EU解体がわりと本気で語られている件

イギリスの国民投票がEU離脱に決まったことを受けて、ヨーロッパの他の国でも「国民投票をやるべきだ」という声が増えているらしいです。国民所得の比較的高い国では国民投票による離脱を望む人たちが増えている一方、新しくEUに入りたいという国もあって、そういう国は国民所得が比較的低いようです。金持ちはEUから逃げ出して、そうではない人が殺到してくるという構図が浮かび上がります。

EUの基本は関税同盟だとして、それにプラス移動の自由とユーロによる通貨の統合が盛り込まれています。これは見方によるかも知れないですが、巨大な市場に参加できるというメリットがある一方で、関税と金融と入国管理の自主権を失っていると考えることもできなくはありません。かつては夢のある話として語られていたEUが今となっては空中分解、解散、消滅、解体が本気で語られる事態に立ち至ってしまいました。

最近まで世界はグローバル化、フラット化の方向にあったように思いますが、最近になって自国中心主義へと反動が起きているようです。

それらのニュースに触れて、ふと思い出すのは第二次世界大戦前に流行したファシズムです。ファシズムといえばナチスドイツやイタリアのムッソリーニを連想しますが、当時はファシズムに将来性を見出す人たちもいて、イギリスにもファシスト党があったりしたそうです。ファシズムは国家社会主義ですが、どちらかと言えば国家主義の色彩が強く、おそらくは第一次世界大戦後に流行した国際協調主義への反動としてそのような思想が育ってきたのではないかと思います。現代の我々が想像すると結構怖いです。最近の動きとちょっと似ています。

かつて世界最大の帝国だったイギリスは第二次大戦後に次々と植民地を失い、現在の領土はグレートブリテン島と北アイルランドとプラス遠い海を隔てた小さなとかになっています。このままいけばイギリスが消滅するのではないかくらいの不安を感じる人もいるらしいです。スコットランドが独立したり、北アイルランドがアイルランドと統一したり、ウエールズもどうでしょう、みたいなことになれば、中世のイングランド、ヘンリー8世以前くらいまで戻ってしまうことになります。移民が増えても国家が消滅するとは限りませんが、不安を更に感じさせる材料になったようにも見えます。

ドイツのメルケル首相は「EUを離脱したいとか言ってる国はイギリスが今後どうなるかをよく見てから決めたほうがいい」という主旨の発言をしています。怖いです。いっちょしめるぞと言ってるみたいに聞こえます。主観です。エマニュエルトッドとか有名な人が「EUはドイツ帝国だ」と言うのもちょっと頷けます。EUそのものは結構夢のある理想を掲げていたと個人的には思うので、「ドイツの草刈り場だ」という風には思いたくないですが、本当はやっぱりそうかも知れないとも思います。

フランスが抜けるかどうかが鍵になります。もちろん、すぐにそうなるとかという話ではないですが、ルペンさんの人気も上々らしいので、具体的な政治日程として上がってきても不思議ではありません。というかイギリスがEUを抜けた時点で今後の世界は何が起きてもおかしくないし、トランプさんが大統領になっても意外でもなんでもない感じです。フランスが抜けたらEUは実際的に解体したのと同じになります。今年は見ているだけでもエネルギーを使うニュースが多いです。

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イギリスのEU離脱といろんな人の感情について

イギリスではEU離脱に賛成票を投じたことを後悔している人が結構いるそうです。まさか本当にEU離脱になるとは思っていなくて、残留派をびびらせてやろうくらいの軽い気持ちで離脱に票を入れてしまい「まさか本当に離脱することになるとは思わなかった」と焦っている人がいっぱいいるらしいです。もう一回住民投票をしてほしいという声もあるそうです。普通に考えて、もう一回はないだろうと思いますが、手続き的にもう一回やれるのならやってもいいかも知れません。

日本が国際連盟を脱退したときもクールダウンの期間が二年間与えられていて、その間、日本は律儀に分担金を払っています。二年もあれば気の迷いが晴れて落ち着いた気持で本当に残るか出ていくかを決心することができるだろうということです。日本は二年も冷却期間をもらっているのにそれでも脱退したのですから、本当に当時の指導者はどうかしていると私は思います。松岡洋祐はいろいろな意味で哀れです。本人は脱退するつもりがなかったのに脱退の責任者になってしいました。

