昭和史30‐南洋華僑に関する調査

昭和13年9月11日付のとある情報機関が発行した機関紙に「南洋華僑」という記事が掲載されています。南洋華僑はお金持ちも多いですから、蒋介石政権に献金している人も多く、彼らが蒋介石につくか、それとも汪兆銘側につくかで戦局に影響するという発想で書かれたもののようです。で、その内容ですが、以下のような感じで書かれています。

1、タイでは華僑がめちゃめちゃ影響力を持っているので当局は華僑の排日を取り締まることができない。
2、マレー(英領)では排日運動が激烈で、日本人は隠忍自重を強いられている
3、インドネシア(オランダ領)では日本からいろいろ輸入しないといけないので、わりと寛大
4、インドシナ(仏領)では、華僑の影響力がどんどん強くなっているので要注意
5、英領北ボルネオ 華僑の勢力は強いが交通が不便な場所なので、あんまり心配しなくていい

というような感じです。ぶっちゃけ圧倒的に日本不利で、まあ、正直なところが書かれてあると思っていいのではないかとも思います。
当該の記事では、華僑は東南アジアでかなり大きな力を持っていて蒋介石に経済的な支援を与えているだけでなく、文化面でも蒋介石を支援し、反日を進めているので、油断ならないが、今は戦局は蒋介石に不利なので、そうすれば華僑の心も離反するだろうというような言葉でしめています。

結果としては、蒋介石はねばり勝ちをしたわけですし、日本は日中戦争で局地戦で勝ったとは言えますが、全体的に見れば国際世論を味方につけた蒋介石のやっぱり勝ちだったわけです。

当該情報機関は華僑の動向は熱心に追いかけていますし、植民地での皇民化運動、政治宣伝にも熱心ですが、それ以外の国際世論というものにほとんど注意を払っていません。このあたりに当時の日本帝国の脆弱さ、読みの甘さ、視野の狭さがあったのではないかと思えます。私も日本人ですから、日本が戦争に敗けたというのは残念なことだとは思いますが、資料を探れば探るほど、そりゃ、敗けるわなあ、昭和13年の段階で、局地戦以外はぶっちゃけぼろ負けだわ…とため息をついてしまいます。

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