ヒラリーさんの副大統領候補がだいたい決まったらしい件

ヒラリーさんの副大統領候補がエリザベスウォーレン上院議員でだいたい決まったらしいです。心理的な局面と選挙戦略的な局面からこれについて考えてみたいと思います。個人的にはヒラリーさんに勝ってほしいとも負けてほしいとも思っていません。試みの思考としてやってみたいと思います。

エリザベスウォーレンさんは民主党のリベラルの本流をいく感じの人のようです。消費者保護に熱心です。言うまでもないですが人種差別をはじめとするあらゆる差別に反対の人です。カルチュラルスタディーとは何かをがっちり理解している人というか、実践している人です。そのことはご本人の信念を貫いていけば、それでいいと思います。

分析したいのは、この時期にヒラリーさんがエリザベスウォーレンさんを副大統領として選んだのは何故か?ということです。簡単なことですが、1、ヒラリーさんがやりやすいと思う人 2、トランプさんに勝てる人という2つの要素が必要になります。同世代で政治信条も合うということであれば、同性のエリザベスウォーレンさんとはやりやすいと思います。それはそれでいいと思います。大問題はそれでトランプさんに勝てるかどうかということです。私はどちらになってほしいというのはありません。飽くまでも選挙戦略のケーススタディとして考えたいと思います。

ヒラリーさんほど現実的な人が、「友達だから、気が合うから、親友だから」などの理由だけで自分の副大統領候補を選ぶはずがありません。トランプさんに勝つためには誰がいいかということをよく吟味したに相違ありません。結論としてヒラリーさんが選んだのは民主党リベラル本流のエリザベスウォーレンさんだということになります。このコンビであれば女性票とマイノリティ票が期待できます。もうちょっと言うと、女性票とマイノリティ票は確実なのでアプローチする必要がありません。スピーチや現実的な政治運動では白人低所得者層にアプローチできます。白人低所得者層はトランプさんの支持層と被りますので、ここを切り崩すことができれば大きく差をつけて勝利できる可能性が出てきます。ヒラリーさんもウォーレンさんも白人ですので表だって白人層からの反発を受ける可能性は低いです。実によく考えられた人選だということが分かります。

トランプさんの弱いところは共和党の候補でありながら、共和党らしくないことをスピーチしてきたところではないかと思います。共和党保守本流がトランプさんの応援に二の足を踏んでいるらしいです。最近はヒラリーさんの表情に余裕が出てきましたので、数回行われる直接対決討論会ではヒラリーさんは自信満々で臨むことでしょう。一方のトランプさんは「おもしろいおじさん」キャラだけで通せるかどうか。或いは現実をよく見て新しい球を投げることができるかどうかが注目点です。FBIがヒラリーさんのメール問題を調査しているという噂もあり、国務省がこんな時期にレポートを出した以上、本気でやれば黒になる可能性もありますが、オバマ大統領がそこをなんとかするかも知れません。この辺りは噂と想像力で論じるしかありません。

今のところやはりヒラリー一歩リード。或いは大差でリードかも知れません。トランプさんのイギリスEU離脱の日にスコットランド訪問はまず確実にすべっています。普通に考えればヒラリーさんが勝ちます。後はトランプさんの投げる球次第です。

とはいえ、イギリスがEU離脱をする昨今、いつ何が起きるか分かりません。逐一見ながら判断し、自分の判断が間違っているかも知れないと思ったときは迅速に修正していくしかありません。

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ナボコフ『ロリータ』の病める愛と心理観察

有名な話ですが、ナボコフはアメリカの出版社にこの作品の出版を断られまくり、パリの出版社に持ち込んでようやく世に出すことができました。ナボコフは亡命ロシア人で最初に書いたときは英語で出版された時はフランス語で作品の舞台はアメリカですから、良くも悪くも国際的です。アメリカの出版社が断りまくったのは作品の内容があまりに病んでいて、倫理的な問題も大きいからですが、現代では20世紀の主たる小説の一つに数えられています。

