2016年一番のニュースはフィデルカストロが亡くなったことではないかと思う件

そろそろ年末ですので、ちょっと2016年を振り返ってみようかと思うのですが、だらだらと振り返ってもしかたがないので、どれか一つに絞るとすれば、フィデルカストロが亡くなったことではないかと思えます。しかもアメリカとの国交回復を見届けての逝去ということで、逝去のタイミングがドラマチックです。

カストロが亡くなったというニュースが発信された時、フロリダのキューバ難民とその子孫は喝采を挙げたと言います。稀に見る凶悪な独裁者が死んだというのです。一方で、キューバは世界で最も成功した共産主義国家として賞賛もされ、キューバは世界で最も自国民に愛される指導者であるかのようにも言われてきました。

キューバ革命の主役を張ったカストロとゲバラは2人とも実にフォトジェニックで彼らの肖像写真はドラマチックで、絵になります。文句なしに普通にかっこいいと言っていいと思います。更にキューバでは教育と医療は全て無料で受けることができ、食料も米やコーヒーが無償で手に入ると言います。あるいは本当に理想的な平等国家なのかも知れません。

随分前にキューバは大変貧しい国だという内容のビデオを見たことがありますが、歩いてる人はみんなTシャツ短パンで、年中それでいけるのですからあんまり貧しそうには見えず、ロハス感に満ちており、人々の顔は幸福そうに見えましたが、外国のカメラクルーが来たのが珍しいので浮かれていただけかも知れません。行ったことがありませんからそれ以上のことは分かりません。

ただ、私にはカストロとゲバラがフォトジェニックでかっこいいという事実が共産主義の本質、またはその限界を示しているようにも思えます。共産主義の絶対的な基本理念は革命です。永久革命論があるくらい、ずっと革命的でなくてはいけません。革命は熱狂を必要とします。常に熱狂する、熱狂し続けることは通常の人間にはできません。そのため、革命はオルグし煽動する者を必要とします。そのため、共産主義のリーダーはかっこよくなくてはいけません。或いはかっこよく見えるように参加者の心理を操らなくてはいけません。

かっこいいリーダーがかっこいい言葉で人々に呼びかけるからこそ、大衆は多少の矛盾には目をつむり、熱狂に身をまかせ、バチスタ政権であろうとニコライ二世であろうと打倒のために動き出し、広場を埋め、道路を埋め、軍隊に諦めさせ、古い権力を追放するところへと向かいます。ロシア革命がソビエト連邦で如何に浪漫に溢れた英雄的な行動であったと考えられているかは、『戦艦ポチョムキン』のような映画を観れば理解できます。繰り返しになりますが、それができるだけの演出力とある種のモテる力をリーダーには求められるわけです。カストロとゲバラはその能力には普通の人の千倍くらい長けていたのではないかという気がします。

カストロに対する批判にも、賛美にも、それぞれに誇張やねつ造があるでしょうから、実像が分かるのは今後の研究に拠るのかも知れません。

いずれにせよ、世界で最も成功した共産主義国のリーダーが、アメリカとの国交回復のしばらく後で亡くなったという一連の流れは、世界の歴史の重要な部分が幕を閉じた、フランシスフクヤマの言った「歴史の終わり」が更にその完結度を高めたというように思え、多くのことを象徴するメルクマールのようにも感じられます。

2017年はその一旦完結した「歴史」が再び動き出し、これまでの私たちの思考の枠組みを超えた世界が待っているのではなかろうか、そういう分岐点に今、立っているのではないだろうか、というようなことが去来します。良いお年をお迎えください。

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