他的だった人物とは誰ですか?」とのquoraでの質問に対する私の回答です。
ぱっと思いつくのは西郷隆盛です。彼は島津久光と対立して奄美大島に島流しにされた時、暇なので熱心に儒教の勉強をしたようなのですが、敬天愛人の境地にたどり着き、利他的に生きるとの決心をしたのではないかと思える節があります。元々サイコパス的なまでに目的達成のためなら手段を択ばない性格なのですが、その目的を利他的に生きるに設定したのが奄美大島で過ごした時期ではなかったかと思います。ですので、恐ろしいくらいに他人に尽くす、自分を与える、自分の利益は考えないを徹底し、結果として徳川慶喜に対しても勝利していきます。西郷・大久保が倒幕の決心をしたのは島津久光に命じられたのが大きいと私は思っているのですが、このようなちびりそうな大事業に成功したというのも、自分を捨て、失敗すれば死ねばいいだけとのある種の開き直りが導きになったとも思えます。西南戦争はそもそも西郷が計画して起きたものではないですが、この時の場合は、弟子たちがどうしても勢いを抑えることができず、やっちまったものですから、もはや後戻りもきかないという段階になって、「そうか、しかたがない。俺も一緒に死んでやるよ」という釈迦と修羅が一緒になったような境地で臨んだのだろうという気がするのです。