主人公はフランス人でアメリカで教師をしています。ローティーンの少女への関心が強いです。あるシングルマザーの女性と結婚します。主人子は美男子で、女性の心を掴むことに長けています。うらやましいです。本当の目的はその女性の娘さんです。日記に本音を書いています。女性に日記を読まれます。女の子は夏休みなのでサマースクールのキャンプ生活をしています。お母さんは急いで娘さんに「この男に気を付けろ」という内容の手紙を書きます。万事休かと男は諦めます。女性はポストに投函する直前に交通事故に亡くなってしまいます。

男はサマースクールのキャンプ場まで少女に会いに行きます。法律上は父親ですので簡単に面会できます。お母さんが亡くなったという事実を伝え、少女を連れて帰ります。誘惑し、目的を達成します。車に乗り、二人で各地を旅します。男は新しい赴任先へと少女と一緒に向かいます。法律上は父親なのでずっと一緒にいても誰も怪しみません。

ある日、少女がいなくなります。男は必死になって探します。少女はだんだん大人になっていて、若い男性と結婚していることが分かります。男が訪問すると、少女は男性に「父親が来た」と説明し、二人だけになって話し合います。行方不明になった時、とある脚本家の男性に連れていかれたことが分かります。男は決心して脚本家を訪れ、銃で殺してしまいます。

結構長い物語ですが、詳細に内容に触れることはためらわれます。世界的な小説ということになっているので、教養という意味では一回くらい読んだ方がいいです。読むのが面倒な人は映画で観てもいいです。肝になる部分はそれで分かります。映画だったら2時間くらいで終わるのでお手軽と言えばお手軽です。キューブリック監督が撮ったバージョンとエイドリアンライン監督の撮ったバージョンがあります。

作品の中では男と少女のエゴがよくぶつかり合います。「少女のエゴ」は永遠の謎みたいなものです。分かってみれば簡単ですが、それまでは男は悩んで煩悶して死にたくなってきます。理解できた時にはもう遅かったりします。今書きながら思い出して悲しくなってきます。この作品はナボコフの懸命の観察の結果によって少女のエゴを描いています(いろいろ「実験」したかも知れません。わかりません)。サガンの『悲しみよこんにちは』は十代の著者が少女の立場から少女のエゴを描いています。両方読めば、違った視点から人間心理の理解が深まるかも知れません。田山花袋の『蒲団』も読むのもいいかも知れません。ただ、田山花袋の『蒲団』は退屈で、矮小な、女学生にふられる男子教師の姿が描かれます。田山花袋は故意に矮小な男の姿(自己像)を自然主義的に書いたということなのだと思いますが、読んでいてがっくりします。明治小説が好きだという人もいますので、楽しめる人がいれば、それはそれでいいと思います。

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トランプ氏がスコットランドへ行った件

イギリスの国民投票の結果が出たその日、トランプ氏はスコットランドのご自身のゴルフリゾートへ行っておられました。ビジネスという建前ですが、もちろん、史上稀にみる大投票について微妙な場所で発言すればメディアが食いつくに違いないと考えてのことと思います。ただし、私個人としては選挙対策上、あまり好ましくないのではないかという気がします。私はトランプ氏に大統領になってほしいともなってほしくないとも思っていませんし、それについての意見はありませんが、この件について試みに考えてみたいと思います。

イギリスでEU離脱が盛り上がった背景には移民問題があります。変な言い方ですが、今は先進国で暮らせる人になれるかどうかの椅子取りゲームみたいになっていて、生活をかけた深刻な問題になっています。トランプ氏としては「イギリスはイギリスファースト、アメリカはアメリカファーストでOKだ」ということなのだいうメッセージを出したいのだと推量しますが、世界の市場が大混乱を迎えるこんな時期に外国に行っている人が「アメリカファースト」と呼びかけてアメリカ人の心に果たして響くだろうかという疑問が湧いてきます。国内で新しいゴルフリゾートを作ったならセーフです。フロリダでもカリフォルニアでもルイジアナでも好きなところに作ればいいです。「私はこのようにビジネスを通じて雇用を生み出している」と胸を張ればいいのです。トランプ現象とサンダース現象の背景には、アメリカ人の多くが将来に不安を感じているということがあります。今、先進国の人はみんな将来に不安を感じています。だから、たとえば今回のような大投票があるときはアメリカにいて、アメリカ人の利益をちゃんと考えているというフリだけでも見せなくてはいけません。

