イギリスの国民投票がEU離脱に決まったことを受けて、ヨーロッパの他の国でも「国民投票をやるべきだ」という声が増えているらしいです。国民所得の比較的高い国では国民投票による離脱を望む人たちが増えている一方、新しくEUに入りたいという国もあって、そういう国は国民所得が比較的低いようです。金持ちはEUから逃げ出して、そうではない人が殺到してくるという構図が浮かび上がります。
EUの基本は関税同盟だとして、それにプラス移動の自由とユーロによる通貨の統合が盛り込まれています。これは見方によるかも知れないですが、巨大な市場に参加できるというメリットがある一方で、関税と金融と入国管理の自主権を失っていると考えることもできなくはありません。かつては夢のある話として語られていたEUが今となっては空中分解、解散、消滅、解体が本気で語られる事態に立ち至ってしまいました。
最近まで世界はグローバル化、フラット化の方向にあったように思いますが、最近になって自国中心主義へと反動が起きているようです。
それらのニュースに触れて、ふと思い出すのは第二次世界大戦前に流行したファシズムです。ファシズムといえばナチスドイツやイタリアのムッソリーニを連想しますが、当時はファシズムに将来性を見出す人たちもいて、イギリスにもファシスト党があったりしたそうです。ファシズムは国家社会主義ですが、どちらかと言えば国家主義の色彩が強く、おそらくは第一次世界大戦後に流行した国際協調主義への反動としてそのような思想が育ってきたのではないかと思います。現代の我々が想像すると結構怖いです。最近の動きとちょっと似ています。
かつて世界最大の帝国だったイギリスは第二次大戦後に次々と植民地を失い、現在の領土はグレートブリテン島と北アイルランドとプラス遠い海を隔てた小さなとかになっています。このままいけばイギリスが消滅するのではないかくらいの不安を感じる人もいるらしいです。スコットランドが独立したり、北アイルランドがアイルランドと統一したり、ウエールズもどうでしょう、みたいなことになれば、中世のイングランド、ヘンリー8世以前くらいまで戻ってしまうことになります。移民が増えても国家が消滅するとは限りませんが、不安を更に感じさせる材料になったようにも見えます。
ドイツのメルケル首相は「EUを離脱したいとか言ってる国はイギリスが今後どうなるかをよく見てから決めたほうがいい」という主旨の発言をしています。怖いです。いっちょしめるぞと言ってるみたいに聞こえます。主観です。エマニュエルトッドとか有名な人が「EUはドイツ帝国だ」と言うのもちょっと頷けます。EUそのものは結構夢のある理想を掲げていたと個人的には思うので、「ドイツの草刈り場だ」という風には思いたくないですが、本当はやっぱりそうかも知れないとも思います。
フランスが抜けるかどうかが鍵になります。もちろん、すぐにそうなるとかという話ではないですが、ルペンさんの人気も上々らしいので、具体的な政治日程として上がってきても不思議ではありません。というかイギリスがEUを抜けた時点で今後の世界は何が起きてもおかしくないし、トランプさんが大統領になっても意外でもなんでもない感じです。フランスが抜けたらEUは実際的に解体したのと同じになります。今年は見ているだけでもエネルギーを使うニュースが多いです。
スポンサーリンク