ちょっと脱線しましたが、国際連盟にもクールダウン期間があったわけですから、EU離脱にクールダウン期間があっても全然いいと思います。もう一回やらせてほしいというのなら、やらせてあげていいと思います。もちろん、かっこ悪いです。前言撤回とか意思決定のやり直しとかかなりみっともないです。ですが、メンツを言っている場合ではありません。

そもそもEU離脱話は敢えていえば「ふわっとした民意」みたいなものです。その時々でふわふわ変わっていきます。民主主義ですから人々は投票結果に責任があります。それをころころ変えるとか、同じテーマで何度もやるというのは民主主義の仕組みとあまり合わないかも知れません。国民投票やり直しの前例ができると、今後「自分の意に沿わない結果が出たらやり直し大合戦」が繰り返されることになりかねません。そういうのは無理です。ということはこれで終了で、このまま粛々と離脱手続きが進められることになりそうな気配です。

EU加盟国の偉い人が6人並んで記者たちの前に姿を現し「離婚手続きは速やかに進めてほしい。その方がEUの将来像を描くことに集中できる」と声明しています。明らかに怒っています。投票前までヨーロッパ各地で「EUに残ってラブコール」みたいなメッセージがたくさん出されていたので、今はその反動がついているかも知れません。痴情のもつれみたいになっています。別れ話を切り出されてだったら今すぐ出て行け、こっちの方から願い下げだみたいな、売り言葉に買い言葉状態にも見えなくもありません。

多分、もともと、イギリスと大陸は相性がよくなかったのかも知れません。気のせいだとは思いますが、ロンドンの中継映像とEUの偉い人たちの会見の映像からは気候や風土みたいなものが随分違うように感じられます。気質も世界観も私たちの想像以上に違うのかも知れません。なので、だったらどうぞ、と大陸側の人も言いやすいのかも知れません。EUに入っているのにポンドを維持してきたことも、いつでも足抜けできるようにしているみたいで気に入らなかったのかも知れません。

今、ポンドはユーロに対してダダ下がりになっているらしいです。ユーロよりもポンドの受ける打撃が大きいとの観測が強いみたいです。ただ、短期的なものは投機マネーで上がったり下がったりするので、上げるだけ上げていきなり落としたりしてくることもあるので、短期的なこと、数日の動きだけでは何とも言えません。

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トランプ氏がスコットランドへ行った件

イギリスの国民投票の結果が出たその日、トランプ氏はスコットランドのご自身のゴルフリゾートへ行っておられました。ビジネスという建前ですが、もちろん、史上稀にみる大投票について微妙な場所で発言すればメディアが食いつくに違いないと考えてのことと思います。ただし、私個人としては選挙対策上、あまり好ましくないのではないかという気がします。私はトランプ氏に大統領になってほしいともなってほしくないとも思っていませんし、それについての意見はありませんが、この件について試みに考えてみたいと思います。

イギリスでEU離脱が盛り上がった背景には移民問題があります。変な言い方ですが、今は先進国で暮らせる人になれるかどうかの椅子取りゲームみたいになっていて、生活をかけた深刻な問題になっています。トランプ氏としては「イギリスはイギリスファースト、アメリカはアメリカファーストでOKだ」ということなのだいうメッセージを出したいのだと推量しますが、世界の市場が大混乱を迎えるこんな時期に外国に行っている人が「アメリカファースト」と呼びかけてアメリカ人の心に果たして響くだろうかという疑問が湧いてきます。国内で新しいゴルフリゾートを作ったならセーフです。フロリダでもカリフォルニアでもルイジアナでも好きなところに作ればいいです。「私はこのようにビジネスを通じて雇用を生み出している」と胸を張ればいいのです。トランプ現象とサンダース現象の背景には、アメリカ人の多くが将来に不安を感じているということがあります。今、先進国の人はみんな将来に不安を感じています。だから、たとえば今回のような大投票があるときはアメリカにいて、アメリカ人の利益をちゃんと考えているというフリだけでも見せなくてはいけません。

今回のスコットランド入りを見た人は、いざとなったら自分だけどっか安全なところへ行きそうな人だなぁと漠然と感じると思います。その逆はないです。イギリスに行ったとしてもキャメロンさんに会うとかならまだいいです。政治家としての存在感を示したくらいの評価はできます。しかし、大統領選がこれから大詰めに入ろうと言うときにビジネスをしている印象はよくありません。大統領になってからも片手間でビジネスしそうです。もともとそういう風に見えているので、決定的な印象を与えるようなことは避けなくてはいけません。

