台北の故宮博物院には蒋介石が台湾に脱出した際に、北京の紫禁城から多くの美術品を台北に移動させたため、中国美術について知りたい人にとっては欠かすことのできない、マストなスポットだということは周知のことだと思います。
全部見るにはとてつもない時間がかかることでも知られていますが、大体有名なのは白菜の形や肉の形をヒスイや玉のコレクションあたりではないかと思います。嘉義の方に南館ができて、有名なものの一部はそっちへ移動しており、そちらの方への観光客を誘導したいのかなあとも思いますが、それでも台北の故宮博物院が欠かせないスポットだということは変わりないことだと思います。
夏、殷、周、春秋戦国あたりの古い時代から、中華民国の時代までの幅の広いコレクションがあり、私は個人的には清末民初期の中国近代に関心があるので、そういう時代のものも見られるのがいいなあと思います。
以前行った時は袁世凱が溥儀に宛てて書いた「私に皇帝の座を譲ってくださってありがとうございます」というトリッキーな手紙があっておもしろかったのですが、今回はそれを見つけることはできませんでした。ただ、清末期はヨーロッパの影響を受けたこじゃれた感じのベルサイユ風な陶器が作られたり、西洋からの輸入品もあったりで、個人的にはそういうのも面白いです。
恭親王奕訢(えききん)の居室が再現されているのは、初めて行った時から同じで、ある意味では懐かしいようないい感じの展示です。
博物院まで行くのがちょっと遠くて、士林駅からバスに乗り換えなくてはいけないのですが、もともとそのエリアは国民党の偉い人やお金持ちが集まって暮らすような感じの地域なので、作られた当初の人にとってはこれでいいのかも知れません。また、山に囲まれたエリアなため、わりと深山幽谷な雰囲気が漂っており、中国古来の山の景色を愛する美意識に合っている場所だと考えることもできるかも知れません。
近くには原住民博物館があるので、文化人類学や民俗学みたいなことに関心のある人にとっては一回足を運んだだけで両方見れるのでお得感があるようにも思います。別館では企画展で西洋絵画の展覧会をやっていたりするので、もし、そういう企画が開かれている時期に行くことができると更にお得です。
青磁とか白磁とか書画骨董とかいろいろあって、目を肥やすにはいいはずなのですが、私は何度見ても骨董については見識があがりません。もっとがんばりたいと思います。
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