橋下龍太郎内閣‐経済か財政か

自社連立政権の村山富市内閣が総辞職すると、既に自民党総裁に就任していた橋本龍太郎がその次の首班として国会で指名されます。小渕恵三さんを衆議院議長にする話が持ち上がり、橋下龍太郎さんが「もし小渕さんが衆議院議長になったら小渕首相になれなくなってしまう」と発言したことで、橋下龍太郎首相の次は小渕恵三首相という流れが生まれたとも言われています。

橋下龍太郎内閣で特に記憶したいのは日露首脳会談と消費税の増税ではないかと思います。橋下首相とエリツインロシア大統領との間でクラスノヤルスク合意が結ばれ、2000年までに平和条約を締結し、北方領土問題を解決すると明言されましたが、2016年のプーチン大統領来日でもかたがついておらず、今に至るまでやっかいな懸案として課題が残されています。

もう一つ、大きいのは消費税が3パーセントから5パーセントに引き上げられたことです。消費税の増税は村山内閣時代に決められたことですが、5パーセントから将来的に8パーセント、更に10パーセントへと引き上げられたのが民主党政権時代に自民党も賛成して決められたわけで、増税というやっかいな仕事を非自民の時代に押し付けるという構図がはっきりと見て取れると同時に、本当に上げるかどうか、今回の場合では橋本龍太郎政権に判断が託されたわけですが、日本の経済の状態がバブルの崩壊から回復しているように見えたことで、橋下首相は増税を決断し、日本は更に長いデフレの時代へと入って行ってしまいます。現代では当時の景気回復は循環的な回復にすぎず、本格的な回復とは呼べなかったと考える人が多く、橋下首相はそこを見誤ったのだと(本人も晩年に同様のことを述懐しています)捉えられています。また、個人消費が経済の主体である日本経済がいつまでも回復しないのは、ちょっと経済が良くなると消費税を増税するからだとする、構造的要因を指摘する人もいます。

経済を良くするには金融緩和や政府の財政出動などの手法が一般的ですが、金融緩和にはインフレの不安があり、財政出動すれば財政のバランスシートが悪くなるという不安が生まれます。過去20年間、経済を良くするか国の財政を良くするかは延々と議論されてきた一方で、最近ではヘリコプターマネーで金融緩和をやりまくったとしても日本の財政破綻はないとするリフレ派の意見もよく聞かれるようになり、仮にリフレ派が正しければ、財政健全化を目指して増税をしたり政府の財政出動を鈍らせたりすることはナンセンスで、足りない分は円を印刷すれば全てオーケーということになりますから、一体何のためにここまで悩んで来たのかとちょっとあっけにとられてしまいます。

橋下龍太郎は政策通を自認していたともされていますが、ちょっと救いの手をさしのべればピンチを脱したはずの山一證券を潰すようなポカもやってしまっています。大病をして若く亡くなってしまった方ですので、あまり悪く言うのはよくありませんが、橋下政権期の増税はかなり長く日本にその痛みを強いることにはなってしまったと思います。


北方領土は還ってこなかった件

ロシアのプーチン大統領の訪日は、肩透かしといえば肩透かし、進展があったと言えば進展があったとも言える、なんとも微妙な感じのものでした。ただし、個人的には「北方領土ではこれまでにない新しい体制で経済協力を行う」ということになったのは、蟻の開けた穴がいずれはダムをも崩壊させるのと同じような効果をもたらすのではないかとも思えます。

プーチンさんは訪日のしばらく前から北方領土の返還については否定的な発言が目立つようになり、一方で経済協力については大変に熱心であるととれる発言も多かったわけですが、どこにどんな裏が仕込まれているのかと多くの人が腹の内を探ったと思いますが、結果としては事前に出していたメッセージはまさしくそのまんまだったと言え、案外、裏を探る必要もないのかも知れません。

プーチンさんとしては鰻の香りだけかがせて銭を取りたいと思っていたように思えますが、北方領土は別の新しい枠組みということに同意したということは、将来、鰻の本体を食べられる可能性を日本に残したとも言え、そこはあまり悲観的にならずに、日本の得点になったと評価していいのかも知れません。

