人にとって、持ち物は大切です。というのも、そこで人間性は人品骨柄みたいなものがみられてしまう場合が多いからです。もちろん、清貧の美徳というものもありますから、良いものを身につければ無条件にいいとまでは思いませんが、やはりある程度は恥ずかしくないものを身につけるべしとも言えると思います。教会やお寺が荘厳だったり、壮大だったりするとありがたみが増すように思える(場合もある)わけですし、人は存在そのものが、生きているというだけで個々人が神聖な存在であるということもできると思いますので、自分自身をセンスよく着飾ると言うことはそれなりに合理的というか、大切なことかも知れません。
個人的に重視するのは腕時計、靴、メガネで、それ以外はわりとユニクロかギャップ、特に職場が大学というわりとラフな雰囲気で押し通せることもあってびしっとスーツということはあまりありませんが、スーツの場合ならネクタイをちょっと意識をしてしまうなあというところはあります。
そうはいっても、腕時計にお金をかければそれでいいのかという単純なものでもないように思います。私の父は何十万円もするプラチナの腕時計を持っていましたが、そんなものを見ても私は別に「素敵だなぁ」というようなことは思いませんでした。おっさんくさいなぁという感想しか持つことはできませんでした。もう一歩進めて、では10万円の時計ならどうだろうかと考えた場合、果たして自分に8万円の時計と10万円の時計の見分けがつくかといえば、それだけの目利きの自信はありません。また、高い腕時計を買いさえすればいいというのであれば、経済力につきることになりますから、ここでわざわざ論じる必要もありません。私としては安っぽく見えなければそれでいいという結論に至っており、安くて良いものを見つけるだけのセンスの良さも持ち合わせていませんので、自分に「一万円の法則」というものを適用しています。
即ち、腕時計であれば一万円以上のものを買えば、まあ、そこそこ見苦しくない、安すぎない、運が良ければちょっとハイセンスに思ってもらえるかも知れないものを買うことができます。腕時計は一つ買えば何年も使えますから、それで「あ、この人、ちょっとおしゃれだな」と思ってもらえるのであれば、わりと安い買い物というか、抜群のコストパフォーマンスと思えます。
靴も同じで、一万円以上の靴を一年で履きつぶすというのが自分の中の原則になっています。一万円以上の価格の靴であれば、靴が安っぽくて恥ずかしいということはまずありません。素晴らしい靴を一足買ってメンテナンスし続けるというのも手ですが、性格的にあちこち歩き回りますので、どうしても靴はボロボロになって行きます。ですので、一年に一足はきつぶす。を原則にしています。どんな靴を履いているかは意外と見られていますので、本来ならもうちょっと投資すべきかも知れず、半年に一回買い替えるくらいの覚悟を持った方がいいかも知れないのですが、まあ、一年一足一万円であれば、自分の分に見合っているようにも思えます。高価な靴を何十足も持っている人もいるようですが、それはある種のパラノイアと思いますので、そこは注意すべきではなかろうかと個人的には思います。
さて、メガネです。メガネは人によりけりな部分が大きく、好みにも左右されますが、ここでも一万円の法則が適用可能と思います。メガネの場合、レンズの仕様によって値段が変わっては来ますが、ここでは「フレームで一万円」という法則で考えたいと思います。超安売りのレンズ込みで数千円のメガネが悪いとは思いませんが、一万円以上のフレームにすると、明らかに雰囲気が違います。頭良さそう、理知的、思慮深い感じがする。というのが滲み出てきます。個人的にはすっごく高いゴテゴテしたフレームは好ましくないと思います。そういうメガネをかけている人を見ると「自意識過剰…」という印象が先にたち、好印象とは思えません。メガネは一つ作れば長期間使えるわけですから、それで好印象を狙えるのであれば、コストパフォーマンスの高い投資と言えるのではないでしょうか。
最後にネクタイですが、アニメネクタイみたいな変なものでなければ、男性の場合、ネクタイをしているだけで、大体、多少なりとも引き締まった印象を与えることができますので、ネクタイをするチャンスがあれば、是非、ネクタイをするべきだと思います。ネクタイに限って言えば、4000円とかでもなかなかの好印象なネクタイがありますので、必ずしも一万円の法則が適用されるとも言い難く、もっと安くてもオーケーと思います。ネクタイの場合はしているだけで印象が違いますので、派手過ぎない印象のあるもでさえあれば、いいのではないでしょうか。
腕時計、靴、メガネは必需品であるが故に買わないわけにもいきませんから(まあ、腕時計は要らないという人もいるでしょうけれど、腕時計をしているだけで好印象なので、是非)、少しだけ高いもの(一万円程度のもの)を身に着けるだけで周囲に与える印象は良くなるので、人生もその分よくなるという結論であります。もちろん、人生はアイテムだけで語ることのできるほど甘いものではなく、もっと深いものですから、アイテムは飽くまで小道具。人生をより良くするための一手段として考えるのでちょうどいいのかも知れません。