昭和史35‐軍人のパラダイス(それって慰安所?)

とある情報機関が発行していた機関紙の昭和13年12月1日付の号に植民地情報として台湾に「軍人のパラダイス」ができたという趣旨のことが書かれてありましたので、紹介してみたいと思います。

軍人のパラダイス
屏東市が予て将兵慰安を目的として武徳殿隣地に建設中の軍人慰安所は工事順調に運んで完成した。因に本建物は和洋折衷の明朗最新式の二階建てであって階下は大食堂に浴場を附属し階上畳敷の大広間と玉突、囲碁、将棋等の娯楽室を設備してある。土曜日、日曜日、祝祭日は軍人専用に提供し其の他は倶楽部組織で一般にも公開することになってゐる。

と書かれてあります。少しいろいろ検索してみたところ、台湾の屏東というところに陸軍の基地はあったらしいのですが、慰安所分布図みたいなものには高雄に慰安所があったことは記されているものの、屏東には慰安所の印はつけられていませんでした。高雄と屏東はわりと地理的に近いですから、いっしょくたに記されてあるだけなのかも知れません。

で、気になるのは世界を巻き込む大論争になっている「慰安婦」問題と、当該記事の「軍人のパラダイス」は関係があるのかないのかということですが、軍人は全員男性という前提ですから、「男のパラダイス」みたいなことが書いてあれば、いわゆる慰安婦の人たちがいる施設を想像することは可能です。また、当該記事の本文でも「将兵慰安を目的として」という風に書いてありますから、やっぱり、いわゆる慰安婦の人たちのいる場所なのかなあとも思えます。しかしながら、大広間があるとは書いてあるものの、個室完備みたいなことは書いてありませんでした。もし、慰安婦の人たちに会いに行く施設なのであれば、個室とか小座敷とかそういったものが絶対に必要なはずですし、そういう施設の宣伝には「貸座敷」みたいなことを文言に入れて、分かる人には分かるようにしてあったという内容のものを読んだことがありますから、ここにはそんな風には書いていないので、断定するにはちょっと躊躇してしまいます。平日は一般に開放というのも解せないというか、そこから何かを読み取ることができるのかどうか…

とはいえ、情報機関が公式に刊行している機関紙ですから「貸座敷」などという文言を挿入することが憚られたとも想像できますし、「将兵慰安を目的」とまで書いてあるのだから、そりゃ、そういう意味でしょうと言うことも可能と言えば可能です。他に情報がないので、これ以上踏み込んだ判断はできません。「慰安婦」論争には、女性たちがどのようにして集められ、どんな待遇を受けたのかということについても喧々諤々、その話題に触れることすらちょっと怖いくらいですが、機関紙を追っている中で、ちょっと無視するわけにいかない記事ではないかと思い、紹介してみました。

当該施設が果たしていわゆるそういう施設だったのか、それとも本当に単にビリヤードをやったり食事したりして楽しむ場所だったのか、意見のある方がいらしたら、コメントに書き込んでいただけると大変幸いです。

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