昭和史7‐国民精神作興週間

昭和12年の末頃、国民精神作興週間なるある種のイベントが行われました。みんなで家の外に出て日の丸を振ったり、ラジオ体操をやったり、献金を呼び掛けたりしたらしいのですが、そこまですることには鬼気迫るものを感じざるを得ませんし、現代人の目から見てどうしてそこまで蒋介石と戦争を続けたいのか謎にすら思えてきます。もっとも、国際連盟脱退後のことですから、世界の中で孤立してしまったという現実がより一層、日本人に危機感を持たせてしまったのかも知れません。

昭和12年12月11日付のとある情報機関の資料では、日本の財政が金銭的に厳しい状態におかれていたことを示しています。曰く国際収支での均衡を保たなくてはいけないため、「海外旅行した者は土産物を差し控えるように」とのお達しまで出ています。外国へ旅行すればそれだけ国際収支がマイナスに傾くからで、そのような点にまで目を向けなければならないということはかなり切迫した状況だったことが分かります。国債もなるべく低額で予算の少ない人でも買えるようにするべしとも書かれてあり、今でいえば消費税を上げる上げないくらいの感覚でとにかくどこからでもいいから戦費をなんとか調達しなくてはいけないという必死の様相が伺えます。

興味深いのは当時の台湾で台湾在住の中国籍の人たちからの献金があったことも報告されていることです。当該資料では「彼等の自発的で麗しい心情は国境を越えて怨念を離れて、この献金となって現れて居るのである」と述べています。個人的には中国人はやはり頭が良いとうならざるを得ません。日中戦争中、日本もしくは日本の海外領土で居住する中国人は、日本の官憲の好意的な中立を勝ち取る必要があったでしょうから、その好意的中立をお金で買ったとも言えます。身の安全のためなら安いものです。鋭敏な保身の本能はとても日本人にまねできるものではありませんから、これは中国人はさすが一枚も二枚も上手だと認めざるを得ないのではないかと思えます。

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