トランプ氏の支持層とマイケルムーアの客層は被っていた

アメリカ大統領選挙は、有意な差をつけてトランプ氏が勝利し、史上まれにみるおもしろいだけのおじさんが世界で一番えらいおじさんになるという驚天動地の結果となりました。州ごとの選挙人の数だけではなく、総投票数でもトランプさんが多く獲得したということで、文句なしの勝ち方をしたと言うべきでしょう。

私はヒラリーさんが勝つだろうと思っていましたので、真摯に反省するしかありません。世論調査ではヒラリーさんが優位なケースの方が多かったため、過去の選挙取材や選挙ウオッチの経験から、世論調査は多少の偏りがあったりしてもわりと正直に結果を反映するものだという思い込みが私にはあり、ブレグジットの時もそうですが、もう、自分の中にある過去の経験というものは振り捨てて物事を見ていくという訓練しなければならないと、繰り返しになりますが、反省する以外の言葉がありません。

結果論でしかありませんが、予兆はありました。マイケルムーアの『トランプランド』がさほど喝采されていませんでした。ガチ民主党のマイケルムーア本人も壇上で現場は厳しいと語り「あなた方の一票にかかってくる」と語りかけていました。これも結果論ですが、私はマイケルムーアの客層とトランプの支持層が被っているということには気づいてはいました。しかし、私はマイケルムーアの客層を無意識のうちに軽視しているところがあり、彼らの投票行動を重視していませんでした。そしてマイケルムーアの客層はヒラリーさんのようなタイプが嫌いなのだという点を見落としていました。今回はマイケルムーアの客層がキャスティングボードを握り、トランプを勝ちに導いたとも言えますので、彼らの勝利です。サイレントマジョリティが民主主義のシステムでその力を見せつけたとも思えます。Fox newsはFBIがクリントン財団とメール問題の両方からヒラリーさんに捜査をかけていると報じていましたが、マイケルムーアの客層は、そういうずる賢い感じの政治家を最も嫌っているというわけです。民主党支持者で棄権者が多かったようですが、ぎりぎりのところでFBIのメール問題の再捜査が響いてしまい、投票したい候補者がいないので投票しないという人が多かったのだと思います。棄権したことを後悔している人も多いかも知れません。なんとなくブレグジットの時に似ています。

トランプ氏の主張は民主党のそれに近く、まるで民主党の候補同士で頂上決戦をやっているような印象でした。そういう意味では伝統的な意味での共和党色がアメリカの有権者に響かなくなっているということは言えるかもしれません。共和党は政権を獲りましたが、それは共和党が共和党ではなくなったから、というような言い方がいいのかも知れません。

さて、気になる今後ですが、株と為替は当面混乱するでしょうけれど、トランプ氏が日米安保条約破棄などの無茶を言わないということがわかってくると、だんだん落ち着きを取り戻し、早ければ年内にも調整されていくように思います(選挙の予想を外した私が言うことですから、ほとんど戯言のようなものですが…)。アメリカ経済には失速の懸念がありますが、そこはFRBの出方にかかってくるところもあるので、当面、トランプ氏が大統領になることとそこまで直近のことでは影響はしてこないと思います。

TPPはやらないとあれほど言いまくってきたわけですから、何かをやるよりやらないほうが簡単ですし、やらないことになるでしょう。安倍首相は第三の矢の照準をTPPとそれに伴う農政改革、農産品輸出に合わせていましたので、方向修正を迫られていくことになると思います。

外交ですが、クリントンさんが大統領になっていれば前のビルクリントンさんの時のような日本無視、大事なことに日本は関わらせてもらえないということになったかも知れませんが、トランプ氏は日本との外交については日本はもっと金を出せ以上の定見もないでしょうから、実務者レベルでやりやすくなることが予想できます。それについては私はトランプさんが大統領になることは日本にとっての安心材料になるのではないかと考えています。

経済に関して言えば、もしかすると日本の対米輸出に微妙な影を落とす可能性はありますが、日本はそもそも内需中心の経済構造を有していますので、さほど憂慮することはありません。人口の減少と経済成長は必ずしも比例しませんので、AI方面での開発を急ぎ、その点で世界一を目指してひたむきに進むのが望ましいと思います。

アメリカの対中国外交ですが、トランプさんはこれについても定見はないでしょうから、共和党のスタッフによる共和党的な方針で物事が進められると思います。

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