戦争を様々な局面や視点から議論することが可能ですが、現在主としてとある情報機関の政治宣伝を中心に追いかけているところで、植民地に於ける、いわゆる「皇民化」も、なかなか熱心に行われており、その一環として映画もずいぶんと用いられていたことが、こつこつ資料を読むうちにわかってきました。で、台湾のとある女高で、いろいろな映画をみせて、戦意高揚、皇民化、国威発揚を行ったという趣旨の記事を見つけたので、ちょっと紹介したいと思います。
当該機関が発行していた昭和14年5月11日付の号では、当該の女学校で神社にも参拝させるし、奉仕活動もさせるし、千人針も作らせるしと、戦争協力に邁進といったところなのですが、入営する兵隊さんの見送りや慰問品の製作など、大活躍といえば大活躍をしています。やはり若い兵隊さんにとっては、女学生の見送りとかはかなり「効く」のではないかと思います。で、当該女学校の教育活動の一環として、映画の視聴というのがあり、次のような映画がリストアップされています。
事変ニュース、正義日本、小楠公とその母、スパイ戦線を衝く、五人の斥候兵、海軍生活、東洋平和の道、出世太閤記、南郷少佐、聖戦、皇道日本、西南の役と大西郷、歌舞伎劇、羽衣(能)など
とされています。羽衣は私も能舞台に出かけて拝見させていただいたことはありますが、歌舞伎はどのような演目をしたのかは当該の記事からは不明であり、他の映画もタイトルからざっくりとした想像はつきますが、果たしてどういう内容の映画なのか具体的なことは全然分かりません。プロパガンダ映画であることは間違いないとは思いますが、ネットでもしみることができるのなら、見つけたらみてみたいと思いますし、最終的には京橋のフィルムアーカイブに当たって砕けろで問い合わせてみるしかないかも知れません。
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