昭和史37‐映画『明け行く厦門』と東亜新秩序

とある情報機関発行の機関紙の昭和14年1月1日号を読んでみたところ、『明け行く厦門』なる映画を製作、上映したと書かれてありました。さて、その内容なのですが、萩原海軍中佐と佐多田海軍少佐が指揮して「無敵海軍陸戦隊の勇猛果敢な上陸」から新興隆盛する厦門の現状までが手に取るようにわかる内容となっているらしく、要するに日中戦争のためのプロパガンダ映画であったことが分かります。明け行く厦門で検索しても全然何にも見つからなかったので、それ以上のことは分かりません。萩原海軍中佐と多田海軍少佐についても検索してみましたが、該当する人物と思える人の情報はありませんでした。

ただ、映画の内容としては要するに勇猛果敢な帝国軍人さんががんばったおかげで、厦門は日本軍によって「解放」され、住みよいところになりましたよ。良かったですね。これからも帝国軍人さんを応援しましょうね。日本帝国は正義の戦争をしているのですよ。

とプロパガンダしていることは、想像に難くありません。日本帝国がどのように日中戦争を「正義の戦争」として宣伝していたかについては当該の号に「新東亜の建設」という題の文章から読み解くことができます。当該の記事では日満支の経済ブロックを作り、そこを関税同盟みたいにすることで欧米資本を締め出し、東亜の国々が一致して繁栄するというような趣旨のことが述べられています。このことはそんなに難しいことではなくて、学校の教科書でもブロック経済という言葉は習いますから、遅れてきた帝国である日本が、自分たちもブロック経済をやりたいと考えていたことは奇異なことでも驚くべきことでもありません。ただ、無謀だったというだけです。

そういうわけですので、海軍陸戦隊による厦門上陸もそういう感じで、これでまだ経済ブロックが広がって、幸せな人が増えましたよというメッセージが込められていたものと推測できます。

当該の記事では蒋介石はソ連とイギリス資本主義の両方の支援を受けているから、戦争はむしろ厳しくなると正しい読みをしている箇所もあり、そこは鋭いと評価できますが、だったらこんな面倒な戦争はやめようとならなかったことが日本人としては残念なところです。

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