クリミア侵攻以来、西側からハブられて孤立気味のプーチンさんが来日することで、これは北方領土が還ってくるのかと一時は色めき立つ雰囲気も出ていましたが、安倍さんとプーチンさんとのペルーでの会談の様子では、プーチンさんにはどうも北方領土を還すつもりはそもそもなく、鰻の香りで銭を取ろうとという腹が見え隠れしていたようです。
安倍首相がぶら下がりで記者に話した内容によると「道は見えてはきたが乗り越えなくてはいけない山がいくつもある」とのことらしいので、ロシア側からかなり険しい道のりになることを示唆されたのではないかと思えます。プーチン大統領は安倍首相に「ロシアの国内事情について説明した」らしく、民主国家の必殺技とも言える「国内世論」を盾に経済協力だけを進めて「北方領土のことは忘れましょ♪」と言っているに等しいようにも思えます。ロシアも建前上は民主国家ですので、ソ連時代をよく知っているプーチンさんとしては「民主主義にはこんな便利な言い回しがあるのか」と民主主義の使い勝手の良さを実感しているかも知れません。
交渉の詳しい内容については知る由もないですが、日本側に対して北方領土の共同開発という大義名分で出せるものは何でも吐き出させて国境線の画定については先送りというのがやはりロシアの狙いのように感じられます。双方の立ち回り方次第ですが、ロシアとしては北方領土を打ち出の小槌にしたいというか、今を機にそうしてやろうというのが本音ではなかろうかと思えます。橋下龍太郎さんとエリツインさんとの川奈会談と同じ結果に終わる可能性大かも知れません。共同声明は出されるでしょうけれど、玉虫色で一読しただけでは何を言いたのかはっきりせず、よーく読んでみると北方領土が還ってくる見込みはないのだという内容になることをついつい想像してしまいます。
既にロシア関連株に買いが入り、関連した経済人の動きもあるようですから、北方領土への投資話を溶かしてしまうわけにもいかず、安倍さん的にはかえって始末悪いという状態になっているかも知れません。
安倍政権は現状安泰と言ってもいいくらいですが、年が明ければ来年のいずれかの段階で解散総選挙を打たないと、その次の年まで持ち越せば「追い込まれ」解散に陥りかねません。経済では打てる手を打って、日銀でいろいろやってもらって現状になっていますので、短期的にこれ以上何かを望めることもなさそうなので、外交で成果を挙げたいと考えていらっしゃるはずですが、これは場合によっては来年で安倍政権の命運尽きるということも想定した方がいいのではないかと思えなくもありません。追い込まれずに解散するには来年の秋ごろがタイムリミットと思えますが、その時に有権者に何を訴えるか、安倍さんとしては悩ましく思っているかも知れません。拉致問題の解決はどうなったのでしょうか…。
その場合、次の内閣では延期した消費税の増税については「前に決まったことだから」という名分でベルトコンベア式に増税されて消費の落ち込み、経済の冷え込み、東京オリンピックの実態を伴わないバブル、2020年以降奈落の底。という最悪の流れも見えてこないわけではありません。
んー。外交で進展しないのであれば、せめて消費税の増税を永久凍結、できれば5パーセントまで下げるという公約でパーッとやってもらえないものでしょうか。