香港の騒乱について、私なりの考えがまとまったので、備忘のために書いておきます

11月に入り、香港の事態は予断を許さぬ、はっきり言えば楽観的な結末を想像しにくい事態に陥っている。

香港市民側の死者が出たこと。自殺か他殺か分からない死者が急増していること、香港理工大学では戦争と形容したほうがより適切と思える包囲戦が行われ、果たしてどの程度の犠牲者が出たのか、測りがたい事態に立ち至っており、それでもデモの鎮静化の様子はないことなど、いずれにせよ、市民側がひくことはなさそうに見える。

一方で、北京政府が引くこともなさそうだ。当初、行政長官の辞職や問題の発端になった送中法案の撤回などで、北京政府は妥協して事態を収めることを考えていたことは間違いないように見える。だが、香港市民の要求が更に大きなものになり、特に普通選挙の実施で両者は全く相容れることができなくなってしまい、最近は北京政府側も考えを改め、場合によっては強制的鎮圧を現実的な選択肢として考えているように見えるのだ。なぜそう見えるのかというと、私は新唐人テレビ、アメリカの声中国語版など、西側プロパガンダ系中国語メディアを見て情報収集をしているのだが、その映像を見る限り、警察側の行動に遠慮がなくなっていることが見て取れるし、個々の隊員は香港市民のデモに対して怒りを感じているように見受けられる。つまり、警察側は暴力的に市民を制圧することにためらいはないのである。当然、より上層部からの示唆なり指示があってのことと推察することができる。

香港は東洋の真珠とも呼ばれた世界の憧れの都市である。文明的でおしゃれで民度の高い香港市民が、たとえば第二の天門事件のようなことが発生してその犠牲になることは、想像するだけでも忍び難い。そのようなことは発生してほしくない、なんとか避けてほしい。しかし、事態はどうもそこまで進まなければ収まる様子はないようだし、市民、警察の双方がそこまで行ってもいいと腹をくくっているように見えてならないのだ。

最近、香港の人民解放軍の兵士たちがマスメディアの前に登場することがあった。彼らは路上のバリケードを片付けるというわりとあっさりとした任務を終えて去っていったのだが、世界に与えたインパクトは重大なものがある。北京政府には香港の人民解放軍を動員することもできるのだということを無言で示したのだ。どうなっているかは分からないが、広州、深圳あたりに戦車が集合するようなことにでもなれば、武力による鎮圧が現実的な日程にのぼってきたということができるだろう。もちろん、戦車が集合しているかどうかを確認する術はないので、全ては事が終わってからわかることになるだろう。

複数のメディアが一日に何度も香港からライブ放送しているのは、一つにはアクセスを稼げるということもあるだろうが、ライブ放送することで秘密裏に処分されることを避けようとする意図があるのではないかとも思える。カメラがオンになっている前で、戦車が遠慮なく進むというのはやりにくいに違いない。だが、このようなことまで話として出てくるということは、事態がそれだけ切迫しているということだ。これほど歴史が緊迫することは、あまりない。私個人も最近は情報収集に忙しく、疲労困憊した。

今後、香港はどうなるのだろうか?普通選挙が実施されるようになれば、やがては世論を背景にした独立政府が目指されるだろう。もちろん、北京政府は認めないだろうから、事態は泥沼化する。最悪の場合、香港はシリアのような混乱状態が常態化することも考えられる。東洋の真珠は守られなければならない。

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