アメリカの宣伝メディアであるvoice of americaの中国語版では、トランプさんが大統領に就任した後に、台湾の総統である蔡英文さんと直接会談する可能性もあるのではないかと報じています。
voice of americaは飽くまでもアメリカの宣伝機関ですから、絶対に現実と符号しているかといえば、必ずしもそうとは言えませんし、常にホワイトハウスと一枚岩で連動しているとも限りません。しかしながら、世界中にアメリカの意思やサインを発信するのに長年使用されているメディアですので、やはりこのメディアがどういうメッセージを発しているかに注意を払うことは時に先を読むのに役立つのではないかと思えます。
昨年、トランプ氏が大統領に当選した後、蔡英文さんと電話で会談したことは大変に話題になりました。当初は「トランプさんは中国の一つの中国ポリシーを知らないから、うっかり軽い気分でツイッターでつぶやいたんだ」という意見も出たようですが、トランプさん「中国のポリシーは完全に理解している」と反論し、要するに確信的に電話で話したのだと強調しました。
新政権の人事を見れば、対中強硬派が多いことが目につきますので、これはやはり…と思わなくもありません。尤も、本当に蔡英文さんと会談でもしようものなら世界中が驚愕する大ニュースで、その後、何がどんな風に影響するか分かったものではありませんので、そこまで本当に踏み込むかと考えれば、多少は怖気づいてしまいます。とはいえ、そういう怖気づきそうになることをやってしまうのがトランプさんだという見方もできるでしょうから、voice of americaも示唆していることだし、もしかしたら…。とも思えます。
関連で地味なところで気になるのは、日本と台湾の事実上の外交窓口になっている交流協会が日台交流協会にその名称を僅かに変更したことです。今後も習慣的に交流協会と呼ばれるでしょうけれど、正式な書類などでは日台交流協会と書かれることになる筈ですので、日台双方で既成事実の積み重ねを狙っているとみることもできます。この件についてvoice of americaでは日本と台湾の国交正常化に向けたプロセスではないかとの見方を示しています。
台湾では蔡英文さんが就任した後、中国が経済的にも締め付けており、外交的にも台湾の数少ない国交を持つ国を中国側に引き入れるということが行われています。多くの台湾人にとっては台湾が国際的に受け入れられるということは悲願のようなものになっていますので、本当にトランプさんが蔡英文さんと会談したり、日本が台湾との国交正常化に動いたりすれば、台湾ではどんちゃん騒ぎになるはずで、経済的に厳しいことから多少陰りのある蔡英文さんの支持率は一挙に高まり再選へという流れも充分にあり得ます。
南シナ海では米中の緊張がなかなかの高まりを見せており、戦争になることは絶対にないと思いますが、かなりのタイマンの張り合いが続く気配を見せています。昨年は中国空母が台湾東海岸沖に出現するという、開戦前夜かと思わせるようなドラマチックな出来事もありました。トランプさんがもし本当に中国との対決姿勢を強めていくとすれば、そして安倍首相は本音で親台湾でしょうから、トランプさんと安倍さんはそれなりに仲良くやりそうな気配もあるので、場合によっては太平洋を挟んだジオポリティクスに大きな変化がみられることは可能性とは決して捨てきれないかも知れません。もし本当にそうなったら2017年はえらいこっちゃの年になるかも知れません。
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