イオンのミスタードーナツ

イオンのミスタードーナツで、イオンについて考えた

イオンは全国に500店舗くらいあるらしい。47歳都道府県全てを網羅していると言っても過言ではない。3000市町村を完全カバーというわけにはいかないようだが、銀座のような超都心にはなく、限界集落のような地域にもないので、「中流=生活圏にイオン」という理解でさほど外れてもいないような気がする。イオンは消費者フレンドリーで物価も割安であり、ミスタードーナツやサイゼリヤのようなお店もあって言うことはないはずなのだが、最近、やや雲行きが怪しいらしい。イオンは現在、減益が話題になっている。やや衝撃的だったのは、私が今回、ちょっと休憩のつもりで入店したミスタードーナツがイオンの当該店舗から撤退する旨の張り紙がされていたことだった。もうイオンでは商売にならないということなのだろうか。イオンは割安、リーズナブル戦略を用いているため、客単価は低い。ミスタードーナツですら、やや高額に感じられるほど、イオンの食料品売り場は価格が安く設定されている。ミスタードーナツのような歴史ある市民の味方をも敬遠するほどに、人々の財布が硬くなっているということなのかも知れない。尤も、近隣のマクドナルドは堅調に見えるため、消費増税の影響かどうかは測りがたいとも思えた。まあ、関係ないはずもないのだが。

イオンの発展は自民党が無理押しした大型店舗法の改正と関係がある。大型店舗法はそもそも商店街などの個人商店を守ることを目的とした法律で、アメリカのJCpennyみたいなモールが進出して個人商店を圧迫することを防ぐことを目指していた。ちなみにJCpennyはバックトゥザフューチャーでマーフィーとドクが犬を使ってタイムマシーンの実験をする場所である。どうでもいいと言えばどうでもいいが。

自民党は資本家+農家の支持によって成り立っている政党であるため、個人商店の票を失うのは痛い。しかし一方で、アメリカからの要求は厳しかった。JCpennyみたいな大型店舗が世界一豊かな日本で商売できるように法律改正せよとねじ込み、自民党は応じざるを得なかった。ここは自民党のもろさやぶれを露呈したものだと言えなくもないだろう。一方に於いて個人商店主の利益を守る政党でありながら、一方に於いてはアメリカの利権も守らなくてはならず、常にではないが時として利益が相反し、自民党はそのバランスをとるために苦悩せざるを得なかった。批判というよりは、同情したい。結果、大型店舗法に関しては、自民党は妥協し、改正して大型ショッピングセンターやモールが国内で作れるようになった。

では、JCpennyがあちこちにできたかと言えば、そのようなことは起きなかった。繊細な日本の消費者が喜んで財布のひもを開けるような商品を大味なアメリカの大型店舗が提供できるわけではなかった。フランスカルフールも、日本の市場に於いては同じだった。大型店舗法の改正によって最も大きな利益を得たのは、間違いなく日本資本のイオンである。日本の消費者という手ごわい客層を相手に心の機微をつかむ商売ができ、かつニチイなどの積み重ねて資本力のある企業は限られていた。一時期、大型店舗はイオンの独壇場のようにすら見えたほどだ。

イオンが伸長した結果、各地の商店街がシャッター通りとなり、個人商店は店じまいし、人々は自動車に乗ってイオンへ行き、必要なものをまとめ買いするようになった。消費生活がある程度アメリカ的になったということもできるだろう。だが、これをして日本の商店街をつぶしたのはイオンだとか、法律を改正した自民党の陰謀だとか、或いはアメリカの陰謀だなどと言うのは早計である。確かにJCpennyみたいな店舗が出せるように法律を変えたのは自民党であり、変えさせたのはアメリカであり、漁夫の利を得たのはイオンである。だが、人々がイオンを選ぶにあたって、なんらの強制も働いてはいない。政府や国家、政権政党がプロパガンダをして、或いはイオンで買わなければペナルティなどの暴政を行うことによって消費者をイオンに集中させたわけではない。人々は自発的にイオンを選んだという事実を忘れてはいけないだろう。消費者は自発的にイオンを選び、個人商店を見捨てた。イオンの発展は国民の意思の帰結であるとすら言えるだろう。従って、シャッター通りが生まれた責任をイオンに問いかけるのは間違っている。責任を負うべきなのは、消費者だ。

さて、イオンがあんまり盛り上がっていないことに話を戻したい。或いは人々の生活が脱自動車化したことにより、イオンまで行くのが大変なので、結果としてイオンに人が集まらなくなったのかも知れない。または、日本人の消費のスケールのようなものがいよいよ本格的に縮小し、イオンの創意工夫では対応しきれないところまで来たのかも知れず、案外便利なアマゾンプライムが日本市場のイオンに対する挑戦者として登場したことが大きいのかも知れない。ローソンもネットスーパーをやっているし、ネットでスーパーマーケットということになれば、市民はあらゆる商品の値段を徹底的に比較することができるし、手間をかけずにあちこちに注文できるため、イオンの充実した品揃えはあんまり意味をなさなくなってきたのかも知れない。イオンに行けばなんでも揃う時代が終わりを告げようとしており、今後はスマートフォンさえあればなんでも買えるので、店舗とかいらなくない?という時代に突入することもあり得る。今日はイオンへちょっと足へ向けただけで、いろいろと感じたので、ここに備忘として書き残すことにした。

さっきイオンの株価を検索してみたが、こちらもあまり盛り上がってはいない。イオンの株主になれば、買い物のたびに割引があり、本当かどうかは知らないが毎日ミネラルウオーターがもらえるらしい。お得なのだが、リーマンショックで一度残酷な感じになっていて、アベノミクスの大相場で大いに盛り上がり、今、アベノミクスの終焉が明らかな中、消長気味である。

ネットでの消費が主役になった場合、趣味はショッピングとか、趣味はウインドウショッピングの人はどうすればいいのだろうか。あ、ネットサーフィン…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください