河井案里議員の記者会見を論じる

昨年から、河合案里議員がウグイス嬢に多めの報酬を支払ったことが法律違反の疑惑を招いている。ウグイス嬢にちょっと多めに報酬を支払ったというだけで、議員辞職しろとか言われるのは、過酷すぎるようにも思えるので、そのあたりは気の毒だとも思う。他ではもっとうまくやっているのに、要するにやり方が下手だったということでしかない。自民党内のしがらみが見え隠れするので、河合夫妻を敢えて窮地に落とし込んでやろうという人々がいそうにも思えるし、こういったことは、そのあたりに黒幕がいそうな気もする。証拠はなくて気がするだけだが、ウグイス嬢に報酬多めというのは、巨悪にしては話が小さすぎるので、なんか陰謀のにおいがしないわけでもないのである。

そういうわけで、同情すべき点が多々あるようには思うのだが、その後の河合陣営の動きは非常にまずいものではあった。全然巨悪とかじゃないので、早い段階で謝罪会見とかしていればけっこう生き延びるチャンスはあったようにも思えるが、河合議員は貝の如くに押し黙り、結果として世論を敵に回すことになってしまった。貝のように押し黙ってしまったのは、どうすればいいか分からないからで、それだけ本来の性格は素朴なのだと見ることもできるだろう。様々な傍若無人伝説があるが、そんな風にしかできない不思議系なのであるということで、だいたい説明がつきそうにも思う。繰り返すが、ウグイス嬢への給料多めだったというだけだったので、巨悪でもなんでもないのに、下手を売ってしまった。一番まずかったのは、記者会見というか、記者との立ったままのブリーフィングがいろいろな意味で残念な感じになってしまっていたのである。

まず、年末年始、記者はきわめて悪い感情を河合夫妻に対して持つようになっていたことは容易に察することができる。真冬である。にもかかわらず、河合事務所の近くでひたすら記者たちは張り込みを続けていたらしい。となれば、体力的にも精神的にも記者たちは追い込まれる。私も張り込み取材の経験はあるが、あれは結構堪えるものだ。なぜ、こんなことをしなければならないのかと記者は考えるようになり、冬の冷たい風が吹きすさぶ中、暖かい部屋で休息しているであろう河合議員への憎悪は増幅されやすくなる。しかし、上司の命令があるので記者は帰るわけにもいかない。早く記者会見をしてくれよとの不満が湧いてくる。そしてようやく河合議員が登場したのだが、警察の捜査に協力しますを繰り返すだけで、何を考えているのか、どうしたいと思っているのか、本人の主張はなんなのか、とうとう、全く案里氏の声が届かない記者会見になってしまった。これでは文字にすることができない。従って、河合議員の立ち会見は空虚なものであったとする内容のことしか書けない。記者は何日も待たされた挙句に空虚なブリーフィングに立ち会わされたので、報道に悪意がどうしても滲んでしまうことになった。ブリーフィングを終えて、河合議員が屋内へと入っていったあとの満面の笑顔を撮影されてしまい、しっかり報道されてしまったのも、記者が悪意を持ったことの帰結である。

では、どうすれば良かったのかということになるのだが、窮地に立たされた際、生き延びよう、有利に物事を運ぼうとすると、人は欲が出てしまい、あれもこれもとなってしまう。結果、失敗する。そうではなく、一点に絞らなくてはならない。記者会見は単に追求を交わすためだけにやるものではない。開く側の言いたいことを存分に主張して、世の中に訴えるという場でもある。案里議員は、自分の言いたいことを言うべきだった。言いたいことというのは、ウグイス嬢に多めにお金を払ったことがそんなに悪いのか?ということに違いない。普通に考えてもそこまで悪いとは思えない。巨悪とは全然違うわきの甘さ故の違反に過ぎない。そう主張すればよかった。多くの怒りたいだけの人は反発するだろう。金額の問題ではない、違反したことが悪いのだと。だが、確かにそれもそうだなと思う人もいるはずだ。味方は現状よりは増える。好意的中立の人も増やせたかも知れない。記者会見はそんなに何度も開けるものではないから、案里議員は貴重な好機を逃してしまったことになる。いいブレーンがいないのかも知れない。今から巻き返すとすれば、記者会見はやらない方がいい。今度記者会見があれば、議員辞職する・しないの話になるだろう。そうではなく、どこか一社を選び、独占インタビューに持ち込むのがいい。そこで主張したいことを主張すれば、案里担当の記者たちは驚き、記事を熟読し、自分も同じコメントをもらいたいとそれぞれに動き出す可能性はある。記者はそんなに考えて行動しているわけではないし、上司は特落ちを怖がっているだけで動きがあれば、「とりあえず行ってこい」しか言わないので、上のようなやり方でも充分に釣れるはずである。

ただ、懸念材料としては、1億5000万円の話がある。普通は1500万くらい党から受け取れるらしいのが、案里議員は15000万円もらっていたというものだ。あの話が出てから、自民党議員が公然と批判するという場面も見られた。別に自民党の中のお金を自民党員が受け取ったという話なので、犯罪ではないが、もうここまで来ると、党内で守ってもらえなくなってしまい、居続けることができなくなるという恐れはある。

そうはいっても、安倍首相は案里議員の辞職は話がややこしくなるのであんまり辞職してほしくないらしいし、どうも自民党内の政争という観点からも案里議員を残したいとの思惑もあるとかないとか、といったところらしい。ならば、安倍内閣が存続する限りは大丈夫かも知れない。今は有権者もそっぽを向いているが、案里議員の任期は、あと5年あるのだ。有権者が忘れてくれる可能性はあるし、がんばって仕事をしたら赦してくれる人も出てくるはずだ。私は別に案里議員を助けたいとも応援したいとも思わないが、ウグイス嬢に多めにお金を払っただけでキャリアが台無しにされるのは人間の情としてちょっとどうかと思うので、ちょっと書いてみました。





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