しかし、もうやってしまいました。今思えば、選挙スタッフの幹部が辞めるという経緯も「スコットランドに行く、行かない」でもめたのではないかという気さえしてきます。想像です。トランプ氏はテレビをよく知っている人だということで有名ですが、今回はちょっと狙いすぎて外したのではないかという気がします。

ヒラリークリントンさんは最近は少し調子がよさそうです。スピーチをする表情に余裕が見られます。サンダース氏とデッドヒートをしていた時は大声で景気よく、という感じのスピーチで、明らかに焦っていましたが、その山場をいったん抜けたからか、ゆっくりと落ち着いた声で話しています。前は「厚かましいおばさま」イメージが強かったですが、落ち着いて話す姿はさすがです。堂々としています。「インテリジェンスとウイットのあるおばさま」に見えます。ヒラリークリントンさんに勝ってほしいとかほしくないとかはありません。

ただ、情勢的にはトランプ氏はお金もないしメディア戦略も外してるし大事なスタッフは辞めてしまうしで、ゆっくりと黄信号が灯っているように見えなくもありません。6月の段階で勝負が決まってしまっては面白くありません。今後もおもしろい感じになってくれるように期待しています。

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イギリスのEU離脱が決まった件

今、6月24日午後2時過ぎです。イギリスのEU離脱がほぼ決まりのようです。BBCのHPを見たところ、離脱派は100万票以上の差をつけて勝利しています。グラフでは離脱派がちょうど過半数くらいです。残り票を分け合うとしても、離脱多数で決まりです。

YoutubeでBBCのライブを見ていますが、コメント欄は離脱派の勝利の凱歌で溢れかえっています。品の良くないコメントもあります。そういうコメントが書き込まれるのは世界中どこにでもあります。

先日、「イギリスはEU離脱しない」と予想しました。外しました。事前調査で残留派が僅差で有利、出口調査で残留派が4パーセントリードで、それでもやっぱり離脱派が勝つとは…。何故…どうして….。外して恥ずかしいです。自分に対して恥ずかしいです。神様と世間様に謝ります。すみませんでした。

心理的なショックで治りかけの風邪がひどくなってきました。軽く微熱も出ています。今日は夜間の学生に教えに行かなくてはいけません。個人的には寝込んだ方がいいのです。でも、こんなことが起きているのに寝込んでいられません。

BBCのYoutubeライブに拠りますが、スコットランドの独立派の人たちはさっそく、今後は独立の機会を伺うと表明しているそうです。キャメロン首相はスタンドアップコメディの主人公になった気分に違いありません。私は自分でブログに予想を書いて冷や汗をかく愚かなピエロです。

EUの終わりの始まり。エヴァンゲリオンで言えば新劇場版の二作目の最後の場面、赤城博士の「世界が終わるのよ」の台詞を聞いているような、ナウシカで言えばドルクの焦土作戦でオウムの大群が人の世界へ流れ込み、世界の終わりへと導かれていく場面を読んでいるような気分です。

偉そうに、いい気になって、「イギリスはEU離脱しない」とブログに書いた自分に対して「何様のつもりか」と問わなくてはいけません。これからもブログ続けたいので、続けるためにも今日は懺悔です。ごめんなさい。反省しています。

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アメリカ大統領選挙中盤戦。今後の注目点

参議院選挙が公示期間に入り、勝敗予想のようなことはちょっと憚られる気がしますので、アメリカ大統領選挙の話題に久々に触れてみたいと思います。(零細ブログですからマスメディアとは全然違いますが、一応、コンプライアンス的なことに注意したいと思っています)

で、いよいよアメリカ大統領選挙も中盤戦といった感じで民主、共和ともに指名候補もほぼ確定の段階に入ったここから、今後、どういったところに注目すべきかについて考えてみたいと思います。

まず、ヒラリー候補ですが、抜群の知名度を誇るものの、ビルクリントン大統領の時から有名人ですから、今さら新鮮味もありません。根強い支持者以外から若干飽きられている気がしなくもありません。ただし、良識ある人ならこっちを選ぶでしょうという空気はもちろんあるために鼻一つリードしていると言っていいと思います。不安材料としてはメール問題で、司直の手が伸びるのではという観測もありましたが、今はあんまりアメリカのメディアは話題にはしていません。Brexitの方に意識が集中しているので、イギリスの国民投票の結果が出てから動きがあるかどうかを見守りたいです。

