台湾映画『等一個人珈琲』の青春の「ノリ」

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台湾映画では「青春」を重視します。おそらく、台湾経済がようやく本格的に発展し、社会自体が青春期を迎えているからではないかと思います。この映画も大学生の青春、要するに好きとか好きじゃないとか、ちょっと好きとか、あんまりとかそういうことをダラッと描いている映画です。台湾人の好みに合っている、台湾研究の一環として観るという意味では価値のある映画と思います。

ただ、おもはゆいというか、観ている方が恥ずかしくなるというか、微妙な距離感が延々続くので、その点でエネルギーを使います。エネルギーを使わせる映画ということは、いい映画だと言い換えてもいいかも知れません。

主人公の女の子を中心にいろんな人が出てきます。大学はいろんな人がいておもしろいところです。しかも起きるエピソードはだいたい微笑ましい、平和な世界です。この映画でもそういう微笑ましいけど、好きとかそうじゃないとかの青春期にとっては重要なことを少しだけ切なく、後は思いっきりふざけまくって描いています。

「ノリ」だけがこの映画の一本通った筋であり、こういうノリが好きな人は楽しめるのではないかと思います。ラブコメの分類に入ると思いますので、全編ふざけまくり、好きな人のことについてちょっとだけ真剣になるという作りになっています。

撮影場所は台北市東部の政治大学ではないかと思います。何度か政治大学に足を運んだことがありますが、「見たことあるなあ」という景色が多いです。この映画では特殊な映像とかは特になく(ごく一部にCG)、ただただ台詞のやり取りが続きます。大学の一角で撮影している様子が目に浮かびます。大人になると大学生のノリのようなものはだんだん忘れて行きますし、最近はまたあの日々を送りたいかと質問されれば、別にいいと答えると思いますが、職場で学生の様子を見ると、彼らの心境のようなもの、大人と子どもの間でバランスをとることに一生懸命な内面のようなものが垣間見え、この映画を観ると「ああ、この感じ、分かるなあ」と思います。青春のおもはゆさを思い出したい人にはお薦めの映画です。

この映画の主たる舞台は大学ととある近辺のカフェです。台北には凝ったカフェがたくさんあります。それについて普通に敬服します。それぞれに経営している人が自分の美学で細部まで凝っています。よく観察するとぱっと見では気づかないことがたくさんあって、凄いなあと思います。この映画に出てくるカフェも政治大学の近くに実在するらしいのですが、とても気分の良さそうな素敵なカフェです。

美男美女がたくさん出てくるので、そういう観点からも楽しめる映画です。個人的にはカフェでコーヒーを入れているボーイッシュな店員さんがクール且つ「ザ仕事人」的に仕事をする様子がかっこいいので好きです。

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