アメリカ映画『ハードキャンディ』の狂気

ローティーンの女の子をネットでナンパして、場合によっては殺害に至ってしまうろくでもない30代の男を、簡単に言えば主人公の少女が成敗するという内容の映画です。

男はカメラマンで、ローティーンの女の子を連れ込んではいかがわしい写真を撮影したり、もっと酷いことをしたり、命を奪うところまでやってしまうというとんでもないやつです(本人は殺害現場にはいたが、殺害していないと主張しています)。これだけでも充分に狂気をはらんでいますが、成敗する少女も充分に狂気ではないか思います。

その女の子はエレンペイジがやっています。独特の輝きと影の両方を持つ、凄い人ですが、彼女が彼の「カモ」を装い、ネットで男と知りあうと、うまくひっかけられたふりをして目論み通りに男の家に入り込みます。スタンガンで電気ショックを与えて男を動けなくし、男だとちょっとこれは見ていられないという心境になる、酷いリンチをする場面もありますが、そこはそうとして、彼女は男が少女の殺害を記録した写真を男の自宅で発見することに成功します。

更に、男の過去の恋人を呼び出します。その女性は男にとっては忘れられない、その生涯でおそらく唯一真剣に惚れた相手で、その女性と別れたことがきっかけでローティーン少女ナンパを始めたのですが、この期に及べば、殺害の証拠まで握られているわけですから、その最愛の女性が来たら、刑事罰を受けることを心配する前に、真剣に惚れた女性に自分が変質的かつ悪質な犯罪者だとばれてしまうことを恐れます。

さあ、どうする?とエレンペイジがたたみかけ、取引は成立。男は自らを罰する(自分で死ぬ)ことを選び、エレンペイジは男の犯罪は秘密にしてやるということになります。男が飛び降りた瞬間、かもね、みたいなことを言う、残酷な演出までついています。

ローティーンを狙う犯罪者に自らけじめをつけさせるという意味でエレンペイジは正義の味方であり、その目的遂行のために自分が囮になって敵地に飛び込むという意味ではまさしく英雄です。しかし、やり方を間違えれば自分が殺される可能性があるわけですから、たった一人でそれをするにはある種の狂気が主人公の少女の中に必要なのではないかという気が私はしました。そう考えると、もし現実だったら末が恐ろしいです。

エレンペイジという女優さんにはそういう狂気を感じさせるものが微かにあるように私は思いますので、この役ができる人は他にいなかったのではないかという気もします。ナタリーポートマンではかわいすぎます。エマワトソンでは高貴すぎます。リブタイラーだと全然違う話になってしまいそうです。エレンペイジにしかできません。この役を引き受けるこの人は凄いです。

エレンペイジは赤いパーカーを着て男に会いますが、これは狼をやっつける赤ずきんちゃんという意味だそうです。考えてみると赤ずきんちゃんという童話はかなり怖いです。一応ハッピーエンドになってますが、現実だとして考えてみると青ゲットの男事件なみに怖いです。

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