ヒラリー候補の選挙資金はトランプ候補のそれの三十倍上回るという報道が出ていますが、「ヒラリー氏はやっぱりお金に厚かましい」という印象を与えかねません。有権者を更に興醒めさせそうな気がします。とはいえこれだけの大選挙、金の切れ目は運の切れ目。ヒラリー有利と観測するのがより実際に近いようにも思います。サンダース氏を副大統領候補に指名すれば民主党支持層分裂の危機は回避されそうですが、あの二人が仲良くなれそうにはちょっと見えません。今ここに至ってサンダース氏副大統領の話が盛り上がってこない理由は二人のケミカルの問題にありそうな気がします。

トランプ候補の陣営では選挙運動幹部をこの時期に辞めさせるという珍事が発生しており、内側はあまりうまく行っていないのかもしれません。しかも資金面でも差がついているとなれば、状況は我々の想像以上に苦しいかも知れません。トランプ氏がここまで勝ち残ってきたのは「おもしろいおじさん」だからだと言っていいですが、本選になれば舌禍は絶対に避けなくてはいけません。「キャラ勝負」には通常、賞味期限がありますので、舌禍を避けつつ最後の投票日まで賞味期限が続くか、または続けることができるかどうかも一つの注目したいポイントだと思います。

今後は双方のネガティブキャンペーン合戦が予想されます。トランプ氏は今のところ、まだ、多少の舌禍は受け入れられるキャラを持っていますので、過去にヒラリーさんから受け取ったという献金のお願いの手紙をネタに放言できる余地がありますが、厚かましそうなおばさまに見られつつあるヒラリーさんがネガティブをやると画面的にちょっとしゃれにならない気がします。ネガティブキャンペーンはやり過ぎると自分に跳ね返ってきますので、双方ともども調度いいあたりにできるかどうか。

ざっとポイントを整理しましたが、世論調査的にはヒラリーさんが基本的には若干のリードを保ち続けてきたと言っていいと思います。トランプ氏がかなり追い上げ、少し追い抜いたという世論調査もありましたが、一時的なものに留まっています。経験的には若干のリードを保ち続けてきた方が最後に勝ちを制します。じわじわとひっくり返すということはあり得ても、仮にこの趨勢が直前まで続いた場合、急転直下に変化が起きるということはまずありません。ということは、やはりヒラリー有利。という結論でございます。

個人的にどちらに勝ってほしいとかはありません。

イギリスはEU離脱しない

今、6月21日のお昼ごろです。23日にイギリスでEU離脱を問う国民投票が実施されることで、世界中でどっちの結果が出るのかに注目が集まっています。最近までは世論調査で離脱派が優勢でしたが、今は離脱派と残留派が拮抗しており、全く読めません。また、日本人の私がとやかく言うことでもないかもしれません。あくまでも試みの思考として、どちらになるかを予想してみたいと思います。

結論としては、EU離脱はない。と私は考えるようになりました。以下にその理由を述べます。

離脱派が主として論じているのはEUへの財政負担と難民が流入してくることによる社会不安リスクです。残留派が主として論じているのは、EU離脱後の経済的なリスク、金融不安、EU残留を希望するスコットランド独立派が勢いづくことへの懸念が挙げられます。

では、どちらの方がよりリスクが高いのかと言えば、もはや論じるまでもないことですが、EUを離脱した後の経済的な打撃はイギリスが負担させられるEU財政への拠出金を遥かに上回るもので、シティよりもフランクフルトの方がより大きな打撃を受けるとは思いますが、シティも無傷というわけにはいきません。難民流入リスクがあるとは言え、シェンゲン協定に入っていないイギリスはその気になれば自国の主権で難民を入れないという選択肢を放棄しているわけではありません。更に言えば、ギリシャの財政危機などはユーロに入っているために独自の通貨政策を打てないことにも原因がありますが、イギリスはポンドを維持しているためにその心配もありません。

そのように考えてみると、財政負担以上の経済的メリットがあり、難民流入による社会不安は自国でコントロール可能なわけですから、残留した方が断然お得です。離脱派の「ヨーロッパ大陸人を食わせるために税金なんか使えるか、難民が入ってきたら社会不安になる」はある程度、幻影を煽っているようなものと思えなくもありません。