今回のスコットランド入りを見た人は、いざとなったら自分だけどっか安全なところへ行きそうな人だなぁと漠然と感じると思います。その逆はないです。イギリスに行ったとしてもキャメロンさんに会うとかならまだいいです。政治家としての存在感を示したくらいの評価はできます。しかし、大統領選がこれから大詰めに入ろうと言うときにビジネスをしている印象はよくありません。大統領になってからも片手間でビジネスしそうです。もともとそういう風に見えているので、決定的な印象を与えるようなことは避けなくてはいけません。

しかし、もうやってしまいました。今思えば、選挙スタッフの幹部が辞めるという経緯も「スコットランドに行く、行かない」でもめたのではないかという気さえしてきます。想像です。トランプ氏はテレビをよく知っている人だということで有名ですが、今回はちょっと狙いすぎて外したのではないかという気がします。

ヒラリークリントンさんは最近は少し調子がよさそうです。スピーチをする表情に余裕が見られます。サンダース氏とデッドヒートをしていた時は大声で景気よく、という感じのスピーチで、明らかに焦っていましたが、その山場をいったん抜けたからか、ゆっくりと落ち着いた声で話しています。前は「厚かましいおばさま」イメージが強かったですが、落ち着いて話す姿はさすがです。堂々としています。「インテリジェンスとウイットのあるおばさま」に見えます。ヒラリークリントンさんに勝ってほしいとかほしくないとかはありません。

ただ、情勢的にはトランプ氏はお金もないしメディア戦略も外してるし大事なスタッフは辞めてしまうしで、ゆっくりと黄信号が灯っているように見えなくもありません。6月の段階で勝負が決まってしまっては面白くありません。今後もおもしろい感じになってくれるように期待しています。

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アメリカ大統領選挙中盤戦。今後の注目点

参議院選挙が公示期間に入り、勝敗予想のようなことはちょっと憚られる気がしますので、アメリカ大統領選挙の話題に久々に触れてみたいと思います。(零細ブログですからマスメディアとは全然違いますが、一応、コンプライアンス的なことに注意したいと思っています)

で、いよいよアメリカ大統領選挙も中盤戦といった感じで民主、共和ともに指名候補もほぼ確定の段階に入ったここから、今後、どういったところに注目すべきかについて考えてみたいと思います。

まず、ヒラリー候補ですが、抜群の知名度を誇るものの、ビルクリントン大統領の時から有名人ですから、今さら新鮮味もありません。根強い支持者以外から若干飽きられている気がしなくもありません。ただし、良識ある人ならこっちを選ぶでしょうという空気はもちろんあるために鼻一つリードしていると言っていいと思います。不安材料としてはメール問題で、司直の手が伸びるのではという観測もありましたが、今はあんまりアメリカのメディアは話題にはしていません。Brexitの方に意識が集中しているので、イギリスの国民投票の結果が出てから動きがあるかどうかを見守りたいです。

ヒラリー候補の選挙資金はトランプ候補のそれの三十倍上回るという報道が出ていますが、「ヒラリー氏はやっぱりお金に厚かましい」という印象を与えかねません。有権者を更に興醒めさせそうな気がします。とはいえこれだけの大選挙、金の切れ目は運の切れ目。ヒラリー有利と観測するのがより実際に近いようにも思います。サンダース氏を副大統領候補に指名すれば民主党支持層分裂の危機は回避されそうですが、あの二人が仲良くなれそうにはちょっと見えません。今ここに至ってサンダース氏副大統領の話が盛り上がってこない理由は二人のケミカルの問題にありそうな気がします。

トランプ候補の陣営では選挙運動幹部をこの時期に辞めさせるという珍事が発生しており、内側はあまりうまく行っていないのかもしれません。しかも資金面でも差がついているとなれば、状況は我々の想像以上に苦しいかも知れません。トランプ氏がここまで勝ち残ってきたのは「おもしろいおじさん」だからだと言っていいですが、本選になれば舌禍は絶対に避けなくてはいけません。「キャラ勝負」には通常、賞味期限がありますので、舌禍を避けつつ最後の投票日まで賞味期限が続くか、または続けることができるかどうかも一つの注目したいポイントだと思います。