北方領土の開発が新しい体制・枠組みで行われるということは、ロシア側が暗黙裡に領土問題の存在を認めているということを、今後の開発過程で常にはっきりさせられるということでもありますから、長い目で見れば、還ってくる可能性を感じさせてくれるものだとも言えます。

あまり大きな予断を持つわけには行きませんが、北方領土の地域がジャパンマネー抜きでやっていけないところまで影響力を発揮することができるようになれば、そのこと自体が交渉カードになるとも言えます。もっとも、それこそサラミスライス戦略でゆっくりじっくりじわじわと一進一退しながら交渉が続いていくということにもなりますので、なかなかしんどい、我慢強さを要求される作業になっていくのだろうと想像できます。担当する人は相当に苦労することと察してしまいます。

さて、現状、ロシアは西側からの経済制裁の対象になっている一方で、ドナルドトランプ次期アメリカ大統領はプーチン氏に親近感を持っているとも言われています。今後、どっちに転んでどうなるのかさっぱり見当がつきませんが、もしかするとポスト冷戦構造が終わっていくき、ヤルタ体制ともマルタ体制とも違う、新時代が始まるかも知れないとも思えます。

一部では日米露同盟みたいなことを言う人もいるみたいです。そんなことが実現したら世界史の教科書を書き直させる凄い展開だとも思えます。今後の注目点としては、ドナルドトランプさんが就任後にロシアに対してどう出るか、シリアに対する出方と連動するでしょうから、その辺りを注意してウオッチしたいと思います。

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昨今の解散風

自民党は先日の新潟県知事選挙では落していますが、補選二つで勝利し、「今なら解散しても勝てる」というムードも漂いつつ、様々な憶測が漂っています。

たとえば、蓮舫さんの二重国籍問題が熱い話題になっているうちに解散するのではないかという11月解散説。プーチン来日で北方領土問題に進展があればそれを追い風とした年明け解散説、いやいやまだ早い、来年秋解散説など、いろいろと飛び交っているようです。

しかし、考えようによると、それらは全て政局話で、いわ競馬の予想のようなものに近いですから、政治論議とも言い難いかも知れません。要するに、解散した以上は政策の論点が存在しなくてはやりにくく、政策論争が全くなければ解散する大義名分に欠けてしまいます。

勢いで解散しても、調度いい政策の論点がなければかえってつつかれたくない部分をいろいろとつつかれるという展開もあり得ますので、たとえば大阪都構想の時のような、または消費税を上げるか上げないかの時のような、何かそういうものがなくてはいけません。そうすると、もう一回消費増税先延ばしを大義名分とした来年秋解散説も十分に頷けるもののようにも思えなくはありません。

また、外交での得点稼ぎはどうしても相手のあることなので先が読みにくく、それを解散の指標みたいにするのは、安定した政権運営ということを望むのならば、あまり賢明ではないかも知れません。北方領土が還ってこない、または半端な解決方法だったりすると、かえって不人気を呼ぶ恐れもあり、他力本願にはいろいろと限界がありそうな気もします。

TPPで荒れまくって解散するというのもちょっと想像するとおもしろいかも知れませんが、これもいろいろヒラリーさんの顔色や発言を伺いつつ…ということになってしまいますので、政権担当者であれば、やはり外交を絡めるのはあまり好ましくないかも知れません。

今は二階さんがいろいろとアドバルーンを上げていて、第三次補正予算の話も出て来るは、任期延長の話も出てくるはで、二階さんが独自の判断でよいしょしまくっているのか、それとも官邸と連携してやっているのかは不明ですが、やはり二階さんは飽くまでもアドバルーン役であり、本命の本気の話は菅さんから出てくるのではなかろうかという気がします。

以前に菅さんが「GDPの『速報値』を見て判断する」が実は解散の前兆であったように、日々の記者会見の中でさりげなくポイントになることを話しているかも知れません。10月23日では「解散は首相の専権事項」以上の踏み込んだ発言はなかったようなので、これはまださりげなく何かを言う時期ではないとの判断があるのかも知れません。ということは直近の解散はないのかも知れません。

