台湾映画『GF,BF(女朋友。男朋友)』の政治と青春

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この映画には三人の男女が登場します。一人はお金持ちの息子で顔がいいです。もう一人は普通です。もう一人はかわいくて勝ち気な女性です。

高校生の時、三人は親友です。時代は1980年代。戒厳令が解かれていない時代です。言論や表現の自由がなく、学生たちは自費で政治的メッセージを書いた雑誌を発行しますが、そういうことは厳しくしかられます。学生たちは一方で政治に関心がありますが、もう一方で恋愛に関心があります。男2人に女性1人ですから、実に曖昧な何とも言えない微妙な関係です。彼女はお金持ちの顔のいい息子と付き合います。残った普通の男性は置いていかれた感を拭えませんが、それでも3人の友情は続きます。女性の役は桂綸鎂がしています。個人的には台湾の女優さんではこの人が一番美人だと思います。個人的な見解です。

大学に入ったころ、台湾はいよいよ本格的に民主化していきます。学生たちが中正記念堂に集まり、議会の解散を求める座り込みのデモをします。日本の学生運動と同じく、ある種のトレンドみたいなものだったと思いますから、3人とも当然のように参加します。政治的な主張はともかく、やはり大学生は青春の時代です。恋愛も大切です。お金持ちの息子は桂綸鎂と付き合いながら、学生運動で知り合った他の女性とも付き合います。二股です。残された普通の男性はやはり置いていかれている感じです。ただ、桂綸鎂はこっちの普通の男性のことも好きみたいです。「なんなんだあんた」と思わなくもありませんが、金持ちの息子の方も二股していて、それでもつきあっていて、友情も続いていて、この辺りはちょっと理解できないと思わなくもありません。

やがて3人は大人になり、社会人になります。90年代後半で、台湾経済がいよいよ本格的に発展し始めたと言っていい時期と思います。都会的で、発展した台北が描かれます。台湾映画では台北を「都会」という記号で表現することが多いですが、都会を描くのは難しいと私はよく思います。都会はだいたい同じだからです。映画で「都会」をテーマにしようとすると、高級なレストランとか、びしっとおしゃれなスーツを着ている人とか、夜のお店でお酒を飲んで騒いでいる場面とか、そういうのが登場します。そういうのは見飽きてしまってどうでもいいです。そんなの描いておもしろいのかなあと個人的には疑問に思います。ただ、台湾映画では「大都会台北」は重要な要素なので、そういうのはよく出てきます(同じ意味で、田舎も素朴な農村とか雄大な自然とか見飽きていますので、もうちょっとひねらなくてはおもしろいと思えません。『失魂』は素朴なはずの田舎の老人が実はめちゃめちゃ恐かったので新鮮に思いました)。

お金持ちの息子は結婚して子どももいますが桂綸鎂とは不倫関係を続けています。かなりただれた感じで「なぜ俺はこんなただれたものを観ているのか」という疑問すら湧いてきましたが、一応、最後まで見ないといけません。桂綸鎂はお金持ちの男の子どもを妊娠します。しかも双子です。どうしようか、となりますが、お金持ちの息子は一緒に外国へ行こうと提案します。しかし、本気で今の家庭と生活を捨てるつもりはありません。そに気づいた桂綸鎂はもう一人の男性と一緒になり、男性は生まれて来た子どもを自分の子どもだという気持ちで育てます。うーん、なんかよくわからんけどこの男は偉い!と思える映画でした。

映像はフィルム感があっていいです。最近は大体デジタルです。デジタルはきれいですから、悪いとは全然思いませんが、フィルム感があるのもまたいいものだなあと思います。台湾ニューシネマの雰囲気を感じることができます。

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