今後は双方のネガティブキャンペーン合戦が予想されます。トランプ氏は今のところ、まだ、多少の舌禍は受け入れられるキャラを持っていますので、過去にヒラリーさんから受け取ったという献金のお願いの手紙をネタに放言できる余地がありますが、厚かましそうなおばさまに見られつつあるヒラリーさんがネガティブをやると画面的にちょっとしゃれにならない気がします。ネガティブキャンペーンはやり過ぎると自分に跳ね返ってきますので、双方ともども調度いいあたりにできるかどうか。

ざっとポイントを整理しましたが、世論調査的にはヒラリーさんが基本的には若干のリードを保ち続けてきたと言っていいと思います。トランプ氏がかなり追い上げ、少し追い抜いたという世論調査もありましたが、一時的なものに留まっています。経験的には若干のリードを保ち続けてきた方が最後に勝ちを制します。じわじわとひっくり返すということはあり得ても、仮にこの趨勢が直前まで続いた場合、急転直下に変化が起きるということはまずありません。ということは、やはりヒラリー有利。という結論でございます。

個人的にどちらに勝ってほしいとかはありません。

アップダイク『クーデタ』の孤独のダンディズム

アフリカのどこぞの国。旧フランスの植民地だった地域、即ちフレンチアフリカのいずこかの国の独裁者が主人公。アルジェリア戦争の時に脱出し、アメリカの大学に留学し、恋をして相手のアメリカ人の女性を奥さんとして故郷に連れて帰ってきます。その後出世し、父親のように慕い助けをうけていた前の独裁者の首を民衆の前で自らの手で討ち、誰が本当の権力者なのかを人々に分からせようとします。自らの手を敢えて汚すところに男同士の愛があり、そうまでしなくては自分の権力は正しいものだと主張できない心の弱さがあり、討たれる側もそうでもしなければ収まるまいと思って討たれていきます。討たれたくはないけれど、討つ側の心情や事情はよく分かるといった感じだと思います。

物語は主人公のエルレーが独裁者として国内を仕切る様子と彼のアメリカでの青春時代が交互に描かれます。彼がアメリカで大学生をしていたころの思い出はきらきらしています。時代的にもサイモンアンドガーファンクルとかカーペンターズとかが似合いそうです。ビートルズほど垢抜けていないところも更にきらきら感を増しているように思えます。森田童子の歌だって似合いそうなくらいに繊細で不安定な青春です。青春とはもしかすると繊細で不安定であるが故にきらきらしているのかも知れません。アップダイクはアメリカの作家ですから、アメリカ人読者の多くは(世代的に合えば)自分の青春を思い出すに違いないのです。彼のアメリカでのニックネームはハッピーで、国へ連れて帰って来たアメリカ人の奥さんはキャンディーです。一緒に砂漠の洞窟へ行って「ハッピーはキャンディーを愛している」とか落書きします。赤面もののいい青春です。 

しかし時は流れ、気づくとエルレーはムスリムの習慣に基づいて奥さんを四人抱えるようになっています。エルレー本人は国内各地を旅して歩きます。始皇帝みたいな感じです。旅先でいろいろなことを思い出し、考えたりしています。そこには他の誰かが入り込む余地はありません。父親代わりのおじさんの首も討ってしまったので、孤独を分け合う人もいません。周囲の人はイエスマンか怠け者です。エルレーは身分を隠して国情を見て歩きます。主人公はアメリカが大好きです。でも声に出してアメリカが好きだとは言いません。しかし、アメリカみたいな都市の建設を計画したりして、自分の国をアメリカみたいにしたいと思っている様子です。ただし、そもそも独裁者がいる時点でアメリカの自由と民主主義とは真逆を行っていると本人はよく分かっています。多分、本当は自分の国をアメリカみたいにする必要もないということも分かっています。でも心はすぐにアメリカへ行ってしまいます。

