まあ、後数時間後くらいになると思いますが、トランプ氏とメキシコの大統領が会うそうです。周知のとおり、トランプはメキシコ人を差別する発言を繰り返し、メキシコとアメリカの国境には巨大な壁を建設して、不法入国者を遮断し、壁の建設費用はメキシコに負担させると言っています。「何を馬鹿なことを…」と良識ある人なら思うと思いますが、強気なトランプ節が好きだという人からは、そういう無茶ぶりが喜ばれているようです。
メキシコの大統領はメディアの取材に対し、「アメリカとの国境に作る巨大な壁の費用をメキシコが負担することなどあり得ない」と断言しています。また、「メキシコ人を悪く言う人物は、メキシコ人のことを知らないのだ」とも述べていて、トランプ氏は無知であると暗に示唆しています。
いったい、どんな言葉のやりとりが行われるのかは確かに注目点で、トランプ氏はここで面白い事を言って、できればメキシコの大統領をやり込めて悦に入る戦略、名付けてトランプ節で暴言スープレックスを決める腹かも知れませんが、まさか、仮にも現職の大統領がそれにやすやすと乗せられるとも思いませんから、果たしてどんな風な会見になるのかは見ものと言えます。どのみち、トランプ氏が更に人気を下げることになるのではなかろうかという気はします。トランプ氏はマイルドなことを発言すると、コアな支持者からはがっかりされる、強気なことを発言すると中間派が更に去って行くというジレンマを抱えていますので、陣営的にも悩んでいることと思います。金もなくて人も去って行っていますので、「陣営」と呼べる枠組みを維持できているのかどうかすら、個人的には疑問に思います。
アメリカ在住のヒスパニックに対する調査では、トランプ氏を支持するという人はだいたい2割から3割といった感じですが、個人的には2割から3割の人が支持していることに驚きです。既にアメリカの公民権を得て仕事もしている、安定した生活が送れるヒスパニックの人たちにとっては、新しく入ってくるヒスパニックの人たちは労働市場でのライバルにもなり得ますから、むしろ来てほしくないと思う人もいるということらしいのです。
アメリカでは、政治家にもスペイン語が話せる人が多く、南部に行けばヒスパニックの人たちだらけ、ニューヨークでも地上を歩く人はスペイン語を話し、ビルの上の方で仕事をする人たちは英語を話すと言われているほど、スペイン語とヒスパニックが非常に深く浸透しています。隣国ですのでもあらんとも思いますが、白人の中には少数派になることの恐怖心を本気で感じている人も多く、自由と平等を掲げる移民の国ですから、ヒスパニックが多数派になることはアメリカの理念と一切矛盾しませんが、やはり摩擦の原因には充分になり得ます。
これからはもしかすると、民族ごとに集住するエリアに分裂した社会になる、あるいはすでにそういう社会になっているのかも知れません。
どうなっていくのかは見守ることしかできません。が、ウオッチはし続けたいと思います。
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