しかし、イギリス人はヨーロッパ大陸人と感性や価値観などの点で隔たりがあり、日本人と同じく島国根性もあるので、EUに入っているとどっかの国が財政破綻するとかどうとか、難民が入ってきてどうとかという面倒なことに巻き込まれるのは嫌だという発想が根強いために、感情面でのEU離脱傾向に拍車がかかっていたと見ることが妥当のように思えます。

残留派の女性の政治家が離脱派によって殺害された事件は、日本人のわれわれが聞いても大変辛いニュースです。離脱派がイギリス人の感情面に訴えかけるものであったが故に、事件による感情的な離反を直接に受けることにならざるを得ません。離脱支持率が大きく下落したのは、離脱根拠が感情に依拠していたことをよく物語っているように思います。また、難民による社会不安が論じられていましたが、このような事件が起きたことで、実際に社会不安を引き起こしているのは誰なのか?という疑念も沸いてきます。社会不安を高めているのが実は離脱派なのではないか、ということになれば、離脱派の主張は論理的に矛盾していることになります。

おそらくイギリス人は相当に迷っていると思いますが、事件によって離脱派の幻影は水をかけられた形になり、多くの人の迷いを吹っ切るという方向へと流れていくように思います。以上の理由から、投票行動としては残留派が多数を占めるという結論に達しました。予想が外れても記事を削除するとかそういうことはせず、生き恥の証にしようと思います。

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イギリスのEU離脱でポンドとユーロは共倒れするのか?

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イギリスのEU離脱でポンドとユーロは共倒れするのか?

イギリスのEU離脱の是非を問う住民投票が近づいています。最近の世論調査では離脱賛成派が反対派を10パーセント上回るという結果が出たこともあり、市場ではユーロ離れ、ポンド離れが始まり、要するにイギリスのEU離脱を織り込みに入っていると見られています。とはいえ、スコットランド独立の住民投票では事前の世論調査と実際の投票行動では違いが大きかったことから、本当にイギリスがEUから離脱するかどうかはまだ何とも言えません。

仮にイギリスがEUを離脱する、いわゆるBrexitが現実化した場合、イギリスのシティからヨーロッパ資本の多くが引き揚げると言われており、結果としてシティの地位下落を懸念する声もあるようですが、国際金融の古都とも言うべきシティの地位が下落するというよりも、むしろヨーロッパ大陸の金融市場の暴落の方が懸念されるのではないかという気がします。ドイツ銀行はどうにか小康を保ってはいますが、天文学的とも言える負債が解決したわけではありません。too big to failなために最後には公金まで入れてなんとかするという観測が多いですが、いずれにせよそういう爆弾を抱える大陸から切り離されたいという発想がイギリスで生まれてきたとしても、そもそも孤立主義を選ぶ傾向の強い国ですから、全く不思議ではないと言えます。

ただ、EU残留派の政治家の女性が殺害される事件が起き、犯人はブリテンファースト!と叫んでいたという話もありますので、金融面からの安全性を求める声とある種の民族主義が結合してしまっている面も否定できず、そういう面から見れば、EU離脱話はきな臭い部分も含んでいるように見えなくもありません。

本当にイギリスがEUから離脱したら果たして何が起きるのかですが、既に市場が反応しているようにユーロ、ポンド共に下落へと突っ走っている感がありますので、関係者全員が経済的に損をすることを承知でそれでもEU離脱がしたいのか?と首を傾げてしまいます(民族主義的な主張からの離脱論はここでは議論しません)。ドイツはいろいろ面倒になって、ユーロなんかやーめた。という選択をする議論も出てくることになるでしょう。となれば、イギリスEU離脱→ユーロ崩壊→EU解体→中国からの資金撤退→日本にも波及。という連鎖が起きることは十分に考えられます。日本は比較的内需主導の強い国なので、世界的なリセッションが始まりつつある今、まあ、まだ大丈夫な立場にいると言えるかもしれません。また、中国は現在、意外に底堅いという感がありますが、EU解体のあおりをどの程度吸収できるかも注目したいところにはなります。

内需特に個人消費を堅調に保つことが日本経済にとっては必須ですし、仮にBrexitが起きるとすれば、それこそ更に個人消費を堅調にして乗り切らなくてはいけませんから、消費税増税延期は正解だったと思います。今回の延期は事実上凍結なのか、減税まで持っていけるかという議論はまた別の機会にやりたいと思いますが、今年は特に何が起きるか分かりませんので、消費税増税が延期になっただけでも、まずはめでたしです。