そのような旅をしている間に首都では無血クーデタが起き、彼はいきなり失脚します。首都へ帰る車にすらことをかき、物売りの姿で首都になんとか帰ってきます。四人の奥さんのうち三人までは彼を拒否します。アメリカから連れて帰った奥さんにも新しい恋人ができています。人間堕ちればそんいなものかも知れません。しかし、クーデタの首謀者は彼の命までは取りません。恩給の支給を認め、残った一人の奥さんと子どもたちがフランスで亡命生活を送れるように取り計らいます。ぎりぎりのところで人情が絡むところが何とも言えずいい感じです。そもそも新しい独裁者はエルレーに引き上げてもらった過去があるので、それに対する恩返しで生活を保障するということになると、恩をあだで返したことになるのかきちんと恩返ししたことになるのよく分からなくなってきます。しかしそのよく分からない感が小説では面白いです。椅子取りゲームと人情とは別の問題ということなのかも知れません。

エルレーがフランスで回顧録みたいなのを書こうと思っているところで、これぞ本人の生きようとしている証だみたいな感じで物語は終わります。この物語では周囲に大勢の部下と女性がいるにもかかわらずエルレーが孤独であることがよく分かります。人間誰もが孤独です。大学の教師をしていても孤独です。自我の境界線がはっきりしない地縁血縁から切り離された近代人は誰もが孤独を引き受けざるを得ないようになっています。ですので誰が読んでもこの作品には何かしら共感なり感情移入ができるのではないかと思います。私は男性ですので女性が読めば少し違う感想になるかも知れないとも思います。そこはちょっと分かりません。あるいは孤独を引き受けてついそこに耽溺してしまうのが男なのかも知れません。ダンディズムを気取りたければ孤独はつきもののような気もします。

このような孤独はきっと地位や財産とは関係がありません。心の中で生成され、周囲の人や物に投影されるという心理のメカニズムに地位と財産は関係ないからです。でもどちらかと言えば地位や財産があって孤独な方が絵になります。地位も財産もなくて孤独だったら大変です。全然違うお話になってしまいます。社会主義革命と連帯の話にしなければ物語は終わりません。話が大げさになってしまってカムイ伝みたいにいつまでも終わらなくなってしまいます。「私のようにコミュニケーションに自信がなくて、うまく連帯できない場合はどうすればいいんですか?」という疑問に社会主義革命は返答を用意してくれません。反革命分子にされてしまいます。

ちょっと話が脱線しましたが、更にもうちょっと脱線するとこのお話は池澤夏樹さんの『マシアスギリの失脚』と大体同じ感じです。池澤夏樹さんはクーデタを読んでマシアスギリの失脚を書いたに違いありません。『マシアスギリの失脚』は私が特別好きな小説です。多分、戦後に書かれた小説で一番好きです。戦前に書かれた小説では『春琴抄』が一番好きですが、どっちか一つだけ選べと言われればマシアスギリを選びますから、一番好きな近代日本の小説がマシアスギリということになると思います。マシアスギリについてはまた別の機会を見て投稿したいと思います。

関連記事
池澤夏樹『マシアスギリの失脚』の孤独のダンディズム

映画『アメリカンビューティー』と中産階級

昨日、サンダース現象とアメリカの中産階級というタイトルで投稿したのですが、その続きで頭の中にあることを投稿したくなりました。

アメリカ映画『アメリカンビュティー』は、平凡な中産階級の家庭が短期間で崩壊していく様子を描いているものです。
主人公の40過ぎくらいのお父さんが会社をリストラされ、「これからは責任のない仕事がしたい」と思い、バーガーショップの店員を始めます。
お母さんは不動産の販売をしていますが、客に物件を紹介する前に「私はこの家を売ってみせる」と何度もつぶやく人で、自己啓発にはまっているとも言えますが、やはり売り上げが全ての世界だけに強いプレシャーを受けて生きていることが分かります。

お父さんがリストラされて以後、間違いなくお母さんはお父さんのことを馬鹿にするようになり、仕事場で知り合ったやり手の男性と不倫をし、不倫の最中、たまたま一緒の車でドライブスルーに行ったら窓口に自分の夫がいるという最悪の展開を迎えます。
隣には退役した海軍大佐が引っ越してきます。会う人会う人に「海軍大佐だ」と自己紹介するあたりに、かえって「海軍大佐以外に何もない男」という印象を与えてしまっています。退役海軍大佐の息子はドラッグの売人で、主人公お父さんにドラッグを売り、その家の娘と付き合います。

