共和党の黒幕?ロジャーストーン

netflixのオリジナル制作ドキュメンタリーに『困った時のロジャーストーン』というのがあったので、ちょっと見ました。なるほど、アメリカの政治の世界はこうなっているのかというのがよく分かるいいドキュメンタリーフィルムです。

ロジャーストーンという人物はなんとリチャードニクソンの時代から選挙参謀として活躍し、その後はロナルドレーガンを大統領に押し上げ、最近ではドナルドトランプを大統領に仕立て上げた人物と言われており、要するに過去50年くらいの共和党大統領の誕生の背後で常に暗躍し、フィクサーとして成果を挙げてきた男ということらしいです。

で、このドキュメンタリーでは、政敵を倒すためには手段を選ばずネガティブキャンペーンを行い、政治の世界は金で動かせると信じ、勝つためにはできることは全てやるというタフさを持つ男としてロジャーストーンを描いており、視聴者に対して「これが、いわゆるワシントンの腐敗した政治家たちの黒幕ですよ」という印象を与える効果を持つものと言えます。私が感心したのはこの作品を見ることで、アメリカのロビー活動がどれくらいの影響力を発揮するかがよく分かったという点で、一般的な報道などで大統領が〇〇と発言したなどのことでは推し量りがたい良くも悪くも奥の深い世界があるのだなあとしみじみと思えたことです。裏で活躍していろいろと仕掛けをし、意中の人物を勝利させるという意味では、日本でいえば小泉純一郎さんにとっての飯島勲さん、田中角栄さんにとっての早坂茂三さんのような感じの存在と言えるのではないかなあと思います。私はロジャーストーンのような人がいることが良いとか悪いとかを論じたいわけではなくて、なるほど、そうなっているのかということをまずは受け止めたいといったところです。

ですが、ロジャーストーンという人物は裏で仕掛けをするわりにはなかなかに派手好きです。スーツも派手、舌鋒も鋭く、ボディビルディングでムキムキであり、背中にはリチャードニクソンの顔をタトゥーにして入れていて、求められれば服を脱いでそのタトゥーを見せてくれるという、かなり変わった男です。裏の人間なのに目立ちたがりみたいな感じでしょうか。飯島勲さんや早坂茂三さんもインパクトの強い人物ですから、いわゆるフィクサーと呼ばれる人たちも、それだけの仕事をするわけですから常人とは違ったオーラを放つものなのかも知れません。彼の自宅にはニクソングッズが山のように展示されていましたから、おそらくリチャードニクソンが彼の原点なのだと自覚しているのでしょう。

この作品によるとロジャーストーンはかなり早い段階からトランプ氏に目をつけていて、この男を共和党の大統領にしようと狙っていたらしいのですが、確かにこの作品で見る限り、テッドクルーズよりもトランプの方が遥かにインパクトがあり、ヒラリークリントンという大物と勝負するにはトランプ並みの破壊力がなければならなかったのかも知れません。ヒラリーさんよりトランプの方が見ていておもしろいというのは確かにありますから、おもしろいだけのおじさんを大統領にしてしまったことが吉と出るか凶と出るかはもう少し先にならなければ分からないものの、ロジャーストーンの選挙で勝てる人物を選ぶ目は相当鋭いと言ってもいいのかも知れません。

そうは言ってもクリントン大統領が登場したり、オバマ大統領が登場したりと民主党が勝っている場合もあるわけですから、ロジャーストーンが連戦連勝というわけでもなく、勝ったり負けたりを繰り返しているという意味では案外普通なのかも知れません。









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