ボリスジョンソン氏「EU離脱とヨーロッパ離脱は違う」の件

イギリスの新しい首相がテリーズメイさんに決まり、ボリスジョンソン氏は外務大臣として入閣しました。毒を以て毒を制す人事なのでは?という気がしなくもありません。外務大臣の立場になれば、以前のような言いたい放題というわけにはいきません。仮にもよその国とうまくやっていく責任者ということになりますので、「イギリスファースト」とか「イギリスを取り返す」とかみたいなことも、立場上、軽々しく言うわけにもいきません。

ボリスジョンソンさんの外務大臣として仕事をする初日になって、メディアに対し「EU離脱はヨーロッパ離脱を意味しない」と言っています。しかも「in any sense」ということですので、一切、意味しない、全然違うということみたいです。要するにトーンダウンしています。ヨーロッパに気遣いを見せています。

国民投票以前のボリスジョンソンさんを知っているメディアの人たちからは、ちょっと唖然…な感想が漏れてきそうな気がします。EU離脱派だった人たちは本当に離脱するとは思わなかった…と今は発言も抑制的で、軸がぶれ始め、できれば話を元に戻したいという様子を見て取れなくもありません。できるだけEU脱退通告の時期を遅くし、可能ならうやむやにし、場合によっては総選挙で問い直すという選択肢も出てきているあたり、イギリスはもしかするとなんだかんだ言ってEUから離脱しなくてすむように手を尽くすような気もします。

ドイツのメルケルさんとか欧州委員会のユンケル委員長とかは「出ていくなら早く出て行ってくれたほうがせいせいする。他に出て行きたい国は、イギリスがこれからどんな目に遭うかみきわめてからにしたほうが身のためだ」的な姿勢ですが、イギリスがEUを離脱しないことになったら胸をなでおろすでしょうから、双方、水面下でいろいろ模索しているかも知れません。ただ、けじめはつけさせるでしょうから、詫びを入れさせる、以前のような特別扱いを変更する、シェンゲン協定にも入らせる、なんならポンドもユーロにしてもらいましょうか、という話も出てくるかも知れません。

意外なところで打撃を受けているのはトランプさんではないかと思います。わざわざBrexitの日にスコットランドへ出かけて「これからはみんな自国ファーストだ」みたいな感じのことを言ってアメリカの有権者にいいアピールになると考えていたと思いますが、当のイギリスが二の足を踏み始め、ボリスジョンソンさんは転向気味でファラージさんはある意味逃走。トランプ節の決め手に使えなくなってしまった感じです。スコットランドに行ったのも無駄足を運んだというところではないかなあと思います。もちろん、まだ、アメリカの大統領選挙は分かりません。今はほぼほぼヒラリーさんの勝ちが決まりに見えますが、双方の党大会が終わり、直接対決がなされる中で、どんなハプニング、スキャンダル、失言問題が飛び出すか分かりません。トランプさんにとっても欧州情勢は複雑怪奇なのではないでしょうか。

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