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「橋下徹首相」のシナリオを考えてみる

私個人は橋下徹さんについて好きも嫌いもありません。今回は単に思考のゲームとして、どういう条件が揃えば橋下徹さんが首相になれるか、その条件が整う可能性はあるのかについて考えてみようかと思います。橋下徹さんが首相になりたいと思っているかどうかは知りません。一応、ご本人にはやる気があるという仮の前提を作って進めます。

まず第一に橋下さんは現在、民間人ですが、その前は保守系野党の党首でした。維新はそもそも橋下さん人気だけに依存せざるを得ない政党であると言ってもいいと思います。もちろん、大阪では今の知事や市長もがんばっていると思いますので、コツコツと支持者を集めていると思いますけれど、国政に影響を与える政党としての力を維持しようと思えば、橋下さんはどうしても必要な存在だと思います。

さて、橋下さんを頼りにしたいと思っているであろう人物に安倍晋三さんがいます。安倍さんは今度の参議院選挙で勝てば憲法改正を具体的な政治日程に乗せられると思っているはずです。一応、ことわっておきますが、憲法を改正するべきかどうかについて議論したいとは思っていません。安倍さんはそう思っているだろうということです。

安倍さんとしては、維新の議席も含んで参議院で三分の二以上の議席を獲ることができれば話を進められると考えているでしょうから、維新には期待通りに勝ってもらはなくてはいけないということになります。維新がある程度の議席を獲り、安倍さんの念願どおりに憲法改正に協力したならば、その御礼として次の衆議院選挙で橋下さんが出馬し、安倍さんから禅譲される以外に橋下さんが首相になるシナリオはないと思います。それくらいの理由がなければ、ポストの取り合いの激しい自民党内での理解は得られません。橋下さんがコツコツと首相になるために何十年も政治家人生を歩いて当選回数を積み重ねるという選択肢はあるかも知れませんが、ご本人はやりたくないでしょう。

要するに全ては今度の参議院選挙の結果次第ということになります。しかし、橋下さんが少なくとも表面的には後ろに下がった維新が参議院選挙でどれくらい勝てるでしょうか?橋下さんの引退後、維新は枚方市長選挙で勝利し、大阪府知事、大阪市長ともに維新が勝利していますが、これはある種の橋下熱がまだ残っている時期のことでした。一度退いた人が再び熱狂的な支持を得るのはそう簡単なことではありません。これは芸能人も多分、同じだと思います。個人的な考えですが、政治と芸能と恋愛で捲土重来は通常、期待できません。もちろん例外的な人は必ずいるものですが、橋下さんがその例外に入るかどうかはまだなんとも言えません。実際に復帰活動をしてみないことには手応えがあるかないかも分からないのではないかと思います。仮に多少なりとも維新の議席が延びたとしても、憲法改正に必要な議席数に届くかと言えば、かなりの大躍進を必要とします。ちょっと難しいかも知れません。

結論。橋下徹さんが首相になるためには1、「次の参議院選挙で維新がわりと勝つ」必要がある。2、しかし維新がそんなに勝てるかは微妙。つーことは橋下さんが首相になる可能性はそんなに高くないか…な?勝手なことを書いてまことに申し訳ありません…。

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私たちは「舛添要一」現象をどう思えばいいのか

今後、舛添要一さんはどこへ出かけても、レストランでもカフェでもホテルでも近くを通りかかった他人から聞こえるでもなく聞こえないでもないくらいの声で「旅行けば三日月 ホテル三日月♪」と歌われるのだろうかと想像すると、とても気の毒に思えてなりません。

振り返ってみれば尋常ではない離婚歴、ナイフをコレクションする趣味など、ちょっと、えっ…?と思う側面を持つ人だと思えてしまいます。もちろん、離婚はきちんと手続きに則ってやっていれば他人がとやかく言うことではないでしょう。ナイフのコレクションもその人の自由ではありますけれど。しかし、自民党が野党になった時のさっと離党するあたりは、自分の利益にならないと見た途端に他人を見捨てるというところがあるのではないかな、そのような性格なので政治資金を私的な娯楽に使う、それも使い続けるということをしてしまったのかも知れません。