ある日、こういう諸々が全部ばれてめちゃくちゃになり、最後の最後のネタバレだけは避けますが、主人公の娘と海軍大佐の息子は馬鹿げた大人たちに愛想をつかし、ニューヨークへ駆け落ちすることを決心します。しかし、ティーンエイジャーでドラッグ売人ですから、明るい未来が待っているとも考えにくいという感じです。

この映画から読み取れるのは、1、中産階級を維持するのは大変だ 2、中産階級はちょっとしたほころびで何もかもダメになってしまうかもしれない 3、ダメな中産階級は子どもからも見捨てられる 4、しかしその子供も先が思いやられる

という中産階級哀歌といってもよいものです。

この映画が公開された当初、「これはアメリカの中産階級の没落を表現しているものだ」というような解説がなされていたことを覚えています。

しかし、それから10年以上たち、いよいよ日本でも他人事ではなくなってきたということを思わずにはいられません。やがて中国、台湾、香港、韓国でも同じことが語られるようになる、あるいはすでに語られ始めているかも知れないという気もします。

解決策は一つ!やはりここはAIに仕事をしてもらって、ベーシックインカム!でどうでしょう?

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サンダース現象とアメリカの中産階級

サンダース氏の陣営が総力をあげて取り組んだカリフォルニア予備選ではクリントン氏が勝利という結果になりました。時差の関係でニュージャージーの票が先に開き、クリントン氏が代議員の過半数を獲得したことで、カリフォルニアの票が開く前に民主党の大統領候補が決まったという意味では、カリフォルニアの開票への関心はさほど集まらなかったようにも見えます。

サンダース氏側としては、ニュージャージーはそもそも捨てていたので、ニュージャージーで負けても別にいいと思っていたでしょうけれど、カリフォルニアでも負けたというのは、象徴的な意味も含んで、結構、がっかりしたのではないかという気がします。

とはいえ、サンダース氏陣営は民主党大会の当日に自由に投票できる特別代議員を説得する方針で、最後まで退かない姿勢を貫くようです。

サンダース氏はアメリカの若者を中心に支持を集めていると言います。よく言われることですが、アメリカの格差社会があまりにひどいために将来の展望を持ちにくい若者たちがサンダース氏の社会主義的格差解消政策を強く支持しているそうです。サンダース氏は必ずしもルックスがぱっとするとかそういう感じではありませんが、怖い校長先生みたいな感じの見た目は無私の人という印象も与えるもので、そういうのも含んで若者の期待を得ているのかもしれません。その背景には中産階級の没落があるということなのでしょう。

中産階級の没落が語られるようになって久しいですが、昔の中産階級と今の中産階級ではかなり違ったものになっているのかも知れません。アメリカの普通で平凡な中産階級とは、芝生付きの家で暮らし、車が一台か二台あって、日曜日の午前中は教会へ行き、午後はピクニックでもして楽しむ。子どもはだいたい三人ぐらいいて、一人ぐらい出来のいい子は有名な大学に進学し、20代になれば幸せな結婚を。というイメージのものだったように思います。Back to the futureとか、そんな感じの描かれ方です。そんなに贅沢はしないけど、そこまで贅沢する必要も感じず、ちょっとくらいは高価なものも持っている。

ですが、最近つくづく思うのですが、どうもそのような中産階級は社会全体が順調に経済成長している時だけに見られる現象のようです。経済成長が順調な時は誰にも潤沢な資金がいきわたり、小貴族のような暮らしができるのですが、低成長社会に入ると一部の成功者は十分に贅沢な生活ができるものの、それ以外の人たちは来週の支払いのために今を我慢するという状態を甘受しなくてはいけなくなるというものだったのではないかと思うのです。例えば日本でいえばドラえもんののび太の家庭が日本的な中産階級のイメージで郊外に小さいけれども庭付き一戸建てを持っていて、ローンはしんどいけれど、お父さんは終身雇用の会社で働いているので大丈夫。という感じのものですが、今は日本でもそういうイメージは崩れているように思います。衣食住に満たされ、少しは贅沢もできるのが中産階級というのは特定の時代だけにもたらされた錯覚だったのかも知れません。