TPPに天皇陛下のご譲位、そこへきてプーチンが来日して年明けにはヒラリー大統領の就任と、デリケートで難しいことがいろいろひしめいていますので、解散どころではないかも知れないですが…。

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北方領土悲観説

プーチン来日を控え、北方領土が還ってくるかも、歯舞色丹に限って言えばかなり期待できるかもという話が流布する昨今ですが、実はそんなにうまい話になるわけないという悲観論も流布しているようです。

私にはどうなるかは判断する材料はありませんが、悲観論について少し考えてみたいと思います。というのも、通常、一旦奪われた領土が交渉で戻ってくるというのは、まず考えられない超レアケースだからです。

沖縄、小笠原、奄美が還って来たのは、日米安保によって東アジアでのアメリカの軍事的なプレゼンスが維持される、悪い言い方をすれば日本に対する事実上の占領状態(日本中に米軍基地があるわけですから…)が続くというのが前提で、それでもかなりのレアケース、ノーベル平和賞獲っても全然不思議ではない事例だったと思えます。

香港が速やかに中国に返還された時、イギリスは当初九龍半島だけを返還して香港島は維持する構想を持っていたものの、鄧小平さんが場合によっては戦車を出す構えで臨み、ようやくイギリスが99年租借の約束を守ったと言われています。

日本がプーチンさんに対して「場合によっては戦争する」という構えを見せることはもちろんあり得ないですし、私もそのようなことは望んではいません。結局のところ、端的に言ってお金で買えるかどうかという話になるわけですが、当然、先方はできるだけ高く売りたい、一番いいのは鰻の香りだけで銭を取りたいと考えるに違いないので、あんまり期待するなということらしいです。この方が筋の通った常識的な話のように思われて、寸土でも還ってくると考えるほうがむしろ不思議なことにも思えてきます。

ここまで来ると陳腐とは分かっていますがいわゆる「交渉力次第」ということになってしまいますので、全く判断の仕様がありません。

北方領土が還ってくれば解散総選挙で空前の勝利ももちろん考えられますし、第三次補正予算が組まれることになれば「返還の見込みアリ→勢いで解散か」という話にもなるようですが、このところそういった話題が流布しては火消しされるの繰り返しで、腹の内が読めません。

私の個人の感じで言えば、安倍さんは前回の参議院選挙でダブルにしなかったことが悔やまれていて、それ以上のタイミングでないとせっかくとった圧倒的多数を失うのが惜しいという心境もあるのではないかと思います。というのも普通に考えて支持率が好調な時に衆参ダブルで安定多数任期延長は定石ですので、そこを敢えて外したウルトラCというのはちょっと考えにくく、それこそ「北方領土返還」くらいの離れ業が必要というか、自分でハードルを上げてしまっていることになってしまったように見えてしまうのです。想像です。印象です。推量です。憶測です。ごめんなさい。

私は北方領土を還してもらうのはロシアに長期租借して99年後を狙う(島民の人は希望次第で早期に帰れるよう特別な措置をとる)のが一番現実的なのではないかと思いますが、私が勝手にそう思っているだけです。すみません。

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プーチン来日後の衆院解散を想定してみる

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安倍首相の支持率は概ね高い数字が出ています。就任以降、周到かつ慎重に仕事を進めていることの結果を出しているように思います。安倍さんのことが好きか嫌いかは別にして、周到に準備をして大きなポカが出ないように注意をしていることは誰もが認めるところではないかと思います。

安倍首相の選挙に向けての戦略としては、外交面でウルトラCを出し、ばーっと人気が上がったところで解散を打つ、ということを想定しているように見えます。拉致被害者の方が少しでも帰国して、そこで解散するというのを考えて来たように思います。もし、拉致被害者の方が帰国すれば、政局的に安倍さんにとって有利なことはもちろんのこと、政治信念という意味でも安倍さんの本望でしょうし、国民としても歓迎する人が当然たくさんいると思います。