政治資金規正法では株と不動産以外、ぶっちゃけ何にお金を使ってもいいということになっていて、同じような使い方をしている人も他にもいるんじゃないかなあと思います。ただ、今回のことでみんなびびってしまってもうやれなくなるでしょうけれど。

今回の騒動について個人的には以下の3つのポイントが気になります。1、法律さえ守っていれば何をやってもいいのか 2、政治資金規正法はざる法だということが天下に明らかになった 3、舛添氏個人批判でカタルシスを得るだけでいいのか。

まず1ですが、法律に書いてなくてもコモンセンスに抵触するということはあると思います。法律には書くまでもないことは書いてありません。憲法にわざわざ天皇には自然人としての生存権があるとか書いてないのは、書くまでもない当然のことだからです。

個人的には公用車で湯河原へ行くくらいいいと思いますし、ファーストクラスに乗ったり、スイートルームに泊まったりするのも、まあ、いいんじゃないの?くらいに思います。ただ、家族旅行や個人的な飲食を政治資金で賄うというのはコモンセンスに抵触している、そもそもの法律の目的から逸脱していると言えると思います。言い換えれば法律を悪用していたとも言えますので、政治家として資質に欠けるとされても仕方がないでしょう。

次に2ですが、こっちの方が問題としては大きいかも知れません。政治資金規正法は最初からざるにしておくつもりでつくってあったということは正直にショックです。この法律そのものは古いものですが、金権事件が起きる度に法を改正してより政治家に厳しくしているという建前ばかりを聞いていたのに、最初から抜け道ありきで作られているということを私も舛添さんのことで初めてきちんと具体的に理解でき、正直がっかりです。法律そのものを廃止して、政治資金云々全部やめてしまえ。給料の範囲だけで全部やれ。と言いたくなってしまいます。そうした方が若い人にも平等で、新陳代謝も容易になるのではないでしょうか。

最後に3ですけれど、確かに舛添さんの全力で言い逃れする様子を見て、彼に対する印象は最悪なものになってしまいました。最初に公用車ネタやファーストクラスネタの揺さぶりが来た段階の言い逃れモードが繰り返し放送され、みんながうんざりしたところへ家族旅行爆弾という流れを仕掛けた人の腕は実に鮮やかです。東大卒でフランス語と英語が話せて頭良さそうにすかしてる嫌味な奴が実は…というのは本当に面白い展開です。しかし、いじめぬくのはやはり可哀そうです。

不信任決議案も可決されそうな勢いですから、いよいよこれで終了といったところでしょうけれど、辞めたらそっとしておいてあげたいなあとも思います。今後、活躍の機会はないでしょうから、せめて安らかな余生を。できれば今日中にでも辞意表明すれば少しは男が上がるかも知れません。無理か?

田中角栄・竹下登・小沢一郎を比較する

自民党の主流は長らく佐藤栄作→田中角栄→竹下登の系統が引き継いでいました。ただし、引き継ぎ方は常にクーデター方式で、円満な引き継ぎというものはなく、極端な言い方をすれば親分と子分による血で血を洗う仁義なき戦いを続けていたという見方をしてもいいと思います。

田中角栄、竹下登の両氏は優れた集金力を有しており、21世紀になってからはその系統の末端にいると言っても良い小沢一郎氏が金権、闇将軍などと言われたものですが、田中・竹下両氏のそれに比べればまだまだ規模の小さいものだったのではないかという気がしなくもありません。

竹下氏は大蔵大臣時代にプラザ合意をまとめたことで世界的な脚光を浴び、反田中角栄クーデターをやり切ってみせ、次期首相候補の時も、竹下、安倍、宮澤から誰か一人を中曽根康弘氏が選ぶといういわゆる中曽根裁定でも見事に指名を勝ち獲っています。その裏で何があったについては想像する以外の方法を私は持ちませんが、集金力には極めて優れていた人と言われています(小沢一郎氏はその点、「集金力」というよりは「集票力」かと)。人心掌握にも長けており、田中角栄が派手なパフォーマンス的に(大金をさっと握らせる、泣いてみせる、新品の靴と白いスーツで田んぼに入る)人の心を掴む手法を得意としていたのに対し、竹下氏はさりげなく、目立たないように、後から、ああ、あの人がやってくれたんだと気づくくらいの控えめさで自然と巧みにかつ、たぶん長期的な人心の掌握を得意としていたように思います。その点、理屈、剛腕、裏技でなんとかしようとする小沢一郎氏は田中・竹下的な意味での人心掌握に長じているとは言えません。ディベートの才能を一番持っているのは小沢氏だと思いますが、ある意味ではその才能に溺れてしまったところがあり、それが裏目に出てしまったことも一度や二度ではないように思います。