20世紀は中産階級と大衆消費の時代でしたが、21世紀に入ってからはだんだんとそういう感じではなくなってきました。

アメリカでも日本でもそうですが、今後はどのような社会を目指すのがいいのか、選択する必要があるかも知れません。低成長社会でも中産階級を維持するために再分配に重点を置くのか、それとも格差の存在を受け入れて、その代わりに成功者がイノベーションや設備投資で進歩を目指す社会を選ぶのか。私の受ける感覚としては再分配重視を希望する人が多いように思います。アメリカのように成功者を尊敬し、格差が存在するのは当然と考える人が多い社会でもサンダース現象が起きるのだということを思えば、日本では尚のことのように思います。

今後はAIが仕事する社会になり、人々が労働して税金を払うことによって国や社会を支えるというモデルそのものが過去のものになる可能性も出ています。私は最近は、そういうことなら、再分配重視でいいのでは?と思うようになっています。太平洋をへだてた日本人の私にまで影響するのですから、サンダース現象、おそるべしです。

カリフォルニア予備選近し。ヒラリーかサンダースか?

ヒラリー氏とサンダース氏がデッドヒートを続けていますが、
今度の火曜日でようやくはっきりしそうです。

その日はカリフォルニア予備選挙があり、世論調査では
ヒラリー氏の支持率にサンダース氏が追い付きつつあり、
まだ3-4日ありますから、場合によっては逆転という
ことすらあり得る展開を見せています。

西海岸の人のざっとした傾向としては、
新しいものに対して肯定的であり、かつリベラルを好む
というものがあると個人的には思います。

ヒラリー氏とサンダース氏はどちらもリベラルと言えば
リベラルなのですが、よりリベラルなのはどちらか?
と問われれば、サンダース氏のほうが間違いなく、
「よりリベラル」と判断されるでしょうし、
遅れてきた新人的なサンダース氏は好まれるのではないか
という気がしなくもありません。

私は社会主義は肯定しませんが、サンダース氏の地味な服装、
安そうな着古した感じのスーツが主張と生き方の一致を見せて
いるように見えて、私のサンダース氏に対する印象も悪くありません。

サンダース氏のHPも作りが素人っぽく、その手作り感がここまで
来ると好印象です。

とは言うものの、カリフォルニア予備選が行われる日は
ニュージャージーの予備選もあり、時差の関係で
ニュージャージーの方が先に結果が出ますので、
ここでヒラリー氏が指名獲得を確実にするのではないか
との見方が強いようです。

一方、サンダース氏はそのような予想はどこ吹く風と
カリフォルニアに全力を集中する方針なのだとのこと。

指名獲得争いではヒラリー氏が勝つでしょうけれど、
カリフォルニアは西海岸の代表的な地方でサンダース氏が
勝てば、象徴的な意味を持つに違いありません。

私はもちろん日本人ですから、アメリカの大統領選挙については
遠くから眺めているしかありませんし、どちらに勝ってほしいと
いうこともありません。

ただ、当事者の心境や事情というものを推し量るとすれば、
もし、私が民主党支持者であれば、一日でも早く
ヒラリーvsサンダースを終わらせたいと願うはずです。

両者の戦いがもつれればもつれるほど、民主党の票がばらけ、
それだけトランプ氏が有利になります。

熱烈なサンダース支持の人々が心の整理をつけて、
共和党の候補に投票するよりは、ヒラリー氏でも
民主党の大統領がいいと思うようになるにはしばらく
時間がかかるでしょう。
そういう意味では、民主党としては今度の火曜日で
きれいに形をつけてしまいたいはずです。

さて、トランプ氏とヒラリー氏の対決で、どっちが
勝つか?ですけれど、民主党陣営ではある意味では
遺恨が残りそうな展開になっていますし、
ヒラリー氏本人にもメール問題など炎上のネタが
あります。

当初、大本命と見られていたヒラリー氏が不利に
なりつつあるとも見えますので、本当に選挙は
分からないものです。

一方、トランプ氏も法外な金儲けの手法が取り沙汰されたり、
今後は税金をちゃんと払っているのか?あたりで炎上含みです。

これまでトランプ氏は大金持ちだから資金はクリーンという、
斬新な存在感を見せていましたが、税金を正しく払っていなかった
ということになれば、話は全く変わってきます。

