本の選び方を価格から考える

仕事柄、読書はせざるを得ない日々を送っています。そして仕事柄、おもしろくもなんともない本もコツコツ読んでいかなくてはいけません。いわゆる学術書はぶっちゃけおもしろくないものが多いです。そしてそういう本に限っておもしろくありません。専門家が専門家に読ませる本になりますから、公文書みたいに事実関係や研究成果を緩急つけずにづらづらと書いてあるというものが大半です。この手の書籍は他の専門家から下手に突っ込まれないように用意周到にしつつ、場合によっては資料・史料を換骨奪胎して使用しているため、読者の悦びみたいなものとはちょっと違う感じになってしまうわけです。学者にとっては学術論文はノルマみたいなものですから、売れる売れないに関係なく、そういったものを出し続けなくてはいけません。文章力のない人が、研究成果を出すためだけに書いているものもあります。

この手の書籍には特徴があります。べらぼーに高いわけです。6000円とか8000円あたりならまだいい方で、場合によっては一万円というのも存在します。専門家は他の専門家の書籍を読まないわけにはいきませんから、どんなに高くても固定した購買層がいるというのが背景にあり、一方で非専門家にとっては役に立ちませんから、価格を下げる必要もありません。この手の高額書籍はまず間違いなく退屈です。専門家としてやっていきたい方は我慢して忍耐の精神で読まなくてはいけませんが、そうでない人にとっては、本音を言えばほぼ無価値と言えますし、もっとぶっちゃけると勉強になることが書いてあるとも限りません。先行研究が延々と紹介され、マニアックな資料を分析し、社会にとってはどうでもいい「発見」を公表する場合が多いですが、そんな些細なことはどうでもいい…と思うことが多いです。もしかすると私の修行がまだまだ足りないだけで、もっと道を究めればそういった些細なことにもわくわくできるのかも知れませんが、私はまだそこまで人間ができていません(すみません)。4000円以上の本はだいたいおもしろくないと思っていいでしょうから、読書の悦びに浸りたいという方はそれより下の価格帯のものを選ぶことをお勧めします。4000円以上の本は大抵の場合は大学の図書館に入れてもらうことを想定していますから、よほどのことがない限り個人が自分の資金で買うことを想定していません。

で、4000円より下の価格の書籍の場合、学者以外の人にも読んでもらえることを想定する場合が多いです。3800円とかの価格帯であれば、専門家+一般でそれなりに詳しい人も注目するような内容になっていると見込むことが可能です。3200円なら文章力+内容の深さの双方が入魂されていると見ることができます。2000円から3000円代の書籍であれば、出す側も満を持しており、普通の読者にとっても読み応えのある内容が期待できます。この価格帯で勝負する場合、編集者の方も相当にエネルギーを使っているはずで、専門家からの突っ込みも回避しつつ一般読者からの支持も得られるものを目指しているわけですから、狙い目ではないかと思います。もちろん、3500円とかの本はやっぱりちょっと高いので、大学の図書館か、大学じゃなくても市民図書館で借りられるはずですから、そういったところで無料で借りるのもいいと思います。本は人類の共有財産ですから、お金持ちじゃなくても無料で本が楽しめる社会がよりよい社会だと信じています。

さて、それよりもうちょっと安い価格帯の場合はどうでしょうか。2000円前後のような本ですね。このような場合は専門家よりも一般読者にアピールしたいという感じになっていると思います。一般の読書が好きな人に向けた本という感じです。単行本で1800円とか2200円とかありますが、そういった本がもっとも読書愛好家に支持される内容のものが多いのではないかと思います。たとえば著名な小説家の書かれた新作であったり、ノンフィクションでも社会の関心事の高い事件に関する独自ネタみたいな感じのもので、文章力が鍛え抜かれた人たちが登場するエリアですから、読み応えはばっちり。電車の中やカフェ、自宅でくつろいで本の世界に入り込んで楽しみたいという人に向けたものが多いように思います。長く読み継がれるのもこの価格帯のものが多いのではないかと考えています。

さて、もう少し価格帯が低い場合はどうでしょうか。1600円より低い感じで1000円までの価格帯のものです。いわゆる「新書」が多いです。ソフトカバーの本が中心になるのではないかと思います。ソフトカバーだから悪いとは思いません。本はハードカバーの装丁を見るのも楽しいものですが、そこをソフトカバーにしてより低い値段で多くの人に読んでもらえることは価値あることのように思います。ただし、この価格帯の場合は素人向けのやさしい内容のものが多くなってくるように思えます。全てとはいいませんが、『〇〇だけが知っている〇〇』『本当は〇〇な〇〇』的な本の題名だけが目立ち、読んでみると似たり寄ったりで内容が必ずしも充分とは言えず、ちょっとがっかりする場合も多いです。たとえば書き出しが「突然ですが、もし〇〇は〇〇だとしたら、あなたは信じますか?」的なものであれば、私個人としてはその段階で読む気をなくしてしまいます。素人向けですから、自分が素人だと思う分野のことで、ざっくりと大体のことが分かればいいという程度であれば、これでもいいかも知れません。売る側も薄利多売を狙ってきますので、内容の濃さよりもその時、その時で短期的にぱーっと売れて忘れられていくことが前提みたいになってますから、読む側もそういうものだと思って読むべきものかも知れません。もちろん全ての書籍がそういうわけではなくて、真摯な書籍もたくさんあると思いますから、例外は当然あります。有名な俳優さんが真摯なエッセイを書き、それを購入しやすい金額に設定しているという場合ももちろんあるでしょう。俳優さんやタレントさんであれば、売れやすいため入魂の作品であっても薄利多売を狙えるということもあると思います。

さて、それより安い場合はどうでしょうか。実は意外と狙い目だったりします。コンビニで売っていたりする薄い本などですが、意外にも知らない分野のことを簡潔にまとめてくれていたり、へえと思う豆知識が書かれていたりする上にお値段が安いわけですから、お得感もかなりあります。ただし、本の世界に浸りたいという人が満足できるものではなくて、隙間時間を潰すのにちょうどいいかな的な読み捨て風のものが多いですから、そういうものだと思って読むべきかも知れません。当たりはずれが大きいので、人によって評価が分かれるところでしょう。

一応、例外を言うと、文庫本は別になります。そうでない場合もありますが、文庫は人類の財産である名作を安く提供するという社会貢献の目的で売られているものと理解しています。出版社が社会奉仕のために低価格で名作を提供してくれているのが文庫ですから、感謝して手に取るというのが読書のお作法ではなかろうかと思ったりもします。

では最後にインターネットのサイトはどうでしょうか。有料メルマガや有料会員のためだけのサイトもありますから、そういったところは、それぞれ付加価値の高い情報を提供しているのだと思いますが、このサイトのように無料の場合はどうでしょう。この世界は玉石混交ですねえ。参考になるサイトもあれば、そうでないサイトもあります。本にはできないけど、世の中に問いたいというサイトもありますし、単なるお遊びみたいなサイトもあります。自分のブログは「お遊び」に入ると思っています。独自ドメインとレンタルサーバーで年間数千円ですから、道楽しているつもりでやっています。道楽にお付き合いしてくさる方には感謝しておりますので、どうぞごゆっくり。

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