外国人の権利

民主党政権期、鳩山由紀夫菅直人首相時代に外国人参政権が話題になり、いろいろな人がそれぞれに心の中で「自分は賛成だ」「反対だ」など、様々に考えたのではないかと思います。

外国人も日本人も国家に所属する以前の段階として自然人としていわゆる「人権享有主体」であることには違いなく、自然人としての生存権などはどの国の人がどこで暮らしていようと当然認められるものとして多くの人が一致できるのではないかと思います。

しかし、ちょっと難しいのが政治に参加する権利です。しかも、政治に参加する権利と一言にいっても投票する権利、立候補する権利、果ては政治運動をする権利にばらけてくるので尚、一層やっかいな話になってしまいます。

1969年、アメリカ人のロナルド・アラン・マクリーヌという人物が外国語学校で働く、要するに英語の先生として日本に来たのですが、二週間くらいで届け出ていた就職先を辞めて別のところで働くようになり、しかもベトナム平和運動に参加していたという理由で1970年に日本の在留許可の延長を求めたところ、拒否されるというできごとがあり、訴訟になって最高裁まで争うということが起きました。

最高裁の結論は外国人の人権には枠がはめられているので、判断によっては在留許可を出したり出さなかったりする権利が法務省にあり、マクリーン氏の政治活動についても、日本の意思決定に影響しない範囲で認められるというものでした。

個人的にはマクリーン氏が反戦運動していることよりも無届で就職先を変えたことの方が問題のように思えますが「外国人の政治活動」がこの裁判での争点になっていたわけです。もしマクリーン氏が政治活動をしていなくて働く場所を変えて無届だった場合はどうなるのかというのがちょっと気になる気もします。

日本人と結婚した森川キャサリーンという人は、外国人の指紋登録を拒否した理由で再入国許可が下りなかったということも憲法上の人権の問題に触れるのではないかという争いになりましたが、最高裁は外国人を入れるか入れないかはその国の自由という判断を示していますので、指紋登録を拒否したら入国させないことも自由に裁量できるという結論に至ったようです。

外国に行って指紋登録を強制されるのは私も経験がありますが、あまり気分のいいものではありません。もちろん、もめ事を起こすのも面倒なので求められれば黙って協力はしますが、拒否したくなる気持ちも理解できます。そうはいっても法は法ということかも知れません。

日本は三権分立の国ですから、司法の判断が気に入らない場合は立法府に持ち込んで議論することもできます。時代とともに変わっていくものですから、こういう判断もまた変わっていくかも知れません。

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