本選挙では脛に傷のあるもの同士が、どちらがよりお金に対して
ダーティーかの中傷合戦になる可能性を残しており、そういうのは
やはり、あまりいいことのようには思えません。

トランプ氏は多分、きっと、おもしろいおじさんなのだろうと
思います。そういうおもしろいおじさんが大統領になるのも
おもしろそうだと思わなくもありません。

ただ、おもしろいだけの人が大統領になっていいのか?
という疑問もありますが、そこは私は有権者じゃありませんので…。

トランプ氏が大統領になったら世界はどうなるのか?

トランプ氏がアメリカの大統領になる可能性がじわじわと高まりつつあるように見える昨今、

もし本当に彼が大統領になったら世界はどうなってしまうのかと不安に感じる人が多いような

気がします。

果たしてトランプ氏が本当に大統領に就任したら、暴言をかましまくり交渉相手に

無理難題を押し付けて悦に入るようなことになるのでしょうか?

私はトランプ氏は目の前にいる人が喜ぶことを言う天才なのではないかという

気がしています。大衆の前でスピーチする時は猛々しいことを言いますが、

単独インタビューに答える時はわりとまともなことを言ったりしています。

そのため、実際に大統領になったら、わりとまともなリアリズムに基づいたことを

やりそうな気もしなくはありません。

もっとも、ネオコン的世界進出にはアメリカ人の間で嫌気が広がっているように

見受けられますので、そういうことはもうやらない。アメリカ人の生活が第一だ。

だけれど強いアメリカの復活も彼が繰り返し放言していることの一つですので、

例えば日本や韓国とのアライアンスを棄てることは、強いアメリカとは逆行する

ため、金をもっと出せと言うことはあり得ても、本気で安全保障条約をやめる

というのはなかなか考えにくいような気がします。

合理的に考える人でしょうから、日米地位協定については理を尽くして

こちらから訴えかければ聞く耳を持つのではないかという気もします。

うーむ…私の考えは甘いでしょうか…。

トランプは大統領になることだけが目的で仕事はやりたがらないだろうから、

実質的には副大統領が大統領の仕事をするという見方もあるようです。

そうすると誰が副大統領になるのかで今後の世界を占っていくことになりますが、

今のところやりたそうな人の名前は出ていません。

マルコルビオの名前も挙がったそうですが、本人は拒否しているとのことです。

トランプ氏が大統領になるのなら、副大統領に指名されれば確かにやりたいかも

知れませんが、もし大統領になれなかったら、本選で負けてしまったら、

暴言おじさんの片棒を担いだ男として残りの人生への打撃は量り知れません。

 

そういうこともあって、トランプ氏がヒラリー氏に対して勝ちそうだという

確信が得られない限り、副大統領候補のなり手は見つからないかも

知れませんねぇ…

トランプ大統領誕生の現実味

つい先日まで考えられなかったことですが、トランプ大統領誕生の可能性が

にわかに現実味を帯び始めています。

トランプ氏が共和党の指名獲得を確実にした段階でも、大方の見方は

ほぼヒラリーで決まりでは?というものでしたが、ヒラリー氏のメール問題が

本格的に

炎上しており、アメリカ国内ではヒラリー離れが進んでいるように

見受けられます。

 

最近ではトランプとヒラリーではどちらに入れるかと問う世論調査で

は両者が拮抗し、トランプとサンダースであればサンダースに入れる

という人が多いという、ちょっと意味不明な複雑な状況に至っています。

最近までは共和党がトランプ派と反トランプ派で分裂するのではないかと

囁かれていましたが、今となっては民主党の方がヒラリー派とサンダース派で

分裂していると言ってもよさそうな雰囲気まで生まれてきています。

 

トランプ氏は本選に入ればヒラリー氏を攻撃するための「証拠」も持っていると

噂されており、それが炸裂すれば、トランプ大統領誕生の可能性が更に上がるかも

知れません。

 

とはいえ、大本命のヒラリー氏がこのような形でこけたり、サンダース氏が

ヒラリー氏を向こうに回して善戦したりと、本当に波乱含みで、本当に

こりゃ、わからん!