アメリカ企業がフィリピンにアウトソーシングしている件

今、アメリカ企業からフィリピンの企業へのアウトソーシングがちょっとしたブームになっているとフィナンシャルタイムスが報じています。アメリカの消費者がコールセンターに電話するとフィリピンのスタッフにつながり、説明を受けるというサービスなどがあるらしいのですが、経済の法則に則ったと言える良い面と、それ故にか或いは政治的な意味での悪い面の両方があるようです。

良い面というのはもちろん、フィリピンの人件費はアメリカのそれよりも遥かに低いはずですから、アメリカの消費者はより安い値段でサービスを受けることができるということがあります。ですが一方で、それだけアメリカ人の雇用を奪っているということが、いわば悪い面で、ドナルドトランプさんが大統領になったことで、アメリカという巨大消費地の企業が第三世界の人件費の安い国や地域にアウトソーシングするというビジネスモデルに地殻変動が起きるかも知れないというようなことらしいです。

物価が安くて雇用のない国と、物価が高くて雇用のある国だったら、私は個人的には後者の方がよりよいのではないかと思いますので、アメリカの企業に強引にでもフィリピンから引き揚げさせてアメリカ国内にコールセンターなりなんなりを置いてアメリカ人の雇用を増やすというのは、ある一面に於いては理に適っているようにも思えます。より高付加価値なものをより安価に提供できる企業が生き延びるという経済の法則から考えてみれば、そのような強引なやり方をすると結局はいわゆる国際競争力の衰えを招く可能性もないとは言えず、これについては今までのモデルではない、これからの話になりますので、すぐに答えが出るわけではないですが、今後、どうなっていくものか注目したい点ではあるように思えます。

フリードマンが『フラット化する世界』という本を書いて話題になったことがありますが、今は中国でもどこでも人件費が上がっていて、かつてほどいわゆる主要国との賃金差が大きいわけではなく、対して差がないのなら、或いはアメリカ国内にサービス拠点を置いた方が何かと便利ということは充分にあり得るようにも思えます。その場合、世界は再びフラット化からブロック化へと移行していくかも知れないのですが、果たしてそれが第一次世界大戦前後の時代に後退していくものなのか、それとも全く私たちの知らなかった新しいモデルへと移行していくものなのかも注意深く見守りたいと思います。

フィリピンの企業がアメリカ企業のコールセンターを引き受けることができる背景には、フィリピン人の英語力の高さということが挙げられると思います。20年ほど前はインドにコールセンターが移っていることが話題になったこともありますが、これもインド人の英語力の高さが背景にあると思えます。しかしながら、アメリカ人の知り合いの経験談によると、コールセンターの人が何を言っているか分からなかったので、コールセンターとしての役割を果たしていないという面もあるらしいので、「英語力」だけでは片付けることのできない面もあるのかも知れません。

アメリカという巨大な内需国の主要な言語が英語だということは、確かにフィリピンやインドのように英語の話せる人の多い国や地域にとってはビジネスチャンスになり得ます。では「日本人も世界を相手にビジネスだ!英語力が低いからアメリカ企業のアウトソーシングをフィリピンやインドに獲られるのだ!」という結論に至るかと言えば、私個人の意見ですが、そういうわけではないように思えます。

日本はアメリカに次ぐ豊かな内需国家です。英語圏から受注して経済を回すわけではないので、ぶっちゃけ英語は必要ないとすら言ってもいいかも知れません。私も英語はよく勉強しましたが、結局のところ役立っているのは英語圏のニュースを聴いて「ふーん、そうなのか」と思う程度のことしか具体的に利するところはありません。

トランプさんの今後の出方がよく分からないということや、就任演説があまり良くなかったということで、今日は円高株安に振れたようなのですが、外国のことはそこまで気にする必要はなく、日本は日本でやっていけるよう、内需を充実させていく道を選ぶのがいいのではないかという気がします。江戸時代は国内の需要だけで経済発展したわけですし、戦争が終わって70年以上過ぎ、今さら輸出で外貨を稼がないと困るというような時代でもありません。

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