アメリカ大統領選挙でトランプ氏の勝利が決まった後、彼の発言がいきなり穏当なものになったことは周知の通りだと思います。
私はヒラリーさんが勝つと思っていましたので、そんなにトランプ氏についてえらそうなことは言えませんが、自分のブログなので、セルフコンプライアンス的に懺悔をしたうえで語ってみたいと思います。
振り返ってみれば、やはりトランプ氏は自分なりの成功法則を確信的に持って発言しているのだということが分かります。
アメリカとメキシコの国境に壁を作るというのは彼の「公約」の目玉の一つと言えますが、メキシコに招かれてメキシコの大統領の会見した際は相当に穏当なやりとりだったらしく、メキシコ大統領が「国境沿いに壁を作る費用をメキシコが負担することはあり得ない」と発言した際、トランプ氏はそれについては否定しなかったということらしいです。また、2人並んで仲良く記者会見した際にトランプ氏は「壁の費用を誰が払うかについては話し合わなかった」としており、うまい具合に難しいところをはぐらかしており、私はその記者会見を見たときに「トランプ氏は八方美人なのだな」と思いましたが、やはり目の前にいる人の言ってほしいことを話す、或いは言ってほしくないことは言わないという点については天才的な感覚を持っている、またはそうあるべきだという確信があって、発言を使い分けているということが分かるような気がします。トランプ氏とメキシコ大統領との平和的な会見は、ヒスパニックの心をかなり掴み、投票行動に影響を与えたに違いないと私は思います。
テレビ番組でトランプ氏が「お前はクビだ」というのがウケたようですが、これもテレビを観ている人にカタルシスを与えるという目的を充分に捉えた上でのことですし、安倍首相との電話会談では「日米関係は大切だ。アベノミクスのことを教えてほしい」という実に穏当かつ紳士的な発言をしたと伝えられており、韓国の朴大統領との電話会談では朴大統領が「米韓関係を緊密なものにしたい」と発言したのに対して「100パーセント同意する」と返答したと伝えられているのも、目の前の人(電話の受話器の向こう側だったり、テレビの前の人だったりもしますが)が聞きたいことを言うということに徹しているようにも思え、そこの勘所の押さえ方が実にうまく、おそらくは相当に訓練を積んだものと思えます。へんな言い方ですが、さすがニューヨークの大金持ちで、社交をよく心得ているというべきでしょうか。
ミシガンのような労働者の街に行けば、労働者の聴きたいことを言う、ニューヨークに行けばニューヨーカーの聴きたいことを言う、ある意味では融通無碍な人物でもあり、見方によっては頑固さというものがないため、現実的な落としどころを見つける話し合いのできる人とも言えるかも知れません。マイケルムーアの客層もかっさらうわけです。
トランプ氏を持ち上げるつもりはありませんが、巷に流行るコミュニケーション指南本や成功本に書いてあることをおそらくは父親からしっかり教わっていて、結局はそれがここまで成功につながったという点では、やはり高を括ってかかるわけにはいかない一面を持っていることも確かなのかも知れません。
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