ただ、残念ながらその方面での進展はありません。一方で、成果を挙げていると思えるものも多く、安倍政権の外交の現状は

1、アメリカのオバマ大統領は安倍首相のことを話しのできる相手だと認めている(ただし、退任が近い)
2、韓国の朴クネ大統領も安倍首相とは話しができるようになったと考えている(ただし、退任が近い)
3、中国とは対立が鮮明化している(賛否別れると思います)
4、ロシアのプーチン大統領と仲が良い(ただし、アメリカはいい顔をしない)
5、中央アジアを訪問したり、インドとの距離を近づけたりと多元的な外交をしている

ざっくり言って上述のようなところだと思います。更に付け加えるならば、オバマ大統領の広島訪問は、これも賛否あるとはいえ、私は自分が生きている間にあのような光景を見る日が来るとは思いませんでしたし、「訪問したから、なんなの?それで被爆者は救われるの?」という疑問を持っていた一方で、やはり感動しました。それが参議院選挙で勝利したことの一因になったことは敢えて論じるまでもないことと思います。また、もうちょっと付け加えると、フィリピンの新しい大統領が、おそらくは大アジア主義的な発想法を持っている人であるため「アメリカ人は嫌いだが安倍とは仲良くしようぜ。もちろん中国とも仲良しだ」というスタンスで外交で臨んでいるように見え、これは想定外のちょっとどう考えていいのかよく分からない不確定要素と呼べるもとも思えます。

いずれにせよ、今、支持率は高いですから、仮に今解散しても充分に自民党は勝つと思えます。自民党が好きか嫌いかは関係なく、ちょっと引いた目で見てもそう思えます。自民党がいいというよりも、民進党の両院議員総会の様子を見ても分かるように、ほぼ空中分解に近く、民進党所属議員の中に「もう、民進党のことはどうでもいい」と思っている人が結構いるように見受けられ、安倍政権としては敵失に助けられているという部分もあるかなあと個人的には感じます。そういうあれやこれやを含めて、いつ解散しても良く、先日の参議院と同日選挙をやっても勝っていたと思いますが、安倍首相は憲法改正を最終目標に入れていますので、そのためにはどうあってもせっかく手にした衆議院の3分の2の議席を減らすわけにはいかず、これまた慎重に、ちょうどいい解散の時期を見定めている状況だろうと思います。あまり慎重になりすぎると任期満了の追い込まれ解散になってしまいますので、そうなる前に解散したいわけですが、プーチン大統領訪日で北方二島先行返還で話を収めて人気を高め、解散してもう一回大勝ちするというシナリオがあちこちから聞こえてきます。

さて、問題は交渉相手はかなり手ごわいということです。日本側としては「四島の主権が日本にあることを認めるなら、二島先行返還で、択捉国後はゆっくりと話そう」という姿勢らしいですが、その見返りとして相当に高く売りつけてくる、或いは二島返還で問題は終了させようとしてくるなどのロシア側の反応が予想されます。また、クリミア併合以後、ロシア締め付けを続けてきたアメリカの反応も心配しなくてはいけないように思います。今後の東シナ海でどのような動きになるかは、日米がどれだけ協力を維持できるかによって変わってきます。そういう意味では、ロシアとは日本は先抜けして仲良くするけど、東シナ海のこともよろしく、がどこまで通じるかという疑念も湧いてこないわけではありません。

それやこれや、見守らなくてはいけない要素が沢山あります。そもそも本当に二島が帰ってくるかどうかも分かりません。子どもの時から「北方四島」という言葉を聴かされてきましたので、二島だけでも帰ってくるとは心情的には信じることがうまくできません。また、二島だけで済ましてしまおうとされたら、却って良い結果とも言えなくなってしまいます。

そうは言っても二島返還が現実化するとなれば「まさか、そんなことが生きているうちにあるなんて」的なお祭りムードになるでしょうから、その後選挙ということならば自民圧勝ということになることでしょう。そういうシナリオで行くかどうか、行けるかどうか、しばらくは見守りたいと思います。二島返還で、残りの二島は長期租借というところまで漕ぎつけることができれば凄いと思います。

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