『ライシャワーの日本史』の戦後の日本

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東京生まれのアメリカ人の日本通、日本大使を務めたこともあるライシャワー先生による日本解説書です。近代以前、明治から太平戦争まで、戦後の3つの部分で構成されていて、どれも内容はたいへん緻密で私の知らないこともたくさん書かれてありました。

興味深いのは戦後について大変細かく書かれていること、それが必然的に日米関係史+自民党戦国史になること、アメリカ人に分かるように意識して書かれていることです。英語版が1978年、日本語版が1986年に出版されていて、ちょうどアメリカ人が真剣に日本人との付き合い方に不安や悩みを抱えていたころにあたります。

日本はバブルの絶頂期をいよいよ迎えるという時期です。世界第二位の経済国家で、アメリカの東アジア政策にとってはなくてはならない存在で、世界的にも行儀のよい人々として知られ、日本の評判は上々と言えば上々。しかしながら、日本の国内世論はアメリカ軍基地に対しては否定的で安全保障条約に反対するためには暴動とも言って良いほど激しいデモが行われ、時には感情的な反米が表に出ることに戸惑いも感じるし、何といっても日本車がアメリカ市場を席捲してデトロイトは壊滅への道を辿り、日の出の勢いの日本がアメリカをも飲み込むのではという恐怖を与える存在にまで成長していた時代です。

アメリカ人の立場から見れば、日米安全保障条約のおかげで日本は平和を享受できるし、アメリカが好意的に日本を助けてやったおかげで日本は戦後の経済復興に成功したし、そもそも同盟国として一緒に世界秩序の維持のために役割を果たすはずの日本人がどうしてそんなにアメリカを困惑させることばかりするの?と不可解なことしきりだったに違いありません。アメリカはこんなに日本人を大事にしてあげているのにどうして?というわけです。

それがどうしてそうなるのかをライシャワー先生が噛んで含めるようにして説明しています。戦後の日本で平和主義が育ったことでベトナム戦争には首肯しがたい国民性になっていること、日米安全保障条約も戦争協力という意味では日本人の真情に合わないこと、日米経済摩擦などと言われるが日本人が優秀で勤勉で工夫もいろいろ凝らしているから、などの説明をしています。

アメリカ人が読めば、なるほど、そういうことなのか。と理解の助けになるでしょうし、日本人にとっても、日本の弁明書みたいな役割をしてくれている本です。

そうはいっても、今は昔。ジャパンアズナンバーワンの日本の絶頂期に書かれた本だと思うと、むしろ最近の停滞ぶりにまで思いが及び、懐かしいような気分で読んでしまいます。

私の子どものころはなんでも日本が世界一で、豊かで幸福で平和で、なんでも日本のものがいいに決まってるじゃんという時代でした。ああ、当時、こんな感じだよなあと懐メロを聴くような心境でページをめくりました。

近代以前や太平洋戦争以前のことも詳しく書かれていて、純粋に知的好奇心を満たすのにもちょうどいいです。書かれた時代背景を斟酌しながら読解するのもおもしろいと思います。分厚いのできちんと一言一句読み進めるのに時間がかかるのでちょっと疲れました。

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