家康の死に方

徳川家康は通常、1616年、即ち大坂夏の陣の翌年に亡くなったとされています。私は長年それについて疑いを持たずに来ました。しかし、世間には様々な家康替え玉説が存在しています。たとえば桶狭間の戦いの直後、家康は今川氏から独立しますが、その時に本物は殺されて替え玉が家康になったのだとする説があります。ガンダムオリジンでシャア・アズナブルの本物が死んでキャスバルがシャアになるようなものですが、この場合、どちらかといえば替え玉が歴史の重要な部分に登場しまくることになるので、替え玉が本物ということでもいいのではないかというような気もしてきます。他には関ケ原の戦いのちょっと前だとする説もあります。女性に対する好みが変わったというんですね、それ以前の家康は未亡人の女性を好んでいたのですが、関ケ原の戦いの前からは突然、極端に若い女性を好むようになったというのです。女性の好みってそんなに簡単には変わらないのが一般的と思いますが、なんとなく胡散臭いし根拠薄弱というか、必然性のようなものに欠けるというか、イマイチだなあと思わなくもないんです。家康はその後、執拗に豊臣氏をなぶり殺しみたいにしていきますけれど、これが果たして戦国武将の中でも格段に高い教養があることで知られる家康のやることか、との指摘もあり得ますが、今川を武田と協力して滅ぼす時とか、武田を織田と協力して滅ぼす時の様子を考えると、弱いものをなぶり殺しにするのは家康の真骨頂と言えなくもありません。同じようなメンタリティで、多分、穴山梅雪という武田の遺臣も謀殺しています。小早川秀秋も、やはり同じようなメンタリティで、推測ですけど、毒殺しているっぽいですよね。

で、そんな家康なんですが、性格が陰湿というか、日本で一番有名な陰キャ風の性格らしく、非常に用心深くて、保身のためなら嫁さんも息子も殺すような人生を送るような人物ですから、うっかりやられる可能性は極めて低いと思うんですね。なので、大抵の替え玉説は信用できないなあとどうしても思うんです。

ところがですね、ある時、ふと気づいたんですが、家康の死に方って全然、家康らしくないんですね。家康は健康オタクで知られていて、自分で生薬を配合するし、食事だって一口四十八回噛むとか、徹底して長生きのためになんでもやった人なわけです。にもかかわらず、彼の最期は鯛の天ぷらの食べ過ぎで、食中毒を起こして死んだということになっているんですね。もちろん、司法解剖とかできてないですから、本当に食中毒なのか、胃がんなのか、毒殺なのかなんてことは分からないままですが、いずれにせよ、直接の死因が食あたりとかって家康に限って絶対にないと思えるんです。ですから、実は徳川の天下になったので替え玉が不要になったために、食中毒で死んだことにしたか、本当に毒でも盛って殺したかということだったとしても、そこまで不思議ではないような気がするんですね。そう思うと、死んだ時期も怪しいですよね。大坂夏の陣で豊臣氏が滅亡した翌年ですから、いかにも都合良く、やっておきたい仕事だけやり終えて死んだのように見えるわけですよ。もしも、もしもですよ、本当に1616年に死んだ家康が替え玉だった場合、本物の家康はいつ死んだのかということになりますけど、仮にそうだとした場合、やはり家康は大坂夏の陣で死んだ可能性はあって、それ以前ではないと思うのです。

たとえば家康は徳川幕府を江戸に開いた後、すぐに隠居して駿河城に入り、駿河城から政治の命令とか出しています。二代目将軍徳川秀忠とはある種の二重権力状態になっていて、徳川家臣もどっちが正統な命令権者なのか判断に悩んだという話もあるようですから、駿河城に入っていた家康は間違いなく本物と思います。偽物の家康が本物の秀忠に勝てるわけないからですね。

じゃ、家康が死んだのはいつなのかなってことになりますけど、大坂夏の陣で真田幸村が家康の本陣に突っ込んだ時、家康は自害を覚悟したともいわれているほどですから、本当にぎりぎりまで追い詰めたはずなんですけど、実はそのときに家康は戦死していて、ぶっちゃけ9分9厘徳川勝利で進んでいたわけですから、幸村を殺して家康は生きていることにし、家臣たちがとりあえず戦後処理を終えたと考えるとすれば、それなりに辻褄は合うように思います。

ただ、私のごく個人的な感想なんですけど、家康が日本史に残した足跡は確かに大きいものの、人間的におもしろそうな人かと言えば、超つまらなさそうな人のような気がするので、まあ、わりとどうでもいいと言えばどうでもいいような気もしますが、今、日本史をずーっと下っている最中なので、一応、今回みたいな話題も挟み込んでみました。



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