台湾映画『聽見下雨的聲音』の中国文化

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ロックバンドのボーカリストが女の子とつきあったり二股かけたりするというだけの物語で、ほとんど観るべきところがありません。出演している人はだいたい普通、演技は大根、台詞はクリシェでストーリーもクリシェです。

ただ、中国文化の表現という観点から言えば一見の価値ありと思います。登場人物には中国の伝統的な衣装を研究するサークルに入っている人が登場したり、民族衣装を着て現代音楽に合わせて舞踏を披露したり、更にカンフーの動きを連動させる場面もあり、見応えがあります。

あと、タイトルを日本語に翻訳するとすれば『雨の音が聴こえる』ということになるのですが、雨の場面がとても美しいです。個人的な見解ですが、台北の雨は時に息を呑むほど美しいです。この映画でも梢にかかる雨の雫、雨に濡れつつ街を行く人々などの姿に映像美を感じることができます。ホースで雨を降らしている場面もありますが、実際に雨が降っているところを撮影していると思える場面もあり、そういう場面はとてもきれいです。

登場人物の女性がシンガポールに手術に行く場面があり、一部、シンガポールの街並みが入ります。シンガポール観光気分をほんの少し味わうことも可能です。

それら見るべき場面は最後の30分くらいにだいたい全部入っていますので、そこだけみてもokな映画ではないかと思います。ビビアン・スーが出演していて、いつまでも若いことに驚きます。それはビビアン・スーという人の努力の素養によるものですから、素直に尊敬したいと思います。

「作詞」にこだわりがあり、中国語の詩作がいくつか作品中で紹介されます。私にはその良し悪しをよく評するほど中国語に対する造詣はないのですが、監督さんが周杰倫の作詞をずっと続けてきた人だということですので、中華圏の人の現代の詩に対する感性を知るには得るところのある映画だと言えるかも知れません。

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