策を弄するという点では竹下氏がぴか一だったのではないでしょうか。田中角栄氏が実利とディールで相手を陥落させるというわりと分かりやすい手法を得意としたのに対し、もう一ひねりできる人が竹下さん。小沢一郎が経世会を割って出るという、いわば反田中角栄クーデターの再現を竹下登氏に対してやろうとしますが、その時、参議院の経世会議員には手を入れないという両者の紳士同盟が交わされたにも関わらず、竹下氏はさっと参院経世会議員たちを引き入れてしまいます。小沢氏はそこで追い詰められてしまい、宮澤内閣不信任案賛成、更に自民党脱党という裏技的無理ゲー(今振り返ればかなりの無理ゲー)へと極端な手法を選ぶようになっていきます。

小沢一郎氏は細川内閣成立させるものの、社会党が嫌いだというわりと幼稚な理由で社会党はずしを画策しますが、裏目に出てしまい、自民党(即ち竹下陣営)が社会党を取り込むという国民が椅子からひっくり返るようなウルトラCで形勢が逆転します(自民社会連立はかなりの無茶ぶりに見えましたが、自社間の気脈は55年体制ができたころから通じていたそうな)。

その後、小沢氏は自由党を作り、小渕政権時代に自民復帰を目指しますが、自分たちで作った選挙制度に縛られてしまい、自民と自由の両方を解党しなければ合流できないという足枷がついてしまい、小渕氏が倒れてしまってその話は立ち消えしてしまいます。

竹下氏が元気な間、小沢一郎氏は結果としてはほぼ手も足も出なかった、周辺でくるくる回っていただけだった、サッカーで言えばただ相手をマークして相手チームのプレイヤーを妨害することくらいしかできなかったと言ってもいいように思います。それだけ竹下氏が策士として上手だったことも示唆しているとも言えるでしょう。

田中角栄氏が首相再登板を目標に鉄の軍団を縛り付けたのと同様、リクルート事件で失脚した竹下氏も首相再登板を狙って何もできない無力な首相を次々と擁立していきますが、やがて橋本龍太郎氏→小渕恵三氏という自派閥の次世代にバトンタッチし、途中から再登板への野心をあまり持たなくなったように見えます。この辺り、最後まで再登板にこだわった角栄氏の方がより執念の人だったと言えるかも知れません。

現在、小沢一郎氏は小政党の党首となった今でも野党共闘作戦で非自民政権の確立に執念を燃やしていると言います。自分が首相になるのがゴールではないため、その分、目標が大きく、一度目標を達成してもまた自民政権が復活するため終わりのないマラソンになっており、政治・政策的に何が正しいかはともかく、政治家人生そのものは悲劇的なものに見えて仕方がありません。

宮澤不信任決議案が採決された時はマスコミでも自民長期政権への批判が激しく、小沢一郎の活躍は颯爽としたかっこいいものに見えましたし、長い間、私は小沢氏に期待と幻想を抱いていました。できれば、安楽な余生を。政治的な意味ではなく、小沢氏個人の幸福な余生を今は望みます。

写真はwikipediaの田中角栄の項目に掲載されているものを使用しました。数十年のいきさつを知る人から見れば、いろいろな意味で涙を誘ういい写真だと思います。余談になりますが、田中角栄が小沢一郎を「かわいがった」と言われることには疑問を感じています。小沢氏のお父さんが急死されて地盤を引き継ぐという時、角栄氏は「選挙区で辻説法を2万回するように。そうすれば田中派に入れてやるかどうか考えよう」という主旨のことを言ったそうです。小沢氏が本当にそれをやって改めて角栄氏を訪問すると憮然とした表情で「まあ、いいだろう」と言ったといいます。向かう気だけは強いぼんぼんの二代目とはあまりしっくりいかないと角栄氏は感じていたのではという気がします。同じボンボンでも鳩山由紀夫氏や細川護熙氏とは小沢さんは性格がだいぶ違います。この写真を見ても、小沢氏はまだまだ若い、良くも悪くも青い感じです。田中角栄氏の表情が適度に渋いあたりからもいろいろ読み取れなくもない気がします。








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