アメリカと北朝鮮

米韓軍事合同演習が今まさに続けられている最中であり、keyresolve作戦なる穏やかではない名称の作戦の訓練も行われているということで、しかもトランプ大統領ですから、もしかすると戦争もあるかも知れないという話が俄かに高まっています。

本当に戦争になるのか、それともならないのか、戦争になったらどうなるのか、可能な限り穏当な表現と中立的な姿勢を保ち、感情的にならず、考えてみたいと思います。

昨日から行われた米中首脳会談では、「北朝鮮の非核化で協力する」という合意が得られたとされています。大変に微妙な表現で、「非核化」のために何をするのかはさっぱり分からない、逆に言うと何をやっても合意の範囲内という曖昧なものですから、穿った見方をするとすれば、アメリカは中国の黙認をとりつけたと解釈することも不可能ではありません。

トランプさんと習さんの会談の最中にトマホークでシリアのアサド政権の施設を攻撃したという一報が飛び込んでくるというのは、アメリカ側の皮肉をきかせた演出と言えますし、このような演出をする背景には、アメリカには他の地域でもそうする意思と能力を持っているということを示したとうけとることも可能と思えます。

しかし一方で、広い世界を全体的にカバーしなくてはいけないアメリカの事情としては、二正面作戦は避けたいという本音があるはずですから、「シリアと北朝鮮の双方で一挙に」というのは現実的な問題としてはハードルが高く、トランプ政権の最優先課題は中東情勢をコントロールすることにあることは明白ですので、シリアに本格的に手を出すということは、北朝鮮には本気にはならない。或いは、現実的にそうはできないという見方も可能とも思えます。

習近平さんにアメリカの意思と能力を示したものの、シリアと北朝鮮に同時に手を出すことはできないという二律背反でアメリカ側も未だにためらっているのが現状ではないかと私には思えます。

大変に悩ましいのは、戦争になった場合、日本、韓国への被害は甚大になる恐れがありますから、水面下でどのように話し合われているかは分からないものの、日本、韓国側から事前の快諾を得るというのは決して簡単なことではないようにも思えます。特に北朝鮮の指導者は「死なばもろとも」と考えている可能性が高いと思えますから、いよいよとなればミサイルのボタンを押すことに躊躇はないでしょうし、或いはボタンを握りしめて「押してもいいのか」的な瀬戸際作戦も充分に考えられます。

ビンラディン氏を襲撃した際には、彼がそういう決定的なボタンを持っていなかったので、少人数精鋭部隊で襲撃するという、まるで映画のような行動が可能でしたが、北朝鮮の場合、まず、指導者がどこにいるかははっきりとは分からないという面があり、指導者も一朝ことが起きればいつでもボタンに手が届くように準備している可能性がある以上、芹沢鴨暗殺のように寝込みを襲い、坂本龍馬暗殺のような素早さでけりをつけるというのはハードルが高いように思えてなりません。

アメリカとしては、北朝鮮がアメリカに届くミサイルを持つようになる前に、という本音もあるでしょうけれど、今となっては日本と韓国が焦土と化してもいいという覚悟を決めなくては動くに動けないはずですので、これは世間で騒がれているほど、戦争になる可能性は低いのではないかと思えなくもありません。平壌の破壊力の大きい爆弾を落とすという選択肢もあるかも知れませんが、その場合は横田めぐみさんの安全が危ぶまれます。

現状はキューバ危機以来とも思える緊張感のある状態になってはいるのですが、危機が進み過ぎて手が出せなくなっている。と私には思えます。イランコントラ事件でも分かるように、CIAは精緻な作戦にさほど優れているとも言い難いがところもありますので、敢えてそこまでのリスクを取れるかと言えば、取れないのではないかと思えます。

トランプ政権はまだ人事で揺れている部分が残されており、安定しているわけでもありませんから、そういう面からも今の段階で危険な賭けに出るのは厳しいのではないか、とも思えます。

以上のようなことを整理すると、1シリアと北朝鮮の二正面作戦は厳しい 2トランプ政権にとっては中東が優先事項 3トランプ政権はまだ弱く、危険な賭けには出られない 4北朝鮮は既に核保有国なのでその強みがあり、既にうっかり手が出せないほど強力になっている

ということになり、結論としては、おそらく、戦争にはならないのではないかと思えます。米韓合同軍事演習が終わるまではもちろん何とも言えない部分は残りますが、韓国の大統領不在の今、韓国が事態に対応できないという面もあって、やはりアメリカは戦争するわけにはいかない、できない。という結論に辿り着きます。それは今後も緊張が続くということも意味しますが、今戦争になれば、絶対にマスマーダーになるというリスクを負えないと思う方が普通の感覚かも知れません。今のタイミングで韓国の大統領が不在のことの方が意味深いようにすら思えてきます。また「核ミサイルを持っている」というだけで、一国を滅亡に追いやるだけの大義名分になるのか、というところも意見の分かれるところではないかとも思えます。

アメリカにとってもリスクは高いことは間違いないはずですが、北朝鮮サイドにとってのリスクはより大きなものですから、事態の打開をより強く願っているのは北朝鮮サイドに違いありません。国内での核開発アピールをやり続ける以外に政権を維持できないのだとすれば…意外と最高指導者が亡命する、みたいなところで手を打つということもあり得なくはないように思えます。

『博士の異常な愛情』をリアルで見ているような、重苦しい日々が続きます…。

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