昭和14年ごろになると、簡易保険の宣伝がやたらと目につくようになってきます。簡易保険そのものはけっこういいというか、私も入院した時に簡易保険で入院特約金を受け取ってますから、簡易保険には世話になってます。
それはそうとして、歴史研究の視点から、簡易保険がどのように戦争と関係していたかについて書いてみたいと思います。昭和14年3月11日付のとある情報機関の発行した刊行物では、最後のページで「簡易保険相談所」の広告がドーンっと載っています。これは何を意味するかというと、やはり戦費の調達と深く関係しています。
当該の刊行物では物資の不足と節約、国債の購入、貯金の奨励(国債購入費に充てられる)などを盛んに書き立てています。その流れで言えば、簡易保険もまた戦費調達のために奨励されたと見るのが自然ではなかろうかと思えます。当該の広告でも「報国健康」とドンっと書かれてあり、簡易保険に入ればお国のためにはなるは、自分が病気になったら助かるわでいいことづくめ、いいよ。ほんとにいいよ。みたいな内容になっています。
当該の刊行物は当初、一切広告がありませんでしたが、時代が下るごとに少しずつ普通の広告が挿入されるようになっています。国策とか戦争とか、そういうのとは関係のな普通の商業の宣伝です。当該情報機関もだんだん予算が削られていき、広告営業をしていたのかと思うと、ちょっと涙ぐましい気もします。まあ、もっとも、お国の機関の発行物ということで、殿様広告営業であったには違いなかったでしょうけれど。
広告
広告
関連記事
昭和史38‐グアム基地建設とアメリカのモンロー主義
昭和史37‐映画『明け行く厦門』と東亜新秩序
昭和史36‐抗日華僑を調査
昭和史35‐軍人のパラダイス(それって慰安所?)
昭和史34‐帝国声明と近衛文麿